聖騎士イズヴァルトの伝説 外伝 『女王の末裔たち』

CHACOとJAGURA

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第一部 少年騎士と幼き侍女(幼年編から少年編の間のお話)

02 遠征行①

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 イズヴァルトはいまだに、騎士団への出仕を許されていない。
 
 市井の子供らと同じように、午前はマイヤとともに学問所。午後は道場や国王が紹介した行政官に帳簿や触書などの政務についての勉強ばかり。

 そんな毎日でも頭と身体はくたくたになる。夕方に戻ればマイヤが先に戻っており、父がつけてくれた手伝いの女による夕餉をとる。

 手伝い女が家に帰ると、2人は湯あみをしに浴室へと向かう。最近入ったこの部屋は、最初に借りたところよりも値は張ったが広くて最新の設備があった。

 イーガ魔法工房産の風呂桶がそれ。水を張ると温熱魔法であったまるものだ。ホーデンエーネンの大きな街ではそこそこの収入の家庭にあった。

 一緒に身体を洗い、湯舟に浸かりながら語り合う。今日の学問所では外国語を学んだ。サイゴークの言語は動詞と形容詞の順番が逆だね。複式簿記はマイヤの前世の世界にもあるのでござるか。

 そんな話を石鹸で泡立てた身体をすりつけ合い、互いに悶えながら続けた。マイヤはイズヴァルトが折り曲げた右足に乗っかり、己の秘所をぬるぬるとした肌で刺激する。彼女のほんのりとした柔らかい身体と肌に、イズヴァルトは否応なく勃起した。

 垢を落とした後に湯舟の中では睦みあいが行われる。イズヴァルトは腰を浮かせ、マイヤに吸い立てさせた。ふぬううん。マイヤ、そなたのちゅぱちゅぱはいつも思うが魔法がかかっているように思えるでござる。

「もう少し表現に工夫はしないの?」
「ううう……気持ちよすぎて、頭に血が回らないのでござるよ……」

 勉強と道場稽古で身体と頭は疲れきっている。そんな中で彼女の口の中で射精することはその晩の一番心地よい行いだった。けれども、彼は毎度湯舟の中で3回も射精をしなければならない。そうでないとマイヤが満足しないからだ。

「ぷはーっ! とってもおいしかった!」

 フェラチオによる飲精を3回終えると、2人は風呂からあがりしばらくの間語らうと寝床で抱き合いながら眠りにつく。それが一日の日課である。イズヴァルトはマイヤの素行の悪さに悩まされた。

 互いに素っ裸で眠るものだから、寝ている間にちゅぱちゅぱとやられて飲まれたり、かかとを食わされたりするのがしょっちゅうあった。

 それでも怒る事はまず無かったが、寝ぼけ眼で自分の顔に乗って顔面騎乗をされると流石に息ができなくなってしまう。

 そんな時についついすけべ心が働いて、彼女の甘いミルクにおいのするヴァギナを舐めて「ううーん!」と悶えさせてみたりするのだが、最近は果てると同時におしっこをちびってしまう癖がついていたから、甘い愛液のあとに渋い味のする飲料を口にするのもしばしばだった。

(ううむ……)

 イズヴァルトはふと思った。彼女は転生人で自分より精神は大人のはずなのだが、ひどく子供っぽい。本当に大人の女性であった過去があったんだろうか。

 眠りながらの愛撫で果て、すやすやと眠る可愛い侍女を抱きすくめながら考える。前世はとても子供じみた女の人だったかもしれない。甘い香りのする艶やかな髪を撫でながら深い眠りにつく。それがこの少年の普段の生活だった。


□ □ □ □ □


 そんな平々凡々な毎日を送る少年イズヴァルトだが、最近は少し気を張る様になった。槍術の道場での鍛錬を午後2時に変えた3カ月前から、ライバルとなりうる存在を知ったからだ。

 ルートヴィッヒ=ベートーベン。イズヴァルトの2歳年上。南のヨーシデン地方の小領主の倅。兄が家督を継ぐので領地がもらえず、身分が低くても入団できるという聖騎士団入りを希望しこの春に見習いとなったという。

 背丈はイズヴァルトと同じだが横が広い。声が大きく荒々しい顔立ちで、領主の息子というよりも傭兵団の親分の子、みたいな風貌だった。

 家が貧乏なので仕送りがあまり望めず、聖騎士団の見習い達が住まう宿舎で寝起きしているという。宿舎の風呂場ではナニを洗う名目で手淫と射精までするやつがざら、などと下世話な話も教えてくれた。

 腕っぷしはイズヴァルトよりも強い。腕相撲や棒での打ち合いでは勝てなかった。技巧ではイズヴァルトの方が勝っているが、ルートヴィッヒは力任せに荒っぽく打ちつけるやり方を通していた。

