「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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地球編 第4章 ハリーと運命

第8話 伝説の星、惑星マルデクの最期

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 ハリーの体に異変が起った頃、マルデクでは粛正の嵐が吹き荒れ、思わぬ方向へ事態は動いていった。

 アメリアはハリーの逃亡に手を貸したものを次々と逮捕し、拷問の末、処刑した。
 今回はオスカーまでもが、逮捕され、処刑の対象になった。

 ここに来て重臣たちもやっと、常軌を逸したアメリアの凶暴さに気づき、何とかしようとする動きも出た。しかし総統の死後、ずっと陰からマルデクを支えていた情報省長官オスカーが捕らえられ、粛正されてしまった今、何も打つ手は残されていなかった。軍を束ねることが可能な唯一の存在であったオリオンも、マルデクには不在だった。
 もはやこの危機を救える者は誰もいなかったのだ。

 オスカーは部下に以前から、自分が死んだときのために、ある命令を伝えていた。
「これは最終兵器とも言える武器で、抑止力となり、宇宙に平和をもたらすはずだった。しかしもし、アメリアのような強欲な君主に渡った場合は、この宇宙さえも滅ぼしかねない危険な武器になるだろう。
 私が死んだときは、このスイッチを押し、ためらわずに、最終実験を行うように・・・。
 
 たぶん我々はこの星と共に、宇宙の塵となるだろう。
 しかしこの宇宙を、救うことはできる」

 オスカーが処刑された日、部下はオスカーの命令通り、地下にある秘密の研究室へ行き、まだ未完成ではあったが、ほぼ完成していたある武器を取り出し、最後の発射実験を敢行した。












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