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第一部 少年騎士と幼き侍女(幼年編から少年編の間のお話)
09 遠征行⑧
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カタシナシュフのマリベーラ。
ミナッカミニア山地の金色エルフ部族の片方の雄・カタシナシュフ大部族の族長の娘。『ガン突きごんぶとちんちん』の異名を持つドワーフの父を持ち、先代の大族長を母に持つハーフリング。
カントニアの亜人種では最強の戦士とされている。同時に暗殺者であり、敏感な身体のせいですぐに「ひああああん!」と泣き叫ぶ、ちょろい女として悪名高かった。
彼女の名前は裏社会では有名だ。絶対に喧嘩になるな。さもなけりゃ金玉をもぎ取られる。ただし女には甘い。
ゴブリン達はとっさに匕首を鞘に収めた。戦うつもりは無いという意思表示だ。彼等は『やまねこ』と恐れられる刺客をよく存じている。
「そういうあんたこそ、どこのどいつだい? ゴブリンでアタイの顔を知っているやつは、そういないとは思うけどさ?」
「ムーツ=ゴブリンのムカリと言えばわかるか? いや、わからないだろうな……」
名前だけは知っている、とマリベーラは笑った。こっちも裏社会ではそこそこの有名人だった。ゴブリンの中ではかなりの戦士である。ここ30年ほど名前を聞いていなかったが、キンキ大陸に渡っていたのかと問う。
「まさか、魔竜さまをやっつける軍に参加したんじゃないだろうね?」
「バカなことだ。俺達の『雇い主』に固く禁じられたよ。死んだワンとともにな」
「……雇い主? ここの大公さんかい?」
あんな愚物が俺達を使いこなせるわけがない、とムカリは返した。雇ったのは先代のナガオカッツェ大公。そして今はその孫娘のヨハンナが雇い主だと。
「おおよそ30年、ワンと彼らとで先代と奥方様の警護や調査を続けていたのだ。俺達の存在を今の大公は気づいておらん」
そしてこの死んだワンこそ、奥方のご息女達や大公の妾らにとって大事な友人だったのだとムカリは告げた。マリベーラは嫌そうな顔をしてつばを吐いた。
「股間の立派なツノでのおまんこのお相手かい?」
「そうだ。孕まないように俺達が避妊薬を煎じて姫がたに飲ませていたから、そのところは抜かりはないがな」
「嫁入り前の女の子を憎らしいツノで可愛がるのも、どうかねえ……」
ゴブリン達は遺体から服を引き剥がしていた。ズボンを脱がされたワンの股間のものは憎々しげに育った立派な代物だった。30センチ近くもある。
マリベーラは目を背けてムカリに言う。衣服を剥がしてどうするのさ。埋めるには裸のほうがいいんだよ。この死は隠匿するつもりだと。
「ワンは旅に出たということにしよう。つい先ごろまで、姫様方に可愛がられたお前が、こいつを殺したとバレないようにな……」
そこまで覗いていたのか。ここに来る前、マリベーラは姫たちに一緒のベッドで寝るのをせがまれてご一緒したが、身体も貪られてしまった。
このハーフリングはちょっと肌を触っただけで「ひゃふん!」と喘ぎ、ふっくらした股の割れ目を探ったりすれば「ひあああん!」と泣き叫ぶぐらいに感度が良い。
それを面白がられてくにくに、ぺろぺろ、ぴちゃぴちゃをされて楽しんでいたのだ。彼女は女にそうされるのを何よりも好んでいた。
「それで手を打ってくれないか。正直、お前を相手の弔い合戦は勝てる気がしない。」
「ありがたいことだよ。けど、そうなっちゃここに居座るのは多分無理かもしれんね。はあ……」
良い居候先が出来たと思ったのに、とマリベーラはうなだれた。ムカリはセルゲイらに「彼女は故郷を追い出されたのか?」と尋ねた。
「ちがうちがう。俺達は『ビジネスチャンス』を掴む為にハン=ソーローと契約したのさ」
