「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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地球編 第4章 ハリーと運命

第11話 グランドマスターと委員会の答えは・・・

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「委員会から許可が下りました」
とシヴァが告げたとき、オリオンとジャド師は嬉しさのあまり、涙があふれ出てきた。

 それを見てシヴァはつらそうに言った。
「ただ、条件付きでした」
そして、そのまま口を閉ざした。

「どのような条件なのですか?」
と言ったのは、オリオンだった。

「我々はちょうど、マルデク星の消失により大切な結界を失ったばかりです。
 その結界をどう再構築するか、それが今、最大の問題になっています。
 そして一度死んだ魂を蘇らせるには、それなりの犠牲が必要で、代わりの命が必要になるのです。
 委員会はその命の代わりに、マルデクに結界をもたらしていたある魂を使えというのです」

 シヴァはその治療を明らかにためらっていた。
 
「それは眠れるいにしえの魂で、それを目覚めさせると、この世に災いをもたらすと言われています。
 普通は惑星の奥深くに、目覚めることがないように、封印して収められているものです。
 その魂を使えと、言うのです」

「それはどういう意味ですか?」

「この少年の体に、いにしえの魂を埋めこみ、結界を作れということです」

 その危険性を知るシヴァは、成功したとしても、少年が背負うことになる負の要素は大き過ぎると思った。

「もしこの少年が、ジャド師が言うように、本当の“滅びの子”であり“救いの子”であるならば、その魂を埋めても、いにしえの魂が目覚めることはない、と委員会は言うのです。
 しかし最悪の場合を考えると、私は躊躇します」

 そうシヴァは言った。 

「時間を逆行させるので、肉体は再生しますが、膨大なエネルギーの渦に身を任せることになるので、精神がそれに耐えられないケースがあるのです」

 シヴァは最後に、こう付け加えた。

「今回は特にリスクが大きい。
 眠れる魂が目覚めたならば、この少年はその体を乗っ取られることになります」
















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