「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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マルデク&地球編 第1章 想い遙かに

第28話 オスカーは総統ユリウスを撃つ覚悟だった。

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 総統ユリウスから呼び出しを受けた時、マルデク情報省長官オスカー・フォン・ブラウンは、エルフィンを救うために、総統ユリウスを撃つ覚悟をすでに決めていた。
 しかしオスカーを待っていたのは、総統ユリウスではなく、変性期を終える前に子を宿しがゆえに、瀕死の状態にあったエルフィンと、シャンバラ出身の医官にして宇宙一の名医と言われていたハンネスの育ての親、ジャド師だった。

「エルフィンからあなたのことは、聞いております。
 ハンネスとはとても仲が良く、あの子の親友だったそうですね。
 私はハンネスの育ての親で、ジャド・フィリップ・セスと申します」
と、ジャド師は柔和な笑みを浮かべ、オスカーにその手を差し伸べた。

 しかし総統を撃つ覚悟だったオスカーは、はやる気持ちを抑えきれず、隠しもっていた電子銃をジャド師の頭に突きつけ、叫んだ。

「総統はどこだ!」

 その時、エルフィンが目を覚まし、オスカーを見て、今にも消え入りそうな小さな声で、喘ぎ喘ぎ、言った。
「オスカー、ジャド師は私たちの味方だ。撃ってはいけない」

 その言葉と同時に、電子銃はオスカーの手から、なぜか忽然と消えていた。
 驚くオスカーに、エルフィンは言った。

「私ではない。電子銃を消したのは私でも、ジャド師でもなく、このお腹の子なのだ。この子はどうも、特別な力をもっているようなのだ」
と、驚くオスカーにエルフィンは言った。
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