「びじねす……なになに? 商売網の拡大という意味か。いったい何の為にだ?」
「わからねえのか? キンキ大陸、特にホーデンエーネンは亜人の傭兵や刺客ってのが他の大陸よりも遥かに少ない。そりゃあ『ムカリさん』達みたいな変わり種もいるけれど、絶対数はほぼ少ないに等しい」
「確かにな。しかしこの大陸は魔竜さまのお膝元でもあるし、俺達があくどいことをすると、きつーいおしおきを受けるのではないかと恐れているが……」
「いやいや。コンゴウアミダラデンに攻め入る軍隊に参加しなきゃいいだけの話ですよ! そうじゃなくてもこのホーデンエーネンは、住民反乱だの内戦だのと、傭兵が儲かりそうな話がゴロゴロとある!」
声の調子を商人のそれに変えて、セルゲイは力説する。軍人稼業のエルフやドワーフにとってこの大陸は、まさにブルーオーシャン。市場開拓の余地がとても広い。
「お隣のイーガには僕たちハーフリングでも手こずる様な強大な魔道兵団がいたり、カントニアのエルフを師団の隊長に抜擢する向きもありますけど、ホーデンエーネンではまだまだのご様子でしてね」
先日の魔竜戦役でやっと亜人の傭兵が雇われたという程度。理由はわかっているとセルゲイは自信ありげに語った。非力のくせに意固地なニンゲンの武者達、つまりは王国の騎士階級が『別人種』の参入を嫌っているのだと。
「なんでしたっけ、ここの精鋭騎士団。ああそうそう。聖騎士団とかいうの。あれがいるから亜人の戦士団はいらない、とかこの国の人々はほざくのですよ」
セルゲイははっきりと言う。亜人の基礎体力や頑丈さに大幅に劣るニンゲンが鍛えたって所詮は虫けらだ。そんなのを育てるんだったら亜人の戦士団を作れば事足りる。特に魔法が使えないという噂が立っているではないか、聖騎士団とかは。
「確かに。このホーデンエーネンには魔法戦士の存在はいないみたいだ。通信魔道士や偵察魔道士は少しばかりいるらしいが、戦闘を専門にするのは聞いたことが無いな」
「そこですよ。そこなんですよ! 僕とほか3人が目を付けたのは!」
セルゲイと他3人の計画。このナガオカッツェの乱で自分達が活躍し、亜人の戦闘力がどれだけ凄いのかを王国の支配層に知らしめる。
作戦だが刺客として反乱軍の拠点に潜り込むが、ハン=ソーローの策は主だった人物を暗殺するという筋書だが、それだけでなく彼等の護衛も一人残らず殲滅する。聖騎士団が和平交渉に取り掛かる前にだ。
その自信はある。首謀者らが潜んでいる拠点も探りを入れて確かめている。その砦には反乱軍に加わったナガオカッツェの名だたる武将や騎士もいるから、彼等の首をあげれば世を驚かすに違いない。
「で、僕らはこの業界では超有名人のマリベーラさんに来てもらって、亜人がどれだけすごいのかをホーデンエーネン人に知らしめてやろうと考えているのですよ」
「いや……まあ……確かに。名前を売るという意味では悪い考えではないと思うが……」
「でしょでしょ? どうです? ムカリさんらも話に乗りませんか?」
そもそも暗殺はゴブリンが得意とするものではないかとセルゲイは呼びかけた。闇討ちはだめだろ、とマリベーラが口をはさんだ。ムカリは手を貸す気は無いと言って断った。
「それこそヨハンナ奥様が望まぬ行いだ。奥様の客分である以上、お前達に力を貸すなんてあり得ない」
「ふーん。しゃあないね。まあそもそも、あんたらのお仲間を殺ったから手を組むことは無理だと思っていたけど……で、どうして仲間の死にそんなに淡々となれるわけさ?」
マリベーラはどこからからスコップを持ち出してきて、ワンの遺体を産める穴を掘り始めたゴブリンらを見ていた。いやに事務的な処理の仕方だ。同じ釜の飯を食った仲間なのに。どうにも違和感が拭えなかった。
「……ワンのやつはなあ。実は、奥方様も頭を抱える問題児だったんだよ」
「なんだい? お姫様方や暇を持て余しているお妾さんらの竿男ってのは聞いたよ。ちゃんと避妊もしたんだろ?」
