聖騎士イズヴァルトの伝説 外伝 『女王の末裔たち』

CHACOとJAGURA

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第二部 『呪いの序曲。イーガの魔王』 (少年編から青年編の間のエピソード。)

36 碩学姫の受難⑧

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「ひあっ! いあっ! ふあああっ! あああーッ!」

 この3日ほど、獣じみた少女の声が聞こえ続けている。マイヤが相手の男と交合をしている最中の声だ。

 6時間の睡眠と日に4度の栄養剤の摂取の時間以外、彼女はずっと男たちに貫かれ続けていた。

 またも異様な喜びの声。マイヤはヒッポタルトが精製した麻薬を打たれて行為に励んでいた。

 『ひろぽん』やアヘン。様々な薬物を混ぜ合わせたもので、12歳ぐらいの少女に十分効き目があるものだ。

 これを静脈に入れられると、性交時の快楽が数十倍から数百倍になるという。ヒッポタルトはセックスドラッグの薬師としても闇の世界では名が知られていた。

「うひひ。どうです、マイヤさん?」

 その相手というのがヒッポタルトだった。彼はマイヤの膣壁を存分に撫で回すようなピストンを繰り出していた。

「ほら。ここはどうです? ここのこりこりが私のこれでぐりぐりされると……」
「ふひーっ! あひっ、ひっ、ひいいいっ!」
「ほらほら。もっと可愛がってあげますよ?」

 彼女は既に狂ってしまっていた。この数日、ロゼの出産の時に得たぐらいの悦を受け取ってしまっていたからだ。

 思考はもう出来ない。よだれを垂らし、声を枯らして叫んでの性交に溺れるだけだ。

 それと、彼女の身体は悪臭が漂っていた。この3日間入浴をさせてくれなかったからだ。

 相手をした男達の汗や脂。膣の中で腐っていく精液のカス。それでも男たちは代わる代わる彼女を抱き続けた。

 薄汚れた少女の身体に男を欲情させるめすのにおいを嗅げたからだ。悪臭の中にあるマイヤの性臭は、いよいよその引力を高めつつあった。

 マイヤが髪を振り乱しながらそのにおいを放つ。ヒッポタルトは劣情を高め、耳や髪を噛んでしゃぶりながら腰を強く降って精を放った。

「ううあ……」

 薄汚れたマイヤの顔は楽しそうだった。アクメをまたも受けていたからだ。しかしその頬はあざがあり、唇は強く殴られたり噛みつかれた痕もあった。

 彼女が放つこのにおいに狂って暴力を振るう者もいたからだ。彼等いわく、ぎゃっ、と叫んで泣いて許しを請う時の彼女のあそこのしまりは、とてもいいそうだ。

(やめていただきたいものだな。私や他の魔道士が後始末をしなくてはならぬのだぞ?)

 殴っておどおどするのを楽しませるのは、治癒魔法が使える者のみにしてほしいですね。そう思いながらヒッポタルトはマイヤの左頬を思い切りひっぱたいた。

「痛いッ!」
「痛いですか? 本当ですか?」

 もっと叩く。強く。青あざが出来るぐらいまで。嫌だ。こんなのやめてください。悲鳴混じりの懇願にヒッポタルトは増々手を動かす。

 マイヤは身をよじるぐらいしか自分を守る手立てがない。お願いします。やめてください。謝り続けた。

 ヒッポタルトはおかしくなって笑ってしまった。肉棒はぎちぎちに固くなってしまっている。

 マイヤの首に手をかけ締め上げた。うえっ、という声とともに膣の締りが良くなり始めた。

 首を絞められながらの性交が始まった。イズヴァルトであれば絶対にしない行いだ。息苦しくなってくるとマイヤは、己の膣がもっと縮こまったのを感じた。

 この感覚ははじめてではない。前世にあった。その当時の恋人が試したことを思い出した。あの時は確かにあそこの締りが良くなったと褒めてくれた。

 そして今もまた、マイヤはその責めを受けている。しかも薬物を使い快楽を数十倍以上も増しての行いである。

「ひゅう。ふー。ふうううっ!」

 ヒッポタルトは首を締めるのには慣れていたから、彼女を殺さずに保たせるのは得意であった。

 酸欠になり、脳細胞を壊されながらマイヤはあえぐ。絶頂。またも絶頂が。延々と続いて苦しませた。

「おおっ、おおおおっ! だ、出すからな!」

 ヒッポタルトはこれまで感じたことが無い放出感をマイヤの中で感じた。腕の力が緩む。全て注ぎ終えるとマイヤの右乳房を鷲掴みにし、思い切りねじりあげた。

「うわああああっ!」

 ヒッポタルトの拷問はその後も続いた。


□ □ □ □ □


 母体を殴られ、引っ叩かれてもマイヤの腹の中の2人目の赤ん坊は順調に育っていた。

 姉のロゼが母親の乳と保育役の男のペニスから出る精液を吸ってまるまると太り、言葉をしゃべるようになった頃。いよいよ世界に出る日となった。

 二度目の出産は、麻薬を用いての出産だった。この娘が痛みよりも悦楽を得るらしいと調べた結果、アドルフがその様にせよと命じたのだ。

「うああああっ! ああああああっ! ふああっ!」

 この時マイヤは既にしゃべることが出来なくなっていた。文字通りの廃人。四肢を奪われた生殖と快楽の道具には人間的尊厳など認められていなかった。

 この時の彼女にはロゼを産んだ時よりも強烈な快感が身を襲っていた。陣痛代わりの子宮からの強い悦を感じてからの1時間。

 その10倍にも長く続いたと思える様な快楽地獄の果てにアドルフの2人目の子を産んだ。その子もまた黒髪の娘であった。

 産湯で身体を洗われた後、赤ん坊は気を失った母親の乳房を飲む。性処理の道具としてぞんざいに扱われた8ヶ月、マイヤは一回り痩せてしまっていた。

 乳房もロゼが産んだ時の様に100センチを超えていなかった。測ったら90センチを少し。かなり痩せてしまっている。なのに、肋は浮き出ていなかった。男に生殖欲をかきたたせる細くてふんわりとした身体を保っていた。