「それまで! 勝者はベートーベン!」

 負けたでござる、とイズヴァルトは頭を下げる。棒を避けずに受け止めて打ち合うやり方のこの試合は、イズヴァルトは得意では無かった。けれども合戦では役に立つ武技だ。

 くやしいでござるとつぶやくと、ベートーベンは大笑いしながらイズヴァルトの背中を叩いた。

「どうしてもこれだけは俺様に勝てないぜ、イズヴァルト! お前は棒術じゃなくて剣術をきわめとけよ!」

 しかし今日も何だか気が抜けた様な構え方だったなあとベートーベンは指摘する。こいつは常にどこか疲れている様な気配を漂わせている。自分にも覚えがある感じのものだ。

「昼間もむらむらとしてシコっちまったか? あんまりやりすぎるとすぐに老けるぜ」

 俺は先輩の言いつけ通りに夜の風呂場と朝の糞をひねりながらの2回でとどめているからな。と大声で告げる。13歳の、しかも身体の頑丈な少年にとっては節制と同意義であった。

 下世話でござるよ。武者を志す同年代の少年はこうも品が無いのかとイズヴァルトは思った。大人の女性であった前世の記憶があるとはいえ、いとけない幼女にフェラチオをさせる者が品の無い言葉をなじる資格は無かったが。

 この道場のこの時間で聖騎士団から来た者達は、イズヴァルトとルートヴィッヒだけだった。他は市井の子達ばかり。女の子も何人かいる。

 それからすぐにイズヴァルトとルートヴィッヒは道場を出た。昼は食ったが腹が減ったのでどこかの屋台で軽い食事を取りに行く為だ。門を出たところでルートヴィッヒを呼ぶ少女の声がした。イズヴァルトは振り返った。

 この時間によく顔を見せる女の子たちのうちの1人。イズヴァルトの1歳年上と聞いていた。目つきがよろしくなくあまり話す事は無かったが、道着から盛り上がる胸は大きかった。あと、焼いた牛肉の様な腋臭持ち。

「イズヴァルト君も一緒? ルートヴィッヒさん。ちょっとだけ時間をくれませんか?」

 どこか媚びたような声色でルートヴィッヒに呼びかける。一緒に帰ろうとするとたまにルートヴィッヒは女の子達に呼び止められる。昨日は別の女の子でござったな。

「いいぜ。先週のところでいいか?」
「いいですよ。先に行って待ってますからね!」

 女の子は走り去って行った。なんなのでござるかとイズヴァルトが問うとルートヴィッヒは「興味あるか?、とささやく。返答に困っているところに無理やりに連れていかれた。

 場所はこの街区の人気の無い公園だ。ただ廃墟みたいなものがあるのでマイヤとともに訪れた事がある。1階の部分だけ顔を出した、石造りの物見塔みたいなものがそれ。王国がナントブルグを都として定めた頃以前のものらしい。

 1メートルほどの高さの入口が四方にあり、子供達のかくれんぼや雨宿りに適していた。ルートヴィッヒはあれを指さしてこう言った。

「あいつはあの中にいるはずだ。イズヴァルト、勉強の為にのぞいたっていいんだぜ?」
「何をでござるか?」
「とぼけんなよ! 忍び足でな!」

 また背中を叩かれた。痛いだけでなくむせてしまい、咳をしながらイズヴァルトは走っていくルートヴィッヒを見届けた。とりあえず中に入っていった彼を追う。茂みを利用して傍まで近づいた。

 中からうめき声と喘ぎ声とがかすかに聞こえていた。そっとのぞいてみると暗がりで良く見えなかったが、ルートヴィッヒがズボンを降ろして尻丸出しにし、激しく腰を振っていたのが見えた。

 それだけではなかった。壁に押し付けられて片脚を大きく持ち上げられた女の子と下腹が、彼の露わになったそれと叩きあっていたのだ。

 聞き覚えのある吸着音を聞きながら、イズヴァルトは2人の行いをじっくりと見た。ルートヴィッヒは早くに終わらせたい性格の様で、見始めてから2分で彼女のヴァギナから抜き、土の上に精液を放った。

 行為が終わった後、女の子はルートヴィッヒに抱き着いてキスを求めてきた。彼はそれを受け入れて接吻を施す。もう一度やりたくなったのかペニスが勃起していた。

「ねえ……みんなの中で誰が一番好き?」
「お前って言っとけば、今日はもう一回やらせてくれるのか?」
「……他の子とは2回もしないの?」

 ルートヴィッヒはうなずいた。嘘であった。最低でも2発。ただこの女の子は2回目には、必ず最後まで中でやらせてくれる事が多かったからそうしただけだった。

「うれしい!」

 女の子がしがみつく。精をたらしたままのルートヴィッヒの勃起が、まだ濡れている彼女の秘所に導かれて奥に進みこんだ。2度目でもやっぱり彼は早漏だった。ただし、直前に抜いて外で放つやり方よりも精神的に気持ちがいいやり方で。

 行為が終わると女の子はハンカチで股を拭い、じゃあねと言って外に出ようとする。イズヴァルトは見つかるとまずいからと低木の裏に隠れていたから、彼女には見つからなかった。

 しばらくしてルートヴィッヒが外に出ると、彼は枝の隙間から手を出して招いた。あのお嬢さんは貴殿の恋人さんでござるか?

