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第二部 『呪いの序曲。イーガの魔王』 (少年編から青年編の間のエピソード。)
45 聖騎士の目覚めの時②
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翌日の昼前。イナンナの元に褐色エルフのオクタヴィアがやって来た。イナンナみたくイズヴァルトに惚れているふしがある。もっとも、女エルフ達の殆どが、このたくましい青年に好意を抱いているのだが。
今朝もイズヴァルトが起きるのは遅かった。昨晩のうちに3度も射精したからである。あの後2回もイナンナが寝ている隙に犯したからだ。
イナンナがまだ昼ごはんを作っていないという事で、オクタヴィアが彼女の分まで作る事にした。雑穀入りの小麦粉の麺を鶏肉と香草のシチューで煮たもの。エルフ達の定番の昼飯だ。
「イズヴァルトのぼうず。あーんするざあ」
「そ、それぐらいはできるでござるよ?」
「たわけ。おまんはまだ万全でにゃあ。病み上がりずら。んな状態だっちゅうにマルカスのハゲぼうずと稽古しているじゃんけ。さあさあ」
仕方が無い。イズヴァルトはオクタヴィアに食べさせてもらった。身長が172ある長身の彼女がこうすると、姉が世話してくれている様にも思える。イナンナにも姉や伯母みたいな何かを感じたこともあった。
食べ終わると歯磨きだ。オクタヴィアは歯ブラシを咥えながらイズヴァルトに「あーんするざあ」とやってやろうとする。流石にそれは辛いので断った。
歯磨きが終わったら寝室に入れとせかす。イズヴァルトは難しい顔をしながら今日もでござるかと尋ねた。たわけ、おまんの身体にすくっとる悪い病気を抜く為ずら。
意識があるうちにオクタヴィアとは寝たことが何度もある。イズヴァルトはオクタヴィアに無理やり閉じ込められ、寝巻を脱いだ。
ちんぽのあたりがイナンナのにおいがする。いつもだ。助けてもらったので不問に付した。男が求めず女が自分からそうするのがどういう事かもわかっていた。
「拙者はまだ身体がだるいでござる。ゆえにおまんこなめなめなどはいい加減になること、許されよ」
「奥ゆかしいずらな? 最初にやった時も30分ほどかけてくれたずら。おらは10分でええずらよ?」
オクタヴィアが着ていたのは、カイロネイアの女エルフの普段着である厚手の長いスカートと首元まで覆う上着だった。それを脱ぎ、下は丸見えのへそのあたりまでの下着と革サンダル姿になった。
浅い茶色肌にすらりとして形の良い長い脚。均整のとれた細い腰を見てイズヴァルトは勃起した。幼い頃、古代ムサシノ帝国で貴族たちの愛玩エルフとして、ぶいぶい言わせた美貌がそこにあった。
彼女は3700歳ほどだという。ニンゲンで言えば40代前半ぐらいの歳であるが、顔かたちは20代前半の女に見えた。強めの目の形をしていてとても美しい。
但しおっぱいは小ぶりだ。平たいお皿ぐらいの盛り上がりしか無かった。但し乳首も含めて柔かいことは確かだった。マイヤのおっぱいの柔らかさに負けていなかった。
「この下着も脱ぐずらか?」
「そっちはそのままで大丈夫でござるよ。本当はサンダルもそのままにしてほしいでござるが……イナンナどののベッドであるゆえ、出来ぬ相談でござるな」
「森ン中や川べりでそうさせてもらうずらよ」
オクタヴィアが近づいた。フェラチオはいらない。彼女のこの姿を見るだけで胸が高鳴った。マイヤが見たらどうしよう。自分も混ぜてと突っ込んでくるだろう。オクタヴィアにかわいがられる為に。