「そうなんだが……実を言うと……」
ワン=カーワイは嫁に行った奥方の長女に一度、自分の子を産ませてしまったとムカリは告白した。それだけではない。先ほどまでマリベーラの割れ目をくちゅくちゅして「ひあああん!」と叫ばせた次女のお腹にも彼の子供が宿っていた。妊娠二か月だという。
「ひ、避妊薬はちゃんと飲ませたんだよね?」
「偽薬を使って姫様がたをだまくらかしていたんだよあいつは。大公の婿にでもなるつもりだったらしい。上の姫様とのお子は、大公さまが特別にお許しになって俺達がきゃつの地元に送り届けたんだ……」
この時代の貴族の娘の大切な条件。子を産める丈夫な身体であることである。14歳の時にワンの子供を産んだ事で、ヨハンナの長女は何の気兼ね無く他家へ嫁に出すことが出来た。
次女の妊娠についても大公は存じている。生まれたらワンの故郷へ里子にという条件で許した。しかし立て続けに2人の娘を孕ませたオーガを彼は許さなかった。
「大公さまには密命が下されていたんだよ、俺達は。折を見てワンを毒殺しろとな。クノーへで指折りのオーガの戦士でしかもあんな美男子だ。殺すには忍びなかったんだよ……」
でもそれもマリベーラのおかげで自分達は手を汚さずに済んだ。悲しいといえば悲しいんだけど。ただあいつは姫様2人だけじゃなく他にも余罪があるからなあ。
「あのワンってやつの余罪ってなにさ?」
「近頃はお妾さま方に貢がせる真似もさせるようになった。見ての通りのご立派な代物の持ち主だろ? しかもオーガときている」
いつまでも若々しくて求めたら存分に抱いてくれる。大公からの寵愛が薄れた妾達にとって最高の不倫相手だった。そうなると彼女達はなんでも許してしまう。
「とにもかくにも問題児だった、ってわけさ」
「けっ。つまりは典型的な女の敵ってやつだったんだね。殺して恨まれる事は無さそうだね?」
ムカリは眉を寄せながらうなずいた。先代の大公に雇われて30年、一緒にやって来た仲間だからはいとは言えなかった。
□ □ □ □ □
聖騎士団は予定よりも3日早く目的地のラクシュルツ城へとたどり着いた。糧秣や替えの馬が人数分既に用意されていた。総大将のライナー=イナトミッテンフェルトは皆を広間に集めてこう告げた。
「明日、この城の一番近くにある反乱軍の拠点に攻め入る。諜報の話によれば1000人ほどが籠っていると聞く。まずはそこを攻め落とし、敵の主力が野戦に出るよう誘い出す!」
敵方が籠るのは城壁に囲まれた小さな町だ。この地方の代官の駐留所と裁判所がある。そこにも堀がめぐらされているので街中に小さな城がある様なものだ。
この攻城戦では、要塞で整備されている攻城兵器や直轄地から集めた雑兵を連れて行かない。聖騎士団だけで攻め落とす。そんな城攻めがあるわけがないと見習い騎士たちから声があがった。
「入団してまだ間もない諸君らが疑う気持ちはよくわかる。しかし我らはただの武辺者ではない。王国最強と謡われる聖騎士団の実力を、まずは丘の上で見物していただきたいものだ」
そうして翌朝、夜明けとともに聖騎士団は出発した。敵方に進撃路を事前に通告していた。奇襲や謀計は一切考えず、力だけで思い知らせてやるという意思表示だった。
大方の予想通りに街道で待ち伏せの部隊が襲い掛かった。数は200。反乱軍でも強硬派で、勇猛果敢な者や地元の騎士を集めた者達が揃っていた。
合戦が始まった。イズヴァルトは加わる事が出来なかったが、戦いはあっという間に片付いた。マイヤが緊張して、「おしっこ……う、うんちも!」と叫んだので馬を降ろし、その場で彼女がおしりをめくってぶりぶりとひねるのを見ている最中にけりがついていた。
練度は聖騎士団のほうが遥かに上。ライナーの指揮のもと、統率された動きで横隊を組む反乱軍を撃破。お腹がますます痛くなってびゅるっ、とマイヤが液状の大便を放った時には、勝利の鬨の声があがっていた。