 彼女が浴び続けた精液のせいだろう。医療魔道士達はそう論じた。とはいえ薬物のせいか、彼女の肌と顔色は荒廃に傾いていた。

「道理でな。俺が最近、こいつを抱きたいと思えなくなったのはそういう事だったか」

 母親から取り上げて大人しく眠り始めた赤子を抱きながら、アドルフは保育役の男を呼び寄せた。

「ヒッポタルト。薬漬けはもやめだ。少々マイヤを甘やかし過ぎた」
「しばらくは、禁断症状で苦しむでしょうな」
「どうってこともない。自制心を保てなかった事への報いだよ。それと、この赤ん坊にはもう名前を付けた」

 レーアと決めた。これから1年間、姉と同じ様に男達のペニスをしゃぶらせ、精液も与えてやれ。丸々と肥え太るだろう。

「仰せのままに。さて、マイヤ様に次のお子を授けるのはいつでしょうかな?」
「……しばらくは無しだ。別のことを考えておるのでな」

 そう告げたアドルフは、抱く気が失せる容貌になったマイヤを見てせせら笑う。しばらくは休息を与えてやる。子を生む機械の役目をな。

「マイヤ。すぐに楽しめるようにしてやろう」

 アドルフは気を失ったマイヤの下腹に手を当てた。淡い治癒魔法の光が浸透し、出産で傷ついた内性器を修復する。

 魔法の光はたった5秒で消えた。アドルフが疲れたからではない。産褥の傷を治すのに短い時間で十分だったからだ。

 血と羊水にまみれていたマイヤの陰裂とその奥は、傷があらかた消えて無くなっていた。

 切れたりねじれて内出血していた部位は無く、いつでもペニスと精の来訪を待ち望んでいる、ぬめっとした欲深い、ピンク色をしたきれいな内臓に戻っていた。

「マイヤ。また今夜からお前は楽しめるぞ。良かったな?」

 アドルフは目を閉じたままのマイヤにささやくと、その場を立ち去った。彼女はすぐに、館の男達に抱かれなすがままにされた。


□ □ □ □ □


 ホーデンエーネン王国暦347年5月。マイヤがレーアという次女を産んだ日より数日前の事。

 久しぶりにコーヅケーニッヒに戻っていたアドルフは、侍医でもあるシュタイナー医療魔道伯より恐ろしい真実を打ち明けられていた。

「どうやら、密かに巣食っていた病魔がいよいよ殿下の全身に広がり始めたようですな」

 細かい腫瘍が身体中に広がっているという。その手始めにアドルフの精巣を冒し始めた。子供はもう望めないだろう。

「こうなったのは何が理由だ? 俺は養生に努めたぞ?」

 1年も延長する羽目になったが。マイヤを可愛がるために。真実を告げる代わりに性交を控えて栄養のあるものを食べ、身体を動かしていたはずなのだがとアドルフは嘆いてみせた。

「殿下。ここ最近、ご自身の魔法が強くなったとお感じになられた事は?」
「まあ……無いといえば嘘になる」

 自分自身にはかけられない治癒魔法。それの効果が強くなった。もう控えなさいませ。シュタイナーが諫言する。

「殿下の病魔をここまでしたのは、まさにその治癒魔法です」
「他人にはかけられても自分にかけられないそれは、使い続ければやがて己自身を蝕む。治癒魔法についての論文にあったな?」
「はい。パスツール先生の若い頃の研究発表を、よくご存知で?」

 シュタイナーの治癒魔法の師であり、アドルフが幼い頃に学んだ医療魔道士がパスツールだ。

 マーツザーカ近郊に医療院を営んでいたが、アドルフの移住前に院を別の医療魔道士に譲り渡したという。

 居場所はわからない。連絡も取れなくなった。村の者が言うには老医者は東の方に去っていったらしい。

「いなくなったパスツール先生には幼い頃に注意されたよ。無闇に治癒魔法は使うなとな。私の魔法回路は魔力と生命力が結びついている様にできているそうだ」

 つまりは魔法を使うと気力や体力だけでなく、生命力そのものを削る。それがアドルフの魔法だ。

 人と違うから優れている。しかし使えば自分を傷つける。シュタイナーは天才魔道士として世に認められ、名を馳せるはずだったアドルフを悲しそうに見つめた。

 殿下は魔道の技能が人並み以上に優れている。加えて亜人にも匹敵する魔の力。身体が丈夫であれば王として、大魔道士として名を残せただろうに。

「悲しいことですな。殿下が内心で、何をどう思っていらっしゃるのか、お察し申し上げまする……」
「そういうことだ。どこまで推し量っているかは存ぜぬがな」

 それよりも大事な事がある。自分がもう子供を作れない身体である事実を告白されながらも、アドルフは別の事が気になっていた。

「魔道学問所にいるアナキン=スカルファッカーの様子を知りたい。コーヅケーニッヒでの様子を知りたいのだ」
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