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地球編 第4章 ハリーと運命

第10話 ”滅びの子”と彼方の光

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 ジャド師は健在だったが、高齢のため、最近はほとん研究室にこもり、診察に出てくることは無かった。
 しかし門番がオリオンと顔見知りだったおかげで、特別にジャド師と連絡をとってくれた。

 「エルフィンの子どもが、病気だと言えばわかる、と言って、昔、教団に滞在していたことがある、オリオンというものが、ジャド師を訪ねて来ています。
 病気の子供と一緒なのですが、お会いになりますか?」

「エルフィンの子供、と申したのか?」

「はい」 

「診察室へ通してくれ。今、すぐ行く」
とジャド師は言い、診察室へ急いだ。

 そしてすぐに診察してくれたのだが、出てきた言葉は、
「この症状は、私でも無理だ、治せない」
と、オリオンの期待を裏切るものだった。

「しかし、この宇宙に、治せるものがいないわけではないのだ。
 ただ、その方に来て頂くにも、宇宙連合の許可がいるし、その方が今、どこにいるのかが問題だ。
 でも、取りあえず、努力はしてみよう」
とジャド師は言った。

 そしてすぐ、ジャド師は宇宙連合のメッセンジャーと連絡を取ったのだが、

「本当ですか?」

「はい、もうすぐ地球を離れますが、ちょうど今、休暇中で、地球に滞在されています」
とメッセンジャーは答えた。


 そして一時の後、いとも簡単に壁を通り抜け、診察室にひとりの青年が現れた。

「シヴァさま、お久しぶりです。またお会い出来て、光栄です」
とジャド師はその青年に言った。

「またお会い出来て、私こそ光栄です。あなたの名声は、広くこの宇宙に知れ渡っておりますから」
と青年は答えた。
 
 そしてすぐにハリーのもとへ駆け寄った。

「やはりあの時の少年だ」
とシヴァと呼ばれた青年はつぶやいた。

「実はこの少年を、私も探していたのです。
 この少年はテレポートが出来るらしく、テレポート中に私とぶつかったのです」
とセザールはジャド師に言った。

「シヴァさまに、ぶつかったのですが?
 まさか、そんなこと・・・!!!」

「心配していたのです。もちろん休暇中ですから、私のフォースは封印していたのですが、ぶつかった時の衝撃で、破壊の波動がやはり作動していたようだ」
と言った。

 青年はハリーの側らへ行くと、その手をハリーの体にかざし、治療を開始した。
 青年の手から、エナジーの光が溢れだし、ハリーの体へ入っていった。
 そしてハリーは光に包まれた。
 光は点滅を繰り返した。
 時々、ハリーの体が、ピクリと動くこともあった。
 しかし、光は何度も点滅を繰り返した後、最終的には、消えてしまった。

「残念だが、手遅れだったようだ。
 私のフォースを注入しても細胞の崩壊は止められなかった」
 
 青年は呆然としているオリオンとジャド師を見て、すまなそうに言った。
 しかし青年は、なおも言葉を続けた。

「この子を救う方法は、もう無いわけではない。
 ただそれは、この宇宙の法則に反する最終手段であることから、委員会の許可が必要なのです」
と言った。

「私もこの少年を助けたい。しかし・・・、
 よほどの理由が無い限り、ふつう委員会は許可を出さない治療です」
と言った。

「それでも委員会へ、その治療の許可を、聞いてみてください。
 この子は特別な星のもとに生まれた子どもなのです。
 どうしても私は助けたい。
 この子はシャンバラにとって、最後の希望の光なのです」

「そうまで言うのは、なぜですか?
 この子は普通の子のようにしか見えないのに、なぜこだわるのですか?
 この子はいったい、何者なのですか?」

「シャンバラの最期の大神官ユダさまの血を引く子供なのです。
 そしてアトランティス王家とマルデク王朝の血を引く子供でもある。

 前マルデク総統ユリウスが父親で、統治神<シ>パリスの妹ヨシュアの子供であるエルフィンがこの子の母親なのです」
と、ジャド師はその素性をついに明かした。

「たぶんこの子は、シャンバラのいにしえの予言に語られていた“滅びの子”であり、"救いの子”なのです」
とジャド師は、宇宙連合の次期グランドマスター候補のひとりとも噂されていたシヴァに、シャンバラの最高機密をついに打ち明けた。



















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