「さあ、はじめるずら」
イズヴァルトが寝転がった。オクタヴィアは彼の顔にまたがり、毛がろくに生えていない秘所を口にあてがった。
エルフのおまんこは生々しいにおいがしない。小便もだ。かすかに森や山のにおいがするだけである。
カイロネイアのエルフは山の精霊達の末裔だ。ツックイーのは森の精霊の。ツックイーもカイロネイアも同じ精霊達が治めている土地である。
「さあ、なめれ」
オクタヴィアは舐めやすいように大陰唇を指で広げた。彼女の子宮への道の門がしっかりと広がるとイズヴァルトは夢中になって舐め始めた。
さわやかな味だ。マイヤの1週間ぐらい『ねかせた』おまんこのにおいと味が好物だった彼は、このにおいと味に物足りなさを感じていた。けれども舌と唇は喜んでいる。
クンニリングスが好きな男は女陰のこの触感の中毒になる。もっと深いのはくさいにおいや残った小便のしびれる様な味覚、陰毛をかきわけての苦行を楽しむ事だ。
オクタヴィアが喘ぐ。次第にクリトリスが膨張して包皮から出てきた。それを舐めて更に喘がせる。彼女の膣口からにじみ出る蜜が陰唇を伝った。それも吸い取る。
「いっ、イズヴァルトのぼうず……」
オクタヴィアの全身が震えた。恍惚とした表情を浮かべていた。5分も経っていない。エルフはどんな『不感症』でも5分や10分、おまんこを舐めるとエクスタシーを受けるのだ。
それでもイズヴァルトは舐めるのを止めなかった。舐めながらマイヤのことを考えたかったからだ。
あのかわいいすけべおまんこを、1時間も2時間もなめてかわいがってあげたいでござる。今頃マイヤは2歳ぐらいになる自分の子を抱いて待っていることだろう。
早く会いたい。会って我が子とマイヤを存分に甘やかしてわがままを言われて困り果てたい。マイヤ、拙者は切ないでござる。そなたがいない毎日はエルフさん達に甘やかされても寂しいでござるよ。
「いっ、イズヴァルトのぼうず! 今はおらに集中するざあ!」
オクタヴィアは熱狂的な舌遣いを続ける、イズヴァルトの心境を推し量っていた。念話魔法で心を読み取っていたのではない。彼がマイヤのことを切に思うのは致し方がない事だとわかっていた。彼女の恋慕には同情もあった。情が厚いからこそ慰めのセックスをしてあげたかったのだ。
「も、もういいずらよ……」
オクタヴィアは汗だくだった。何度も果てて下着が濡れ、乳首が透けて見えてしまっていた。イズヴァルトのペニスは尚も高々と持ち上がったままだ。
すっかり仕上がったヴァギナをそこに入れ、今度は奥まで動く心地よい圧迫感を楽しんだ。慰めもあるけれど自分が楽しむ為でもある。
今度はイズヴァルトが悶える番だった。オクタヴィアのあそこは締りがいい。早漏の彼でも抱いた女の数は多いし膣の構造がどんなのかを覚えていたから、オクタヴィアのそれが指折りの名物だという事が判断出来た。
古代ムサシノ帝国の好色な貴族達を夢中にさせた、オクタヴィアの身体がイズヴァルトの精を4度も吸った。やり過ぎだと思える程だがこれでいい。イズヴァルトは体力を程よく消耗させ、治療をはかどらせるべきだ。
イズヴァルトが眠りについた。オクタヴィアは風呂を借りた後に「やっぱし夢中にさせるざあ」と苦笑した。
しかし今日来たのは、イズヴァルトを抱くためでは無い。まずはヒラッカの港町から河を遡行してここに来たことをイナンナに教えた。
「ヒラッカの港町ズラか? 博打をやってたズラな?」
カントニアの南西部、サガミニア地方にあるヒラッカの港街は、ツックイーまで河を伝うと700キロほどの距離がある。