「……なわきゃないだろ。あいつはただのカキタレだぜ?」
「かきたれ……なんなのでござるか、それは?」

 知らないのかよとベートーベンは笑う。最初に彼女達平民の娘は、貧乏貴族の倅でも高嶺の花そのものなのだと前置きして語った。

「平民の女の子の中には、俺達騎士や貴族におちかづきになりたい連中がごまんといるんだよ。あいつと……あと、今日道場に来ていた女の子はそうした連中。あいつらはそれ目当てで道場に来ているんだよ」

 大体、兵士にでもなろうっていうつもりもないどこぞの小娘が、槍と棒の鍛錬に来るのはおかしい話じゃないかとルートヴィッヒは言った。

 道場には平民にとってあこがれの様な身分の倅ばかりがいた。決して実家は豊かではなかったけれど。そんな貴族階級では下っ端の彼等でも、平民の女の子を騙してこます事は容易だった。

 ルートヴィッヒはあの道場で、この年頃では一番強かったからいやおうなしに目立っていた。それに聖騎士団の見習いでもあると言いふらしていた。なので彼女達に目をつけられたのだ。

「あいつらとは半年近くこういう関係が続いているよ。お前に目を付けないのがどうもわからねえんだけどな?」

 イズヴァルトは美少年である。半ば爬虫類みたいな顔をしている自分よりも女にもてるはずだとベートーベンは思っている。ただ自分の実家よりも位が上の子供だから、既にいいなずけがいるのだろうな、とぐらいは推測していた。

「ルートヴィッヒどのにいつも負けているからでござろう」
「まあ、それもあるだろうな! 俺様のほうが出世しそうだしな!」

 ルートヴィッヒは「こいつには負けるもんか!」という敵愾心を、イズヴァルトに抱いていた。山奥とはいえシギサンシュタウフェン家の御曹司。あそこの領地はなかなかの実高だと騎士団の先輩達にも教えてもらっていた。

 ただ、イズヴァルトがトンダバヤシの戦いで活躍したことや、それによって破格の待遇を得ている事は知らされていない。知ればきっとやっかみのもとになるからだ。聖騎士団員は少年が大活躍するところをその目で見ている。でも伝聞のみの者は知れば別に理由があるのだろうと、嫉妬をむき出しにして批難してくるに違いなかった。

「そん時はお前を副官にして取り立ててやるからな!」
「ありがたい事でござる……どうも拙者は人の上に立つ、使うのが苦手な性分ゆえ。できれば先手衆に組み込んで欲しいものでござるよ」
「……俺の隊は頭目みずからが先頭を駆けるつもりにするぜ?」

 ベートーベンは笑った。出世したら本当にそうしたいという事でもあったが、イズヴァルトにええかっこしいをさせない為でもあった。俺様のほうが強いけどこいつはかっこいいから余計に目立つ。先手なんて絶対にやらせない。

 それよりもイズヴァルトは別の事を考えていた。ベートーベンが気持ちよく膣に放精していた相手の事についてだ。雰囲気が良くない感じがしていたから無意識のうちに彼女は避けていたが。

「しかし、ああいうことをしていてはあかちゃんが出来てしまうでござるよ?」
「見習い騎士でもそのへんの兵士よりかは多く貰ってるぜ? ガキが出来たって養えるぐらいできらあ。今日来ていた女の子達全員に子を産ませても、育てるぐらいの収入があるだよ。俺とお前にはな。それにあいつらのことだから、ちゃんと孕み防ぎの薬でも飲んでいるだろうよ!」

 今一つ、イズヴァルトは信じられなかった。彼は財布を親に管理されている。ただ普通の見習いは正式な騎士のヒラの半分は貰っていると聞き及んでいる。この未来の英雄の実収入の5分の1未満だった。

「そういうわけだ」
「そういうわけとはどういうわけでござる?」
「ははは、気にすんな! さあ、ちょっとつまみ食いしに行くぞ! 俺はこれから宿舎に戻って自己鍛錬だからな! 飯時まで腹が持ちやしねえよ!」

 ルートヴィッヒがイズヴァルトの肩を掴む。イズヴァルトは釈然としない気持ちでいっぱいだった。女の子が避妊薬を必ず飲んでくれているだろうという、彼の楽観についてである。
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