6 / 16
6章
青いマフラー
しおりを挟む
深夜勤の職場に行くと、具合の悪そうな優芽がいた。
「優芽、大丈夫?」
「うん。」
「今日は家で休んだら?」
「だって代わりいないじゃん。」
「主任さんもいるし、なんとかなるよ。」
「ねぇ、蓮見。明日、ついてきてほしいところがあるんだけど。」
「いいよ。どこ?」
「予約入れたの、ここ。」
優芽は小さな産婦人科の病院を携帯で見せた。
「優芽……。」
「誰にも知られたくないから。」
「もしかして、彼の?」
「ずっと、生理がこないから……。そんなの、この仕事始めてからよくあることなんだけど、やっぱりおかしいなって調べたら……。」
「彼、知ってるの?」
「あいつとはこの前、別れたの。もう会うつもりもないし、この事は言ってない。だけど私一人で育てられないし、残念だけどあきらめるかなって。」
「優芽……。」
「ごめん、一人で行くの嫌でさ。ついてきて。」
「わかった。それより、今日は休んで。」
「大丈夫。仕事すれば、気分が悪いのも忘れるから。」
「見回りは私が行くよ。」
「ありがとう、蓮見。」
次の日、職場を出た二人は蓮見の家にいた。
「タクシー、呼ぶね。」
蓮見は優芽をベッドに横にさせた。
玄関のチャイムがなり、覗き窓を見ると龍が立っていた。
「あっ、龍さん。」
「今日は休みだろう?」
「うん。休みだけど、友達がきてて。」
「あっ、ごめん。店、手伝ってほしかったけど、無理だったかな。」
アパートの階段を上ってくる足音が聞こえる。
「ここで話すと人が見てるから、中に入って。」
部屋にきた龍は、ベッドで横になっている優芽を見て
「なんか、体調悪そうだけど、大丈夫?」
「大丈夫ですよ。蓮見、やっぱり私、一人で行くわ。」
フラフラと一人で歩き出した優芽を龍が支えた。
「大丈夫じゃないでしょう? 病院行こう。俺、車取って来るから待ってて。」
龍は走っていった。
「ごめん、蓮見。」
「優芽。頼もうよ。」
龍の車に蓮見と優芽が乗る。蓮見は龍に行き先を告げた。何も言わず走り出した龍。
「俺、近くにいるから、終ったら電話して。」
「わかった。ありがとう。」
「じゃあ。」
診察室から出てきた優芽は、エコー写真を持っていた。
「優芽?」
「3ヶ月だって。しかも双子。」
「産む事にしたんでしょう。」
泣いてる優芽に、蓮見は言った。
「強い子達だね。座る暇もないくらい働いても、優芽にしがみついてるんだから。」
「蓮見……。」
「師長に話そう。わかってくれるよ。それに、彼にもちゃんと言ったら?」
「そうだね。いろいろありがとう。ここからタクシーで帰るから、蓮見は彼と帰って。」
「ダメだよ。」
「蓮見の彼、優しい人だね。最初は少し怖かったけど、蓮見の事が本当に好きなんだね。」
「かっこいいでしょう。」
「私にちょうだい。」
「へっ?」
「さっき、支えてくれた時、ちょっとドキドキした。男性恐怖症の蓮見なのに、あんな素敵な人とよく一緒にいられるね。」
「私とは釣り合わない人なの。いつか冷めるだろうなって思ってる。」
「そうかな。あの人はみんなに優しいけど、蓮見とは違う空気なんだよね。」
龍が病院の前にやってくる。
「大丈夫? 家まで送るよ。」
龍が優芽にそう言うと、
「それなら、区役所まで送ってください。あとは一人で大丈夫だから。蓮見、また明日。せっかくの休みなのにごめんね。師長もあいつにも、ちゃんと自分で話すから。」
区役所の前に着くと、龍は本当に大丈夫なのかと何度も優芽聞いたが、優芽はどうしても一人で行くというので、仕方なくその場で別れた。
二人っきりになった車の中で、
「ごめんなさい。」
蓮見は龍に謝った。