ヒラッカはカントニアでは博打うちの聖地でもあった。とにかく賭博場が多い。それと同時に高級料理店や娼館もわんさとあった。ギャンブル好きなエルフがよく訪れる街でもある。
イナンナも半年ぐらい『ぎゃんぶらー』として入り浸っていた事もあった。資金がなくなったら私娼をやれば、資金は無限に得られたからだ。
「せいぜいが『すろっと』ぐらいずら。ぜんぶで50エドニア銀貨ぶん勝ったずら……じゃなかった。情報収集の為ずら。イーズィと何度か往復していたずら」
カントニアの南端、イーズ半島にあるイーズィ王国は船で2日もあれば行ける距離だ。ちなみにだがエルフの船は魔法の快速船だ。毎時20ノットで上り河や荒海を走り抜ける。機関部さえ不調でなければである。
オクタヴィアはそのイーズィから、驚くべき情報を知ったとイナンナに語った。イーガ王国のマルティンという王の孫に、妾が出来たのだと。ローザという14になる娘だ。
「ほう。12歳のマルティンというぼうやに妾をつけるズラか。ニンゲンはどうにも生き急ぎ過ぎズラな?」
「射精を覚えたてのちんぽが、おまんこに撃ちたくなるのは生き物すべてのさが、っていうもんずらよイナンナさん。おらが一大事だってのはそういう事じゃねえずら。そのローザって娘っ子の『しゃしん』がイーズィにも出回っているずらよ」
オクタヴィアは持ってきたバッグから『しゃしん』を取り出した。映像術式の1コマを紙に念写したものである。
写っていたのはローザの上半身だ。服を着ているが胸元が空いたものである。なかなかにおっぱいがでかい。羨ましいと感じたイナンナだが、首から上を見て首を傾げた。
「蒼っぽい黒い髪に紫色の瞳。ちょっと太めの眉でたぬきみたいな愛くるしさ……イズヴァルトさんが言っていたマイヤっちゅう娘っこによく似た特徴ズラな?」
「ほうずら。ローザっちゅうこのたぬき顔の娘っ子は、マイヤっちゅう女の子と特徴がよく似ているずらよ。マイヤの映像水晶はおまんもよう見たずら?」
もちろんだとイナンナはうなずいた。子供の頃のマイヤの『あられもねえ』映像水晶は、このエルフの里にも出回っていた。うんちを無邪気に、臆面なくひねる姿が子だぬきみたいでとってもかわいい。
「……同一人物、っていう線ズラな?」
「ほうずら。はんでローザっちゅう娘っ子を奪い取らねばならんと思っておるずら。人様の恋人を奪って己のものにするのは言語道断。許されねえ事ずらよ」
さらにまずいことに、ホーデンエーネンがイーガに戦争を仕掛けつつあるという。このローザ絡みの話でだ。イズヴァルトを死なせた落とし前とマイヤを失踪させた罪を償え。
尚武の国の流儀で言えば、大戦争で勝利してコーヅケーニッヒを火の海するまで剣を納めないぞ、みたいな事だろうとオクタヴィアは言った。早くイズヴァルトが無事であることを伝えなければ。
「ちゅうこん、イーズィとヒラッカでニンゲンのダチ公や『兄弟姉妹』達に、イズヴァルトさんが生きていることを広めてほしいと頼んだずら。ついでにイーズィで『ふぁっしょんしょー』の『でるも』に来てた、ナハリジャーヤの姐御達にも申し伝えたずらよ」
ナハリジャーヤの黒髪エルフらは、プロポーションの良さ言わずもがな、どでかいボインでもあったから『でるも』として招聘される事がままあった。島でだらだらと過ごしていると思いきや、シマナミスタン一帯に顔が広い。
カントニアとシマナミスタンの情報網をもって、ホーデンエーネンの外交官の耳に届ける。その情報だけでも王国軍は進軍を思いとどめるはずだ。
「……それだけじゃうまくいかねえかもしれねえズラよ?」
