「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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マルデク編 第2章 新しき希望の光ハリー

第16話 ハリーはアメリア女王よりもフェリーを選んだ。

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 ハリーはとうぜん、アメリア女王よりも地球にいるフェリーを選んだ。
 フェリーと会える・・・、と思っただけで、ハリーの心は弾んだ。
 そしてすぐにオリオンと一緒に、旅の準備を始めた。

「オリオン、どうかな?
 こんな感じで良いのかな?」
 
 ハリーは黒いドレッドヘアのウィッグをかぶり、少しヨレヨレのジーンズとTシャツ姿でオリオンの前に現れた。
 初めて着た地球の衣服に驚きながらも、けっこう楽しげにハリーは鏡の前でポーズをとって遊んでいた。

 「髪の色と髪型を変えただけなのに、まるで別人に見えますよ、ハリーさま。
 これなら、アメリア女王がもし検問をかけていたとしても、きっと突破できると思います」
と、オリオンは感心したようにハリーに言った。

「うん、でも、あまりに変わりすぎて、地球でフェリーと再会しても、フェリーが僕だってことに気づかない・・・、ってことは、ないよね?」
と、ハリーはオリオンの方を向いて、心配そうに言った。

「大丈夫です。そのお友だちが、本当にハリーさまのことを愛しているのならば、ハリーさまがどんな姿になろうとも分かるものです」

 その言葉を聞いて安心したのか、ハリーはまた鏡の前でポースをとり、遊び始めた。そんなハリーにオリオンは、 
「とにかくまず、地球で使うパスポート用の写真を撮りましょう。
 ハリーさま、『はい、チーズ!』と言ってみてください。
 この地球のカメラは旧式なのですが、そう言うと、撮られた者がきれいに写るのだそうです」
と言った。

 その言葉にハリーは、フェリーにまた会えるという期待で胸がいっぱいになり、満面の笑みを浮かべながら言った。

「そうなんだ。じゃあ、思いっきり言うね。
 はい、チーズ!」
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