「……加われなかったでござる」
「まあ、いいんじゃないかな。これは前哨戦みたいなものだし……ううう。まだうんちがでそう……」
丸っこくて可愛いお尻を丸出しにしながら、マイヤはまたもびゅるる、と下痢便を尻穴から放った。まるで鳥さんがうんちをするみたいでござるな、とイズヴァルトがぼやいたところで、丘の上で見物していた見習い騎士達が馬に乗ってやって来た。
「おー! いたいた!」
「イズヴァルト、またマイヤちゃんがお腹をこわしたのか!」
「マイヤちゃんのお尻、俺達に拭かせろよ!」
彼等は馬を降りてそこらへんから葉っぱをちぎると、イズヴァルトとマイヤを取り囲んだ。彼女のお尻はかなり茶色く汚れていた。肛門のまわりは液状便でびちゃびちゃだった。
「マイヤちゃん。お尻あげて?」
見習い騎士のうち1人が呼びかけると、マイヤは「は~い!」と答えてお尻をあげた。彼女の肛門を眺め見ながら尻を拭こうとする彼等を、イズヴァルトは不満そうに見ていた。
「なんだよイズヴァルト?」
「マイヤどののうんちのお世話は、拙者のつとめでござるよ!」
「ちっ。イズヴァルトのヘンタイがまた始まった!」
「今日は一体何なんだよ? これまでさんざんマイヤちゃんのおしりを拭かせてくれたじゃないか!」
俺達にもお世話をさせろと少年達は返す。彼等はこの旅の間、マイヤにおちんちんをしゃぶってもらって彼女の魔法がかったお口の虜になった連中ばかり。
愛嬌たっぷりの可愛らしさもさることながら、なんとも言えないおんなのこのいいにおいにもメロメロになってしまっている。もちろん、彼女のうんちのにおいにもだ。他の女の子と比べてとてもかぐわしい。
彼等の多くはマイヤに恋心を抱き始めていた。それをわかっていたから、イズヴァルトはやきもちを焼いて阻止しようとしたのだ。
「おい。尻ぐらい拭かせてくれてもいいだろ?」
「俺達はお前の苦労を肩代わりしようと思って申し出ているんだ。わかるだろ?」
少年達はあれこれもっともらしい理由をつけて、『おしゃぶり』をしてくれる可愛い童女の尻を触ろうとする。いやでござる、とイズヴァルトがきっぱりと言うと途端に険悪な空気が漂い始めた。
このままでは乱闘になるかもしれないと察したマイヤは、弱々しい声でイズヴァルトに呼びかけた。深紫色のきらきらとした瞳を向けてだ。
「イズヴァルトさーん……ここはみんながしたいことをやらせてあげようよ?」
「わ、わかったでござる」
致し方ないでござるな、とうなだれたイズヴァルトはその場から退いた。マイヤの汚れた尻穴のまわりが、少年達が持つ葉っぱで拭かれ始めた。
「ふひっ!」
「ほらほら。こんなによごれちゃって!」
「ひゃほっ!」
「葉っぱじゃかゆいままかもしれないけど、これで我慢してくれよ?」
「ふにゅっ! ぬにゅううう……」
感じやすい尻穴を触られ、くすぐられてマイヤはお腹にまたも違和感を覚えた。但し今度のは大便を催す前触れではなく、快感を得過ぎて子宮が激しく動いてしまったのだ。
「はうう。はううう……」
絶頂を覚えたマイヤは足元がおぼつかなくなって尻もちをつきそうになった。それを少年達のうち1人がすくいあげる。彼は手に葉っぱを持っていなかった。
「……ったく。お前らマイヤちゃんをいじめるなよ?」
マイヤを抱き上げて起こしたのはイズヴァルトと同じ背丈の見習い騎士だ。彼を見てマイヤは「まだおちんちんをしゃぶっていない子だ」と思った。
「それとイズヴァルト。戦場におんなのこを連れてくるんじゃねえよ。マイヤちゃんに流れ矢が当たったらどうするんだよ?」
そう言ってマイヤの恋人をにらみつけたのは、見習い騎士のベートーベン。彼はマイヤをイズヴァルトに渡してこう皮肉った。
「トンダバヤシで活躍したから自信たっぷりに侍女を戦場に連れてこれるってわけかい。いつまでもそうだといいんだがな?」