「こういう時は謝らないでお礼を言ってよ。今日は仕入れた服が届くから、店にキレイに並べてほしいんだけど。」
「私、あんまり器用じゃないですよ。」
「ゆっくりやって。俺は蓮見をずっと見てるから。」
「不器用だし、あんまり見ないください。」
蓮見がそう言うと、
「じゃあ、ずっと俺の方を見てれば?」
そう言って龍は笑った。
店の前に着くと、龍を目当てに女の子達が待っている。
女の子達が龍を囲んだ。
「蓮見、こっち。この段ボールがみんなそうだから。」
龍は蓮見に積み上げられた段ボールを指さした。
「何、新しいバイト?」
女の子の一人にそう言われた蓮見は、バイトです、そう答えた。
段ボールから服を出しては畳み、棚に並べていた蓮見は、時間の事も龍の事も忘れていた。
「蓮見!」
「あっ、どうしたの?」
「もうお昼にしよう。」
「この段ボールが終わったら……。」
「一度休憩しようよ。ゆっくりやるように言ったはずだよ。」
龍は蓮見にサンドイッチを渡した。
「さっき、コンビニで買っておいたんだ。」
「ありがとう。」
「それ食べたら、続きをやって。」
蓮見は頷いた。
「そうだ、これ。」
龍は蓮見に鍵を渡した。
「これは?」
「俺の家の鍵。今日はバーに行くから、帰って先に寝てなよ。今、地図書くから。」
龍はメモ用紙に地図を書いた。
「わかった?」
蓮見はメモの向きを上下にひっくり返し見ていた。龍は蓮見の後ろに座ると、蓮見の右肩に顎を乗せ、両手を包んだ。
「いい? こっちの道が右だよ。」
蓮見は窓を見た。
「左は反対。このままの向きで持って帰るんだよ。」
蓮見の頬に龍がキスをする。
「今日は遅くなるかもしれないから、先に休んでて。明日の朝は、ちゃんと送って行くから。」
「龍さん。」
「何?」
「私、めんどくさいでしょう。」
「何が?」
「生活はぐちゃぐちゃだし、右と左を間違えるし。」
「そんな事、心配しなくていいって。」
龍は笑っていたが、蓮見は下を向いた。
「蓮見と会ってから毎日楽しいよ。」
蓮見は龍の言葉に少しホッとした。
「またバイトに戻る。」
「わかった。頼んだよ。」
最後の段ボールを開くと、中から青いマフラーが出てきた。
「あっ、これ。あの手袋とお揃いの物だ。」
龍はマフラーを蓮見の首に巻いた。
「今日のバイト代。もう帰って休みな。寝てないだろうし、疲れだろう。あとは俺がやるからもういいよ。」
「ううん。これを終わらせてから帰る。」
蓮見はマフラーを大切に畳み、龍がくれた部屋の鍵をその横に置いた。そして、段ボールの中の服を取り出して、また畳み始めた。
「けっこう頑固だよな。」
龍はそう言うと、女子高生達が集団で入ってきた。
蓮見は段ボールを奥に引っ張ると、女子高生達の邪魔にならないように服を畳んだ。
「ねぇ、龍。あの青いマフラーほしいんだけど。」
一人の子がさっきのマフラーを指さす。
「あれは、あの人の私物だよ。」
「なーんだ。あの人バイト?」
「えっ?」
話しをはぐらかす龍。
「ねぇ、私も雇ってよ。」
「うちは面接、めっちゃ厳しいよ。」
「あの人はどうして採用されたの?」
「あの人はね、俺を一瞬で落とす薬を持ってる。」
「ヤバッ。」
龍と女子高生は笑っていた。
「お姉さん、こんな時間にバイトして、夜の人?」
女子高生の一人が蓮見に話し掛ける。
「そう。夜働いてる。」
「それにしては地味だよね。もう一つの顔があるとか?」
「ないよ。これが自分。」
女子高生は蓮見が手にしているピンク色のパーカーを見て、これちょうだい、と言った。
「どうぞ。」
「ありがとう。龍、これいくら?」
女子高生はそれを持って龍の所へ向う。
