「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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マルデク&地球編 第1章 想い遙かに

第27話 私とエルフィンの絆は、男女の愛を越えた運命の絆なのです。

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「もうどのぐらい日にちが経ったのだろう?」
と、もうろうとする意識の中で、ハンネスはつぶやいた。

 王宮の牢に囚われの身となってから、アメリアは毎日のようにハンネスの元を訪れ、エルフィンを諦めるように説得しようとした。

「エルフィンはあなたではなく、総統ユリウスを選び、今では総統の妻です。
 結局はあなたを裏切った恋人を、あなたはいつまで想い続けているつもりなのですか?」
 
 アメリアは悲しみと怒りが混じったまなざしでハンネスに自分の思いをぶつけた。

「この荒廃した世界を救えるのは、予言の運命の子であり、王家を継ぐものである私と私が選ぶ夫なのです。
 そのような予言があることは、このマルデクでは誰もが知っていることです。
 ハンネスさま、私は子供のころにあなたに命を救って頂いた時から、予言の救世主はあなただと確信して、生きてきたのです」

 しかしハンネスは首を横に振るばかりで、アメリアの愛をけっして受け入れようとはしなかった。
 アメリアは最後には泣きながら、ハンネスに訴えた。

「私はどんなことをしてでも、この荒廃した世界を救わなければなりません。
 ハンネスさま、あなただってあの総統の悪行はご存じのはずです。
 その総統の妻になったエルフィンを、あなたは許せるのですか?」

 その言葉に、ハンネスは力なく笑った。

「あなたは私とエルフィンの長い年月にわたる、つらい過去を知らないからそう言えるのです。
 私とエルフィンの絆は、特別なものなのです。
 男女の愛を越えた、特別な、運命の絆なのです」
と、ハンネスは苦しそうにつぶやいた。
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