ミナッカミニア山地の金色エルフ部族の片方の雄・カタシナシュフ大部族の族長の娘。『ガン突きごんぶとちんちん』の異名を持つドワーフの父を持ち、先代の大族長を母に持つハーフリング。
カントニアの亜人種では最強の戦士とされている。同時に暗殺者であり、敏感な身体のせいですぐに「ひああああん!」と泣き叫ぶ、ちょろい女として悪名高かった。
彼女の名前は裏社会では有名だ。絶対に喧嘩になるな。さもなけりゃ金玉をもぎ取られる。ただし女には甘い。
ゴブリン達はとっさに匕首を鞘に収めた。戦うつもりは無いという意思表示だ。彼等は『やまねこ』と恐れられる刺客をよく存じている。
「そういうあんたこそ、どこのどいつだい? ゴブリンでアタイの顔を知っているやつは、そういないとは思うけどさ?」
「ムーツ=ゴブリンのムカリと言えばわかるか? いや、わからないだろうな……」
名前だけは知っている、とマリベーラは笑った。こっちも裏社会ではそこそこの有名人だった。ゴブリンの中ではかなりの戦士である。ここ30年ほど名前を聞いていなかったが、キンキ大陸に渡っていたのかと問う。
「まさか、魔竜さまをやっつける軍に参加したんじゃないだろうね?」
「バカなことだ。俺達の『雇い主』に固く禁じられたよ。死んだワンとともにな」
「……雇い主? ここの大公さんかい?」
あんな愚物が俺達を使いこなせるわけがない、とムカリは返した。雇ったのは先代のナガオカッツェ大公。そして今はその孫娘のヨハンナが雇い主だと。
「おおよそ30年、ワンと彼らとで先代と奥方様の警護や調査を続けていたのだ。俺達の存在を今の大公は気づいておらん」
そしてこの死んだワンこそ、奥方のご息女達や大公の妾らにとって大事な友人だったのだとムカリは告げた。マリベーラは嫌そうな顔をしてつばを吐いた。
「股間の立派なツノでのおまんこのお相手かい?」
「そうだ。孕まないように俺達が避妊薬を煎じて姫がたに飲ませていたから、そのところは抜かりはないがな」
「嫁入り前の女の子を憎らしいツノで可愛がるのも、どうかねえ……」
ゴブリン達は遺体から服を引き剥がしていた。ズボンを脱がされたワンの股間のものは憎々しげに育った立派な代物だった。30センチ近くもある。
マリベーラは目を背けてムカリに言う。衣服を剥がしてどうするのさ。埋めるには裸のほうがいいんだよ。この死は隠匿するつもりだと。
「ワンは旅に出たということにしよう。つい先ごろまで、姫様方に可愛がられたお前が、こいつを殺したとバレないようにな……」
そこまで覗いていたのか。ここに来る前、マリベーラは姫たちに一緒のベッドで寝るのをせがまれてご一緒したが、身体も貪られてしまった。
このハーフリングはちょっと肌を触っただけで「ひゃふん!」と喘ぎ、ふっくらした股の割れ目を探ったりすれば「ひあああん!」と泣き叫ぶぐらいに感度が良い。
それを面白がられてくにくに、ぺろぺろ、ぴちゃぴちゃをされて楽しんでいたのだ。彼女は女にそうされるのを何よりも好んでいた。
「それで手を打ってくれないか。正直、お前を相手の弔い合戦は勝てる気がしない。」
「ありがたいことだよ。けど、そうなっちゃここに居座るのは多分無理かもしれんね。はあ……」
良い居候先が出来たと思ったのに、とマリベーラはうなだれた。ムカリはセルゲイらに「彼女は故郷を追い出されたのか?」と尋ねた。
「ちがうちがう。俺達は『ビジネスチャンス』を掴む為にハン=ソーローと契約したのさ」
「びじねす……なになに? 商売網の拡大という意味か。いったい何の為にだ?」
「わからねえのか? キンキ大陸、特にホーデンエーネンは亜人の傭兵や刺客ってのが他の大陸よりも遥かに少ない。そりゃあ『ムカリさん』達みたいな変わり種もいるけれど、絶対数はほぼ少ないに等しい」
「確かにな。しかしこの大陸は魔竜さまのお膝元でもあるし、俺達があくどいことをすると、きつーいおしおきを受けるのではないかと恐れているが……」
