「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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マルデク編 第2章 新しき希望の光ハリー

第2話 オスカーはハリーの母親が誰かを秘密にしていた。

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 次に日も、その翌日も、ハリーと王族を親に持ついじめっ子たちとの喧嘩は続いた。
 ハリーとフェリーは学年でいつも主席を競い合う優秀な生徒だったのだが、王族を親に持つ子供たちは、特権階級の子弟ゆえ、成績とは関係なくエリートコースが用意されていたので、勉強は二の次で、たむろして遊んでいるのが常だった。

 ハリーも王族と並ぶ大貴族フォン・ブラウン家の跡取り息子だったのだが、ハリーの母親が誰かをオスカーは秘密にしていた。周囲のものはハリーを、オスカーが遊び女に産ませた子供だと思っていた。

 オスカーは最近、ますます母親に似てきたハリーを見て、その素性がいづれ皆に悟られてしまうだろうことは覚悟していた。しかしまだ準備が整っていなかった。

 マルデク王朝に伝わる予言、それはたぶん真実なのだが、その予言は総統ユリウスの時代になぜか、書き換えられてしまっていた。アメリアが信じた予言は、たぶん黒魔術師が放った偽の予言だったのだ。

 確かにハンネスは特別な神の使命をもって生まれた存在だったのだろう。しかし予言が伝えていた存在は、たぶん違う者である可能性が高かった。

 ハリーはマルデクの暗黒王と呼ばれた総統ユリウスが父親で、アトランティスの王族ヨシュアとシャンバラの最後の大神官ユダを父に持つエルフィンが母親と云う、特別な血を引く子どもだった。そしてハリーは生れてすぐに死んだことになっていた子どもでもあった。
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