「わかっておるずら。実際、イズヴァルトさんの顔をホーデンエーネンのイキリ小僧どもに見せつけねえといかんずら。そこで……」
ヒラッカで知り合ったとある人物の手を借りて、イズヴァルトが長旅も出来るようにしたい。とても頼りになる人物であるとオクタヴィアは語り始めた。
今朝もイズヴァルトが起きるのは遅かった。昨晩のうちに3度も射精したからである。あの後2回もイナンナが寝ている隙に犯したからだ。
イナンナがまだ昼ごはんを作っていないという事で、オクタヴィアが彼女の分まで作る事にした。雑穀入りの小麦粉の麺を鶏肉と香草のシチューで煮たもの。エルフ達の定番の昼飯だ。
「イズヴァルトのぼうず。あーんするざあ」
「そ、それぐらいはできるでござるよ?」
「たわけ。おまんはまだ万全でにゃあ。病み上がりずら。んな状態だっちゅうにマルカスのハゲぼうずと稽古しているじゃんけ。さあさあ」
仕方が無い。イズヴァルトはオクタヴィアに食べさせてもらった。身長が172ある長身の彼女がこうすると、姉が世話してくれている様にも思える。イナンナにも姉や伯母みたいな何かを感じたこともあった。
食べ終わると歯磨きだ。オクタヴィアは歯ブラシを咥えながらイズヴァルトに「あーんするざあ」とやってやろうとする。流石にそれは辛いので断った。
歯磨きが終わったら寝室に入れとせかす。イズヴァルトは難しい顔をしながら今日もでござるかと尋ねた。たわけ、おまんの身体にすくっとる悪い病気を抜く為ずら。
意識があるうちにオクタヴィアとは寝たことが何度もある。イズヴァルトはオクタヴィアに無理やり閉じ込められ、寝巻を脱いだ。
ちんぽのあたりがイナンナのにおいがする。いつもだ。助けてもらったので不問に付した。男が求めず女が自分からそうするのがどういう事かもわかっていた。
「拙者はまだ身体がだるいでござる。ゆえにおまんこなめなめなどはいい加減になること、許されよ」
「奥ゆかしいずらな? 最初にやった時も30分ほどかけてくれたずら。おらは10分でええずらよ?」
オクタヴィアが着ていたのは、カイロネイアの女エルフの普段着である厚手の長いスカートと首元まで覆う上着だった。それを脱ぎ、下は丸見えのへそのあたりまでの下着と革サンダル姿になった。
浅い茶色肌にすらりとして形の良い長い脚。均整のとれた細い腰を見てイズヴァルトは勃起した。幼い頃、古代ムサシノ帝国で貴族たちの愛玩エルフとして、ぶいぶい言わせた美貌がそこにあった。
彼女は3700歳ほどだという。ニンゲンで言えば40代前半ぐらいの歳であるが、顔かたちは20代前半の女に見えた。強めの目の形をしていてとても美しい。
但しおっぱいは小ぶりだ。平たいお皿ぐらいの盛り上がりしか無かった。但し乳首も含めて柔かいことは確かだった。マイヤのおっぱいの柔らかさに負けていなかった。
「この下着も脱ぐずらか?」
「そっちはそのままで大丈夫でござるよ。本当はサンダルもそのままにしてほしいでござるが……イナンナどののベッドであるゆえ、出来ぬ相談でござるな」
「森ン中や川べりでそうさせてもらうずらよ」
オクタヴィアが近づいた。フェラチオはいらない。彼女のこの姿を見るだけで胸が高鳴った。マイヤが見たらどうしよう。自分も混ぜてと突っ込んでくるだろう。オクタヴィアにかわいがられる為に。
「さあ、はじめるずら」
イズヴァルトが寝転がった。オクタヴィアは彼の顔にまたがり、毛がろくに生えていない秘所を口にあてがった。
エルフのおまんこは生々しいにおいがしない。小便もだ。かすかに森や山のにおいがするだけである。
カイロネイアのエルフは山の精霊達の末裔だ。ツックイーのは森の精霊の。ツックイーもカイロネイアも同じ精霊達が治めている土地である。