「いやいや。コンゴウアミダラデンに攻め入る軍隊に参加しなきゃいいだけの話ですよ! そうじゃなくてもこのホーデンエーネンは、住民反乱だの内戦だのと、傭兵が儲かりそうな話がゴロゴロとある!」
声の調子を商人のそれに変えて、セルゲイは力説する。軍人稼業のエルフやドワーフにとってこの大陸は、まさにブルーオーシャン。市場開拓の余地がとても広い。
「お隣のイーガには僕たちハーフリングでも手こずる様な強大な魔道兵団がいたり、カントニアのエルフを師団の隊長に抜擢する向きもありますけど、ホーデンエーネンではまだまだのご様子でしてね」
先日の魔竜戦役でやっと亜人の傭兵が雇われたという程度。理由はわかっているとセルゲイは自信ありげに語った。非力のくせに意固地なニンゲンの武者達、つまりは王国の騎士階級が『別人種』の参入を嫌っているのだと。
「なんでしたっけ、ここの精鋭騎士団。ああそうそう。聖騎士団とかいうの。あれがいるから亜人の戦士団はいらない、とかこの国の人々はほざくのですよ」
セルゲイははっきりと言う。亜人の基礎体力や頑丈さに大幅に劣るニンゲンが鍛えたって所詮は虫けらだ。そんなのを育てるんだったら亜人の戦士団を作れば事足りる。特に魔法が使えないという噂が立っているではないか、聖騎士団とかは。
「確かに。このホーデンエーネンには魔法戦士の存在はいないみたいだ。通信魔道士や偵察魔道士は少しばかりいるらしいが、戦闘を専門にするのは聞いたことが無いな」
「そこですよ。そこなんですよ! 僕とほか3人が目を付けたのは!」
セルゲイと他3人の計画。このナガオカッツェの乱で自分達が活躍し、亜人の戦闘力がどれだけ凄いのかを王国の支配層に知らしめる。
作戦だが刺客として反乱軍の拠点に潜り込むが、ハン=ソーローの策は主だった人物を暗殺するという筋書だが、それだけでなく彼等の護衛も一人残らず殲滅する。聖騎士団が和平交渉に取り掛かる前にだ。
その自信はある。首謀者らが潜んでいる拠点も探りを入れて確かめている。その砦には反乱軍に加わったナガオカッツェの名だたる武将や騎士もいるから、彼等の首をあげれば世を驚かすに違いない。
「で、僕らはこの業界では超有名人のマリベーラさんに来てもらって、亜人がどれだけすごいのかをホーデンエーネン人に知らしめてやろうと考えているのですよ」
「いや……まあ……確かに。名前を売るという意味では悪い考えではないと思うが……」
「でしょでしょ? どうです? ムカリさんらも話に乗りませんか?」
そもそも暗殺はゴブリンが得意とするものではないかとセルゲイは呼びかけた。闇討ちはだめだろ、とマリベーラが口をはさんだ。ムカリは手を貸す気は無いと言って断った。
「それこそヨハンナ奥様が望まぬ行いだ。奥様の客分である以上、お前達に力を貸すなんてあり得ない」
「ふーん。しゃあないね。まあそもそも、あんたらのお仲間を殺ったから手を組むことは無理だと思っていたけど……で、どうして仲間の死にそんなに淡々となれるわけさ?」
マリベーラはどこからからスコップを持ち出してきて、ワンの遺体を産める穴を掘り始めたゴブリンらを見ていた。いやに事務的な処理の仕方だ。同じ釜の飯を食った仲間なのに。どうにも違和感が拭えなかった。
「……ワンのやつはなあ。実は、奥方様も頭を抱える問題児だったんだよ」
「なんだい? お姫様方や暇を持て余しているお妾さんらの竿男ってのは聞いたよ。ちゃんと避妊もしたんだろ?」
「そうなんだが……実を言うと……」
ワン=カーワイは嫁に行った奥方の長女に一度、自分の子を産ませてしまったとムカリは告白した。それだけではない。先ほどまでマリベーラの割れ目をくちゅくちゅして「ひあああん!」と叫ばせた次女のお腹にも彼の子供が宿っていた。妊娠二か月だという。
「ひ、避妊薬はちゃんと飲ませたんだよね?」
「偽薬を使って姫様がたをだまくらかしていたんだよあいつは。大公の婿にでもなるつもりだったらしい。上の姫様とのお子は、大公さまが特別にお許しになって俺達がきゃつの地元に送り届けたんだ……」
この時代の貴族の娘の大切な条件。子を産める丈夫な身体であることである。14歳の時にワンの子供を産んだ事で、ヨハンナの長女は何の気兼ね無く他家へ嫁に出すことが出来た。
次女の妊娠についても大公は存じている。生まれたらワンの故郷へ里子にという条件で許した。しかし立て続けに2人の娘を孕ませたオーガを彼は許さなかった。
「大公さまには密命が下されていたんだよ、俺達は。折を見てワンを毒殺しろとな。クノーへで指折りのオーガの戦士でしかもあんな美男子だ。殺すには忍びなかったんだよ……」
でもそれもマリベーラのおかげで自分達は手を汚さずに済んだ。悲しいといえば悲しいんだけど。ただあいつは姫様2人だけじゃなく他にも余罪があるからなあ。
「あのワンってやつの余罪ってなにさ?」
「近頃はお妾さま方に貢がせる真似もさせるようになった。見ての通りのご立派な代物の持ち主だろ? しかもオーガときている」
いつまでも若々しくて求めたら存分に抱いてくれる。大公からの寵愛が薄れた妾達にとって最高の不倫相手だった。そうなると彼女達はなんでも許してしまう。
「とにもかくにも問題児だった、ってわけさ」
「けっ。つまりは典型的な女の敵ってやつだったんだね。殺して恨まれる事は無さそうだね?」
ムカリは眉を寄せながらうなずいた。先代の大公に雇われて30年、一緒にやって来た仲間だからはいとは言えなかった。
□ □ □ □ □
聖騎士団は予定よりも3日早く目的地のラクシュルツ城へとたどり着いた。糧秣や替えの馬が人数分既に用意されていた。総大将のライナー=イナトミッテンフェルトは皆を広間に集めてこう告げた。
「明日、この城の一番近くにある反乱軍の拠点に攻め入る。諜報の話によれば1000人ほどが籠っていると聞く。まずはそこを攻め落とし、敵の主力が野戦に出るよう誘い出す!」
敵方が籠るのは城壁に囲まれた小さな町だ。この地方の代官の駐留所と裁判所がある。そこにも堀がめぐらされているので街中に小さな城がある様なものだ。
この攻城戦では、要塞で整備されている攻城兵器や直轄地から集めた雑兵を連れて行かない。聖騎士団だけで攻め落とす。そんな城攻めがあるわけがないと見習い騎士たちから声があがった。
「入団してまだ間もない諸君らが疑う気持ちはよくわかる。しかし我らはただの武辺者ではない。王国最強と謡われる聖騎士団の実力を、まずは丘の上で見物していただきたいものだ」
そうして翌朝、夜明けとともに聖騎士団は出発した。敵方に進撃路を事前に通告していた。奇襲や謀計は一切考えず、力だけで思い知らせてやるという意思表示だった。
大方の予想通りに街道で待ち伏せの部隊が襲い掛かった。数は200。反乱軍でも強硬派で、勇猛果敢な者や地元の騎士を集めた者達が揃っていた。
合戦が始まった。イズヴァルトは加わる事が出来なかったが、戦いはあっという間に片付いた。マイヤが緊張して、「おしっこ……う、うんちも!」と叫んだので馬を降ろし、その場で彼女がおしりをめくってぶりぶりとひねるのを見ている最中にけりがついていた。
練度は聖騎士団のほうが遥かに上。ライナーの指揮のもと、統率された動きで横隊を組む反乱軍を撃破。お腹がますます痛くなってびゅるっ、とマイヤが液状の大便を放った時には、勝利の鬨の声があがっていた。
「……加われなかったでござる」
「まあ、いいんじゃないかな。これは前哨戦みたいなものだし……ううう。まだうんちがでそう……」
丸っこくて可愛いお尻を丸出しにしながら、マイヤはまたもびゅるる、と下痢便を尻穴から放った。まるで鳥さんがうんちをするみたいでござるな、とイズヴァルトがぼやいたところで、丘の上で見物していた見習い騎士達が馬に乗ってやって来た。
