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地球編 第4章 ハリーと運命

第12話 命のきらめきとそこにある危機

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「あれは何をしているのですか?」

 円陣の結界の中に、ハリーの体が横たえられていた。
 そしてその結界の前に立ち、シヴァはひとり不思議なダンスを踊っていた。

「あれが有名なシヴァの破壊と再生の舞です。
 私が見るのは、これで2度目です」
と、ジャド師は言った。

「いろいろな種類があると言われています。
 踊り手によって違うものらしいのです。
 霊力が源の踊りですから、どのような霊力を持ち合わせているかによって違うようです」

 世にも妖しく美しい、不思議な踊りだった。

「精霊が円陣の中に入って、邪魔をしないように、踊っているのです。
 そうでなければ、精霊たちが円陣の中に入って悪さをし、時にはその魂をも食らうと言われています」

 世にも妖しく美しい踊りは、不思議なエロスを放ちながら、なおも続いていた。
 
「中にいる者を守るために、シヴァさまはその踊りで精霊たちのこころを奪い、エロスとエクスタシーで精霊たちのこころを満たしているのです」
 ジャド師はそう言いながら、その踊りに見入っていた。

「破壊と創造の舞を踊れる踊り手は、この宇宙に何人かいるのですが、このシヴァさまの舞に敵うものは誰もいないと言われています」
とジャド師は言った。

 その頃ハリーは、不思議な夢を見ていた。
 美しい女神のような女性が夢の中に現れ、ハリーを誘惑した。
 しかしハリーの心はすでに、フェリーへの想いで満たされていたので、その美しい女神に心を奪われることはなかった。そのせいだったのだろうか? 次の瞬間、美しい女神が鬼の形相に変わった。と同時に、円陣の中に風が吹き荒れ、ハリーは嵐の中に投げ出された。

 円陣の外でも、異変が起きていた。
 突然、轟音と共にシヴァの体が宙に浮き、そのシヴァに向かって、精霊たちが我先にと飛びついた。
 そしてシヴァの体に抱き着き、なめまわし、おいしい獲物を食べるかのように、その蜜をむさぼり始めた。
  
 しかしふたりの窮地を、救ったものたちがいた。
 教団の病院へ少年が現れたと聞いてかけつけた、ミカエルとヨハネだった。
 ふたりはそのフォースでセザール(シヴァ)とハリーの窮地を救った。

 治療は成功し、ハリーは息を吹き返したのだが、その時、この世に副産物をもたらしていた。
 古(いにしえ)の魂も、息を吹き返してしまったのだ。
 幸いにもハリーの魂は目覚めた古の魂に飲み込まれることはなかった。
 しかし古の魂は、深層意識の奥深くにまで入り込み、誰にも知られることなく、ハリーの潜在意識の中にある特殊な種をまいた。
 それは不幸と幸せが入り交じる、特別な運命の種だった。






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