「さあ、なめれ」
オクタヴィアは舐めやすいように大陰唇を指で広げた。彼女の子宮への道の門がしっかりと広がるとイズヴァルトは夢中になって舐め始めた。
さわやかな味だ。マイヤの1週間ぐらい『ねかせた』おまんこのにおいと味が好物だった彼は、このにおいと味に物足りなさを感じていた。けれども舌と唇は喜んでいる。
クンニリングスが好きな男は女陰のこの触感の中毒になる。もっと深いのはくさいにおいや残った小便のしびれる様な味覚、陰毛をかきわけての苦行を楽しむ事だ。
オクタヴィアが喘ぐ。次第にクリトリスが膨張して包皮から出てきた。それを舐めて更に喘がせる。彼女の膣口からにじみ出る蜜が陰唇を伝った。それも吸い取る。
「いっ、イズヴァルトのぼうず……」
オクタヴィアの全身が震えた。恍惚とした表情を浮かべていた。5分も経っていない。エルフはどんな『不感症』でも5分や10分、おまんこを舐めるとエクスタシーを受けるのだ。
それでもイズヴァルトは舐めるのを止めなかった。舐めながらマイヤのことを考えたかったからだ。
あのかわいいすけべおまんこを、1時間も2時間もなめてかわいがってあげたいでござる。今頃マイヤは2歳ぐらいになる自分の子を抱いて待っていることだろう。
早く会いたい。会って我が子とマイヤを存分に甘やかしてわがままを言われて困り果てたい。マイヤ、拙者は切ないでござる。そなたがいない毎日はエルフさん達に甘やかされても寂しいでござるよ。
「いっ、イズヴァルトのぼうず! 今はおらに集中するざあ!」
オクタヴィアは熱狂的な舌遣いを続ける、イズヴァルトの心境を推し量っていた。念話魔法で心を読み取っていたのではない。彼がマイヤのことを切に思うのは致し方がない事だとわかっていた。彼女の恋慕には同情もあった。情が厚いからこそ慰めのセックスをしてあげたかったのだ。
「も、もういいずらよ……」
オクタヴィアは汗だくだった。何度も果てて下着が濡れ、乳首が透けて見えてしまっていた。イズヴァルトのペニスは尚も高々と持ち上がったままだ。
すっかり仕上がったヴァギナをそこに入れ、今度は奥まで動く心地よい圧迫感を楽しんだ。慰めもあるけれど自分が楽しむ為でもある。
今度はイズヴァルトが悶える番だった。オクタヴィアのあそこは締りがいい。早漏の彼でも抱いた女の数は多いし膣の構造がどんなのかを覚えていたから、オクタヴィアのそれが指折りの名物だという事が判断出来た。
古代ムサシノ帝国の好色な貴族達を夢中にさせた、オクタヴィアの身体がイズヴァルトの精を4度も吸った。やり過ぎだと思える程だがこれでいい。イズヴァルトは体力を程よく消耗させ、治療をはかどらせるべきだ。
イズヴァルトが眠りについた。オクタヴィアは風呂を借りた後に「やっぱし夢中にさせるざあ」と苦笑した。
しかし今日来たのは、イズヴァルトを抱くためでは無い。まずはヒラッカの港町から河を遡行してここに来たことをイナンナに教えた。
「ヒラッカの港町ズラか? 博打をやってたズラな?」
カントニアの南西部、サガミニア地方にあるヒラッカの港街は、ツックイーまで河を伝うと700キロほどの距離がある。
ヒラッカはカントニアでは博打うちの聖地でもあった。とにかく賭博場が多い。それと同時に高級料理店や娼館もわんさとあった。ギャンブル好きなエルフがよく訪れる街でもある。
イナンナも半年ぐらい『ぎゃんぶらー』として入り浸っていた事もあった。資金がなくなったら私娼をやれば、資金は無限に得られたからだ。
「せいぜいが『すろっと』ぐらいずら。ぜんぶで50エドニア銀貨ぶん勝ったずら……じゃなかった。情報収集の為ずら。イーズィと何度か往復していたずら」
カントニアの南端、イーズ半島にあるイーズィ王国は船で2日もあれば行ける距離だ。ちなみにだがエルフの船は魔法の快速船だ。毎時20ノットで上り河や荒海を走り抜ける。機関部さえ不調でなければである。
オクタヴィアはそのイーズィから、驚くべき情報を知ったとイナンナに語った。イーガ王国のマルティンという王の孫に、妾が出来たのだと。ローザという14になる娘だ。
「ほう。12歳のマルティンというぼうやに妾をつけるズラか。ニンゲンはどうにも生き急ぎ過ぎズラな?」
「射精を覚えたてのちんぽが、おまんこに撃ちたくなるのは生き物すべてのさが、っていうもんずらよイナンナさん。おらが一大事だってのはそういう事じゃねえずら。そのローザって娘っ子の『しゃしん』がイーズィにも出回っているずらよ」
オクタヴィアは持ってきたバッグから『しゃしん』を取り出した。映像術式の1コマを紙に念写したものである。
写っていたのはローザの上半身だ。服を着ているが胸元が空いたものである。なかなかにおっぱいがでかい。羨ましいと感じたイナンナだが、首から上を見て首を傾げた。
「蒼っぽい黒い髪に紫色の瞳。ちょっと太めの眉でたぬきみたいな愛くるしさ……イズヴァルトさんが言っていたマイヤっちゅう娘っこによく似た特徴ズラな?」
「ほうずら。ローザっちゅうこのたぬき顔の娘っ子は、マイヤっちゅう女の子と特徴がよく似ているずらよ。マイヤの映像水晶はおまんもよう見たずら?」
もちろんだとイナンナはうなずいた。子供の頃のマイヤの『あられもねえ』映像水晶は、このエルフの里にも出回っていた。うんちを無邪気に、臆面なくひねる姿が子だぬきみたいでとってもかわいい。
「……同一人物、っていう線ズラな?」
「ほうずら。はんでローザっちゅう娘っ子を奪い取らねばならんと思っておるずら。人様の恋人を奪って己のものにするのは言語道断。許されねえ事ずらよ」
さらにまずいことに、ホーデンエーネンがイーガに戦争を仕掛けつつあるという。このローザ絡みの話でだ。イズヴァルトを死なせた落とし前とマイヤを失踪させた罪を償え。
尚武の国の流儀で言えば、大戦争で勝利してコーヅケーニッヒを火の海するまで剣を納めないぞ、みたいな事だろうとオクタヴィアは言った。早くイズヴァルトが無事であることを伝えなければ。
「ちゅうこん、イーズィとヒラッカでニンゲンのダチ公や『兄弟姉妹』達に、イズヴァルトさんが生きていることを広めてほしいと頼んだずら。ついでにイーズィで『ふぁっしょんしょー』の『でるも』に来てた、ナハリジャーヤの姐御達にも申し伝えたずらよ」
ナハリジャーヤの黒髪エルフらは、プロポーションの良さ言わずもがな、どでかいボインでもあったから『でるも』として招聘される事がままあった。島でだらだらと過ごしていると思いきや、シマナミスタン一帯に顔が広い。
カントニアとシマナミスタンの情報網をもって、ホーデンエーネンの外交官の耳に届ける。その情報だけでも王国軍は進軍を思いとどめるはずだ。
「……それだけじゃうまくいかねえかもしれねえズラよ?」
「わかっておるずら。実際、イズヴァルトさんの顔をホーデンエーネンのイキリ小僧どもに見せつけねえといかんずら。そこで……」
ヒラッカで知り合ったとある人物の手を借りて、イズヴァルトが長旅も出来るようにしたい。とても頼りになる人物であるとオクタヴィアは語り始めた。
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