「優芽、大丈夫?」
「うん。」
「今日は家で休んだら?」
「だって代わりいないじゃん。」
「主任さんもいるし、なんとかなるよ。」
「ねぇ、蓮見。明日、ついてきてほしいところがあるんだけど。」
「いいよ。どこ?」
「予約入れたの、ここ。」
優芽は小さな産婦人科の病院を携帯で見せた。
「優芽……。」
「誰にも知られたくないから。」
「もしかして、彼の?」
「ずっと、生理がこないから……。そんなの、この仕事始めてからよくあることなんだけど、やっぱりおかしいなって調べたら……。」
「彼、知ってるの?」
「あいつとはこの前、別れたの。もう会うつもりもないし、この事は言ってない。だけど私一人で育てられないし、残念だけどあきらめるかなって。」
「優芽……。」
「ごめん、一人で行くの嫌でさ。ついてきて。」
「わかった。それより、今日は休んで。」
「大丈夫。仕事すれば、気分が悪いのも忘れるから。」
「見回りは私が行くよ。」
「ありがとう、蓮見。」
次の日、職場を出た二人は蓮見の家にいた。
「タクシー、呼ぶね。」
蓮見は優芽をベッドに横にさせた。
玄関のチャイムがなり、覗き窓を見ると龍が立っていた。
「あっ、龍さん。」
「今日は休みだろう?」
「うん。休みだけど、友達がきてて。」
「あっ、ごめん。店、手伝ってほしかったけど、無理だったかな。」
アパートの階段を上ってくる足音が聞こえる。
「ここで話すと人が見てるから、中に入って。」
部屋にきた龍は、ベッドで横になっている優芽を見て
「なんか、体調悪そうだけど、大丈夫?」
「大丈夫ですよ。蓮見、やっぱり私、一人で行くわ。」
フラフラと一人で歩き出した優芽を龍が支えた。
「大丈夫じゃないでしょう? 病院行こう。俺、車取って来るから待ってて。」
龍は走っていった。
「ごめん、蓮見。」
「優芽。頼もうよ。」
龍の車に蓮見と優芽が乗る。蓮見は龍に行き先を告げた。何も言わず走り出した龍。
「俺、近くにいるから、終ったら電話して。」
「わかった。ありがとう。」
「じゃあ。」
診察室から出てきた優芽は、エコー写真を持っていた。
「優芽?」
「3ヶ月だって。しかも双子。」
「産む事にしたんでしょう。」
泣いてる優芽に、蓮見は言った。
「強い子達だね。座る暇もないくらい働いても、優芽にしがみついてるんだから。」
「蓮見……。」
「師長に話そう。わかってくれるよ。それに、彼にもちゃんと言ったら?」
「そうだね。いろいろありがとう。ここからタクシーで帰るから、蓮見は彼と帰って。」
「ダメだよ。」
「蓮見の彼、優しい人だね。最初は少し怖かったけど、蓮見の事が本当に好きなんだね。」
「かっこいいでしょう。」
「私にちょうだい。」
「へっ?」
「さっき、支えてくれた時、ちょっとドキドキした。男性恐怖症の蓮見なのに、あんな素敵な人とよく一緒にいられるね。」
「私とは釣り合わない人なの。いつか冷めるだろうなって思ってる。」
「そうかな。あの人はみんなに優しいけど、蓮見とは違う空気なんだよね。」
龍が病院の前にやってくる。
「大丈夫? 家まで送るよ。」
龍が優芽にそう言うと、
「それなら、区役所まで送ってください。あとは一人で大丈夫だから。蓮見、また明日。せっかくの休みなのにごめんね。師長もあいつにも、ちゃんと自分で話すから。」
区役所の前に着くと、龍は本当に大丈夫なのかと何度も優芽聞いたが、優芽はどうしても一人で行くというので、仕方なくその場で別れた。
二人っきりになった車の中で、
「ごめんなさい。」
蓮見は龍に謝った。
「こういう時は謝らないでお礼を言ってよ。今日は仕入れた服が届くから、店にキレイに並べてほしいんだけど。」