「おー! いたいた!」
「イズヴァルト、またマイヤちゃんがお腹をこわしたのか!」
「マイヤちゃんのお尻、俺達に拭かせろよ!」
彼等は馬を降りてそこらへんから葉っぱをちぎると、イズヴァルトとマイヤを取り囲んだ。彼女のお尻はかなり茶色く汚れていた。肛門のまわりは液状便でびちゃびちゃだった。
「マイヤちゃん。お尻あげて?」
見習い騎士のうち1人が呼びかけると、マイヤは「は~い!」と答えてお尻をあげた。彼女の肛門を眺め見ながら尻を拭こうとする彼等を、イズヴァルトは不満そうに見ていた。
「なんだよイズヴァルト?」
「マイヤどののうんちのお世話は、拙者のつとめでござるよ!」
「ちっ。イズヴァルトのヘンタイがまた始まった!」
「今日は一体何なんだよ? これまでさんざんマイヤちゃんのおしりを拭かせてくれたじゃないか!」
俺達にもお世話をさせろと少年達は返す。彼等はこの旅の間、マイヤにおちんちんをしゃぶってもらって彼女の魔法がかったお口の虜になった連中ばかり。
愛嬌たっぷりの可愛らしさもさることながら、なんとも言えないおんなのこのいいにおいにもメロメロになってしまっている。もちろん、彼女のうんちのにおいにもだ。他の女の子と比べてとてもかぐわしい。
彼等の多くはマイヤに恋心を抱き始めていた。それをわかっていたから、イズヴァルトはやきもちを焼いて阻止しようとしたのだ。
「おい。尻ぐらい拭かせてくれてもいいだろ?」
「俺達はお前の苦労を肩代わりしようと思って申し出ているんだ。わかるだろ?」
少年達はあれこれもっともらしい理由をつけて、『おしゃぶり』をしてくれる可愛い童女の尻を触ろうとする。いやでござる、とイズヴァルトがきっぱりと言うと途端に険悪な空気が漂い始めた。
このままでは乱闘になるかもしれないと察したマイヤは、弱々しい声でイズヴァルトに呼びかけた。深紫色のきらきらとした瞳を向けてだ。
「イズヴァルトさーん……ここはみんながしたいことをやらせてあげようよ?」
「わ、わかったでござる」
致し方ないでござるな、とうなだれたイズヴァルトはその場から退いた。マイヤの汚れた尻穴のまわりが、少年達が持つ葉っぱで拭かれ始めた。
「ふひっ!」
「ほらほら。こんなによごれちゃって!」
「ひゃほっ!」
「葉っぱじゃかゆいままかもしれないけど、これで我慢してくれよ?」
「ふにゅっ! ぬにゅううう……」
感じやすい尻穴を触られ、くすぐられてマイヤはお腹にまたも違和感を覚えた。但し今度のは大便を催す前触れではなく、快感を得過ぎて子宮が激しく動いてしまったのだ。
「はうう。はううう……」
絶頂を覚えたマイヤは足元がおぼつかなくなって尻もちをつきそうになった。それを少年達のうち1人がすくいあげる。彼は手に葉っぱを持っていなかった。
「……ったく。お前らマイヤちゃんをいじめるなよ?」
マイヤを抱き上げて起こしたのはイズヴァルトと同じ背丈の見習い騎士だ。彼を見てマイヤは「まだおちんちんをしゃぶっていない子だ」と思った。
「それとイズヴァルト。戦場におんなのこを連れてくるんじゃねえよ。マイヤちゃんに流れ矢が当たったらどうするんだよ?」
そう言ってマイヤの恋人をにらみつけたのは、見習い騎士のベートーベン。彼はマイヤをイズヴァルトに渡してこう皮肉った。
「トンダバヤシで活躍したから自信たっぷりに侍女を戦場に連れてこれるってわけかい。いつまでもそうだといいんだがな?」
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いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

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