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第二部 『呪いの序曲。イーガの魔王』 (少年編から青年編の間のエピソード。)
第二部 あらすじ
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剣と魔法のファンタジー世界ともいうべき、とある異世界にも婚活はある。
婚活。
ただ単に、交尾と生殖の相手を探す為の活動ではない。まあ、男は大体そうなのだが女は違う。
自分の実力の基準では到底敵わない、地位や名誉や富や才能のある異性、つまりは、高嶺の花を得るためのギャンブル……それが女の『婚活』である。
得れば夫の地位や名誉や富を、まるで自分のものだと言い張る事はこの世界でも同じだった。特に貴族だ。平民の女はこぞって貴族の妾になる。そして側室同士での暗闘に勝ち、正妻を毒殺してその座を手に入れる。ここまでがこの世界の婚活だ。
その博打は過酷で苛烈だ。まずは美貌、女磨きである。
美容体操や食習慣はもちろんのこと、闇医療魔道士に要らん顎の骨を削ってもらったり鼻を高くしてもらったり、はたまた、プリティでキュートを目指す本格的な人体改造も行う。赤ちゃんみたいにかわいいを目指してだ。
伝説の英雄イズヴァルトの金魚のフンとしてついてきた侍女にも、婚活というその時期が迫っていた。
折しもサイゴークの長旅から帰った後。国王よりイズヴァルトの海外留学についていけという命令が下された。
いい恋人が良い結婚相手というのは必ずしも当てはまらない。しかも彼女は独り身だ。
見合いどころか恋愛もせぬまま、あるじと共に外国行きだなんて将来が不安過ぎる。
その主も傍から見て、結婚相手にとは到底思えなかった。
「あるじさまならお世話係でかまいませんけど、旦那さんというのはむりでございます」
この頃のイズヴァルトにはまだ、将来性というものが見当たらなかった。
15歳の少年騎士では領地なんぞ無いに等しい。
しかし侍女は運が良かった。留学先でふとしたきっかけで、絶好の相手と知り合う。
ホーデンエーネンのお隣、魔道士ばかりの金満王国・イーガの王子さまがまさにそれ。
この男は愛に飢えていた。心優しい、まるで母親みたいな、世話好きな姉みたいな妻が欲しい。
それを聞いた侍女はしめしめ。あるじさまことイズヴァルトが行方不明になると猛アタックを開始する。
「これまであかちゃんみたいなあるじさまをお世話し、尽くしてきました。あなたさまにもついていく自信がございます……わたしでは無理でしょうか?」
母性でくすぐる作戦。邪魔者の元あるじさまを捨て、この一生に一度のビッグチャンスを掴み取れ!
ひたすら猛アタック、アタック、アタックだ!
これは、1人の平民出の侍女による成り上がりの物語である。真実の愛の伝説だ。
果たして彼女は、プリンセスとなって夫の持ち物を「わたしのもの!」と言い張れるようになれるだろうか。その結末は?
(※話の展開がこんな陽気でアグレッシブになるとは保証しません。)
婚活。
ただ単に、交尾と生殖の相手を探す為の活動ではない。まあ、男は大体そうなのだが女は違う。
自分の実力の基準では到底敵わない、地位や名誉や富や才能のある異性、つまりは、高嶺の花を得るためのギャンブル……それが女の『婚活』である。
得れば夫の地位や名誉や富を、まるで自分のものだと言い張る事はこの世界でも同じだった。特に貴族だ。平民の女はこぞって貴族の妾になる。そして側室同士での暗闘に勝ち、正妻を毒殺してその座を手に入れる。ここまでがこの世界の婚活だ。
その博打は過酷で苛烈だ。まずは美貌、女磨きである。
美容体操や食習慣はもちろんのこと、闇医療魔道士に要らん顎の骨を削ってもらったり鼻を高くしてもらったり、はたまた、プリティでキュートを目指す本格的な人体改造も行う。赤ちゃんみたいにかわいいを目指してだ。
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見合いどころか恋愛もせぬまま、あるじと共に外国行きだなんて将来が不安過ぎる。
その主も傍から見て、結婚相手にとは到底思えなかった。
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しかし侍女は運が良かった。留学先でふとしたきっかけで、絶好の相手と知り合う。
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それを聞いた侍女はしめしめ。あるじさまことイズヴァルトが行方不明になると猛アタックを開始する。
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