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マルデク編 第2章 新しき希望の光ハリー
第15話 ハリーに真実を打ち明けるオスカー
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「ハリー、こんな短い時間で決めろと言うのは、私もつらいのだが、お前は今ここで、選ばなければならない。
このままアメリアのもとへ行き、アメリアの息子となるか、それともお前の愛する友がいる地球へ私の部下オリオンと一緒に行くか、どちらかを選びなさい」
オスカーはいつになく険しい口調で、ハリーに言った。
「もしアメリアのもとへ行けば、なんの苦労もせずにお前はそのまま王になれる。
しかしアメリアの王座は、すべて嘘で塗り固められた偽りの王座だ。
もしお前が王になっても、家臣はお前についてこないだろう。
そして結局のところ、お前はアメリアの操り人形にしかなれないし、人々はお前を“アメリアのペット”と言って、お前を馬鹿にするだろう。
そしてアメリアは欲深い。アメリアにとって、お前はハンネスの代わりなのだ。
もしお前に恋人が出来て、その恋人を妃にしたいと言ったならば、アメリアはきっとその恋人を殺そうとするだろう。ハンネスの恋人だったお前の母を殺そうとした時のように・・・」
オスカーはさらに話を続けた。
「アメリアがお前の母を殺そうとしたのは、本当の話しだ。
ハンネスと共に地球へ駆け落ちしたのは、アメリアではなく、お前の母エルフィンだったからなのだ。
なぜそのことを知っているかというと、私があのふたりの駆け落ちを助けたからなのだ」
初めて聞く話しに、ハリーは驚き、ただただ戸惑うばかりだった。
「アメリアはハンネスを追って地球まで行ったのだが、出会ったときから、お前の母をずっと愛していたハンネスは、アメリアの愛を決して受け入れることはなかったのだ。
それでもハンネスを、あきらめることが出来なかったアメリアは、ついにお前の母を拉致し瀕死の重傷を負わせた上で、総統ユリウスに地球の土産として献上した。お前の母は、ほとんど死にかけていたそうだ。しかしお前の父が、その血を分け与えその命を助けたのだ。
そしてお前の父と母は結婚し、お前が生まれた。
幸か不幸か分からないが、総統ユリウスの子であるお前は、生まれたときから、王座を受け継ぐ条件を備えているのだ。アメリアの策略により、お前の父ユリウスと母エルフィンはマルデクの歴史の汚点のようにあつかわれているが、真実はその逆で、嘘の予言により王座についたアメリアこそが、マルデクの汚点なのだ」
とオスカーはハリーに言った。
「よいか、ハリー。王座とは与えられるものではなく、自分でつかみとるものなのだ」
そしてオスカーはハリーに尋ねた。
「お前は宇宙連合軍の中心メンバーであるアトランティスの王、統治神<シ>を知っているか?」
「はい、知っております。宇宙連合軍の英雄です。敵軍ながら、帝国軍でも信奉する者が多い英雄です」
「その通り。それではなぜ、敵軍の王なのに信奉されるか、知っているか?」
「逆境に強い王と聞きました」
「その通りだ。統治神<シ>ことアトランティスのパリス王は、父の死後、一度王座を奪われ、野に下ったが、自力で這い上がり、王座を奪い返した王なのだ。
私はお前には、パリス王のような王になってほしい。
そしてお前の両親の汚名を返上してほしいのだ」
とオスカーはハリーに言った。
「私に出来るでしょうか?」
「できる。なぜなら、お前の祖母はアトランティス王パリスの妹なのだ。
パリス王に出来たことが、お前に出来ないわけがない」
オスカーはハリーに真剣な表情でそう言った。
このままアメリアのもとへ行き、アメリアの息子となるか、それともお前の愛する友がいる地球へ私の部下オリオンと一緒に行くか、どちらかを選びなさい」
オスカーはいつになく険しい口調で、ハリーに言った。
「もしアメリアのもとへ行けば、なんの苦労もせずにお前はそのまま王になれる。
しかしアメリアの王座は、すべて嘘で塗り固められた偽りの王座だ。
もしお前が王になっても、家臣はお前についてこないだろう。
そして結局のところ、お前はアメリアの操り人形にしかなれないし、人々はお前を“アメリアのペット”と言って、お前を馬鹿にするだろう。
そしてアメリアは欲深い。アメリアにとって、お前はハンネスの代わりなのだ。
もしお前に恋人が出来て、その恋人を妃にしたいと言ったならば、アメリアはきっとその恋人を殺そうとするだろう。ハンネスの恋人だったお前の母を殺そうとした時のように・・・」
オスカーはさらに話を続けた。
「アメリアがお前の母を殺そうとしたのは、本当の話しだ。
ハンネスと共に地球へ駆け落ちしたのは、アメリアではなく、お前の母エルフィンだったからなのだ。
なぜそのことを知っているかというと、私があのふたりの駆け落ちを助けたからなのだ」
初めて聞く話しに、ハリーは驚き、ただただ戸惑うばかりだった。
「アメリアはハンネスを追って地球まで行ったのだが、出会ったときから、お前の母をずっと愛していたハンネスは、アメリアの愛を決して受け入れることはなかったのだ。
それでもハンネスを、あきらめることが出来なかったアメリアは、ついにお前の母を拉致し瀕死の重傷を負わせた上で、総統ユリウスに地球の土産として献上した。お前の母は、ほとんど死にかけていたそうだ。しかしお前の父が、その血を分け与えその命を助けたのだ。
そしてお前の父と母は結婚し、お前が生まれた。
幸か不幸か分からないが、総統ユリウスの子であるお前は、生まれたときから、王座を受け継ぐ条件を備えているのだ。アメリアの策略により、お前の父ユリウスと母エルフィンはマルデクの歴史の汚点のようにあつかわれているが、真実はその逆で、嘘の予言により王座についたアメリアこそが、マルデクの汚点なのだ」
とオスカーはハリーに言った。
「よいか、ハリー。王座とは与えられるものではなく、自分でつかみとるものなのだ」
そしてオスカーはハリーに尋ねた。
「お前は宇宙連合軍の中心メンバーであるアトランティスの王、統治神<シ>を知っているか?」
「はい、知っております。宇宙連合軍の英雄です。敵軍ながら、帝国軍でも信奉する者が多い英雄です」
「その通り。それではなぜ、敵軍の王なのに信奉されるか、知っているか?」
「逆境に強い王と聞きました」
「その通りだ。統治神<シ>ことアトランティスのパリス王は、父の死後、一度王座を奪われ、野に下ったが、自力で這い上がり、王座を奪い返した王なのだ。
私はお前には、パリス王のような王になってほしい。
そしてお前の両親の汚名を返上してほしいのだ」
とオスカーはハリーに言った。
「私に出来るでしょうか?」
「できる。なぜなら、お前の祖母はアトランティス王パリスの妹なのだ。
パリス王に出来たことが、お前に出来ないわけがない」
オスカーはハリーに真剣な表情でそう言った。
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