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マルデク編 第2章 新しき希望の光ハリー
第11話 アメリアはハリーを宮殿へ招待した。
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その日、ハリーは宮殿にいた。
アメリアがハリーを宮殿へ招待したのだ。
使者は学校帰りの道でハリーに女王の申し出を伝え、宮殿へハリーを案内した。
ハリーは宮殿になど興味もなかったし、行きたくなかったのだが、マルデクの最高権力者である女王からの申し出である。断ることも出来ないまま、ハリーは父に相談することなく、そのまま宮殿へ行った。
王宮には女王を護る親衛隊と、総統ユリウスの時代に創設された“プエル・アルクス”と呼ばれる美少年部隊がいた。
プエル・アルクスは行方不明の甥にいつか出会えることを願い、総統ユリウスが新たに創設した部隊で、身分に関係なく美しい少年が集められた。
プエル・アルクスは平民であっても、美しいか武術に秀でていれば、出世のチャンスをつかめる少年たちのあこがれの部隊だった。そしてエルフィンもオリオンもこの部隊の出身だった。
ハリーは一度、父オスカーと一緒にアメリアと会っていたので、まったくアメリアを警戒していなかった。
しかし、王宮に到着したハリーを待っていたのは、プエル・アルクスの精鋭部隊による奇襲攻撃だった。
そしてとっさのことにハリーは平常心を失い、父オスカーに禁止されていたフォースを使ってしまったのだった。
プエル・アルクスの精鋭である少年を、ハリーは一瞬のうちにそのフォースで投げ飛ばし、地面に叩きつけた。
それを少し離れた場所からアメリアと腹心の親衛隊隊長は観察していた。
「オスカーの息子のハリーだ。なかなかやるだろう?
私は彼をプエル・アルクスの隊長にしようと思っている」
とアメリアは言った。
「エッ・・・?」
と親衛隊隊長は驚いた。
「プエル・アルクスの隊長は王族が務めるものと決められております。
いくらオスカー長官の子息であろうとも、フォン・ブラウン家は王族ではありません」
と言った。
「それが面白いことに、ハリーはなぜだかマルデクの王族だけが持つ遺伝子を持っているのだ。
そして遺伝子解析によると、なぜだか私の婚約者であったハンネスの遺伝子とも合致した。
不思議であろう?」
そう言いながら、アメリアは意味深な笑みを浮かべた。
「これは予言のなせる奇跡なのかもしれない。
そうだろう? すべてのことが、ハリーは私の息子だと告げているようなものだ」
とアメリアは事も無げに言った。そして、
「あの子は神が私に与えてくれた、私の息子なのだ」
と、驚く親衛隊隊長に言った。
「よいな、あの子は私がオスカーと婚約していた頃、地球へハンネスと駆け落ちして地球で産んだ子なのだ。
あの時、お前は私と共に地球にいたのだから、お前がそう証言すれば、すべてが丸く収まる。
そして地球で誘拐され行方不明となった息子を私はずっと探していたのだが、ついに見つかり、それがオスカーの息子ハリーだったと発表するのだ」
と、アメリアは親衛隊の隊長に命じた。
アメリアがハリーを宮殿へ招待したのだ。
使者は学校帰りの道でハリーに女王の申し出を伝え、宮殿へハリーを案内した。
ハリーは宮殿になど興味もなかったし、行きたくなかったのだが、マルデクの最高権力者である女王からの申し出である。断ることも出来ないまま、ハリーは父に相談することなく、そのまま宮殿へ行った。
王宮には女王を護る親衛隊と、総統ユリウスの時代に創設された“プエル・アルクス”と呼ばれる美少年部隊がいた。
プエル・アルクスは行方不明の甥にいつか出会えることを願い、総統ユリウスが新たに創設した部隊で、身分に関係なく美しい少年が集められた。
プエル・アルクスは平民であっても、美しいか武術に秀でていれば、出世のチャンスをつかめる少年たちのあこがれの部隊だった。そしてエルフィンもオリオンもこの部隊の出身だった。
ハリーは一度、父オスカーと一緒にアメリアと会っていたので、まったくアメリアを警戒していなかった。
しかし、王宮に到着したハリーを待っていたのは、プエル・アルクスの精鋭部隊による奇襲攻撃だった。
そしてとっさのことにハリーは平常心を失い、父オスカーに禁止されていたフォースを使ってしまったのだった。
プエル・アルクスの精鋭である少年を、ハリーは一瞬のうちにそのフォースで投げ飛ばし、地面に叩きつけた。
それを少し離れた場所からアメリアと腹心の親衛隊隊長は観察していた。
「オスカーの息子のハリーだ。なかなかやるだろう?
私は彼をプエル・アルクスの隊長にしようと思っている」
とアメリアは言った。
「エッ・・・?」
と親衛隊隊長は驚いた。
「プエル・アルクスの隊長は王族が務めるものと決められております。
いくらオスカー長官の子息であろうとも、フォン・ブラウン家は王族ではありません」
と言った。
「それが面白いことに、ハリーはなぜだかマルデクの王族だけが持つ遺伝子を持っているのだ。
そして遺伝子解析によると、なぜだか私の婚約者であったハンネスの遺伝子とも合致した。
不思議であろう?」
そう言いながら、アメリアは意味深な笑みを浮かべた。
「これは予言のなせる奇跡なのかもしれない。
そうだろう? すべてのことが、ハリーは私の息子だと告げているようなものだ」
とアメリアは事も無げに言った。そして、
「あの子は神が私に与えてくれた、私の息子なのだ」
と、驚く親衛隊隊長に言った。
「よいな、あの子は私がオスカーと婚約していた頃、地球へハンネスと駆け落ちして地球で産んだ子なのだ。
あの時、お前は私と共に地球にいたのだから、お前がそう証言すれば、すべてが丸く収まる。
そして地球で誘拐され行方不明となった息子を私はずっと探していたのだが、ついに見つかり、それがオスカーの息子ハリーだったと発表するのだ」
と、アメリアは親衛隊の隊長に命じた。
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