「私、あんまり器用じゃないですよ。」
「ゆっくりやって。俺は蓮見をずっと見てるから。」
「不器用だし、あんまり見ないください。」
蓮見がそう言うと、
「じゃあ、ずっと俺の方を見てれば?」
そう言って龍は笑った。
店の前に着くと、龍を目当てに女の子達が待っている。
女の子達が龍を囲んだ。
「蓮見、こっち。この段ボールがみんなそうだから。」
龍は蓮見に積み上げられた段ボールを指さした。
「何、新しいバイト?」
女の子の一人にそう言われた蓮見は、バイトです、そう答えた。
段ボールから服を出しては畳み、棚に並べていた蓮見は、時間の事も龍の事も忘れていた。
「蓮見!」
「あっ、どうしたの?」
「もうお昼にしよう。」
「この段ボールが終わったら……。」
「一度休憩しようよ。ゆっくりやるように言ったはずだよ。」
龍は蓮見にサンドイッチを渡した。
「さっき、コンビニで買っておいたんだ。」
「ありがとう。」
「それ食べたら、続きをやって。」
蓮見は頷いた。
「そうだ、これ。」
龍は蓮見に鍵を渡した。
「これは?」
「俺の家の鍵。今日はバーに行くから、帰って先に寝てなよ。今、地図書くから。」
龍はメモ用紙に地図を書いた。
「わかった?」
蓮見はメモの向きを上下にひっくり返し見ていた。龍は蓮見の後ろに座ると、蓮見の右肩に顎を乗せ、両手を包んだ。
「いい? こっちの道が右だよ。」
蓮見は窓を見た。
「左は反対。このままの向きで持って帰るんだよ。」
蓮見の頬に龍がキスをする。
「今日は遅くなるかもしれないから、先に休んでて。明日の朝は、ちゃんと送って行くから。」
「龍さん。」
「何?」
「私、めんどくさいでしょう。」
「何が?」
「生活はぐちゃぐちゃだし、右と左を間違えるし。」
「そんな事、心配しなくていいって。」
龍は笑っていたが、蓮見は下を向いた。
「蓮見と会ってから毎日楽しいよ。」
蓮見は龍の言葉に少しホッとした。
「またバイトに戻る。」
「わかった。頼んだよ。」
最後の段ボールを開くと、中から青いマフラーが出てきた。
「あっ、これ。あの手袋とお揃いの物だ。」
龍はマフラーを蓮見の首に巻いた。
「今日のバイト代。もう帰って休みな。寝てないだろうし、疲れだろう。あとは俺がやるからもういいよ。」
「ううん。これを終わらせてから帰る。」
蓮見はマフラーを大切に畳み、龍がくれた部屋の鍵をその横に置いた。そして、段ボールの中の服を取り出して、また畳み始めた。
「けっこう頑固だよな。」
龍はそう言うと、女子高生達が集団で入ってきた。
蓮見は段ボールを奥に引っ張ると、女子高生達の邪魔にならないように服を畳んだ。
「ねぇ、龍。あの青いマフラーほしいんだけど。」
一人の子がさっきのマフラーを指さす。
「あれは、あの人の私物だよ。」
「なーんだ。あの人バイト?」
「えっ?」
話しをはぐらかす龍。
「ねぇ、私も雇ってよ。」
「うちは面接、めっちゃ厳しいよ。」
「あの人はどうして採用されたの?」
「あの人はね、俺を一瞬で落とす薬を持ってる。」
「ヤバッ。」
龍と女子高生は笑っていた。
「お姉さん、こんな時間にバイトして、夜の人?」
女子高生の一人が蓮見に話し掛ける。
「そう。夜働いてる。」
「それにしては地味だよね。もう一つの顔があるとか?」
「ないよ。これが自分。」
女子高生は蓮見が手にしているピンク色のパーカーを見て、これちょうだい、と言った。
「どうぞ。」
「ありがとう。龍、これいくら?」
女子高生はそれを持って龍の所へ向う。
10
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる