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マルデク&地球編 第1章 想い遙かに
第26話 真実と運命
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「なぜ、あの時、本当のことを言ってくださらなかったのですか?」
今さら何を言っても始まらないことだったが、総統ユリウスは言わずにはいられなかった。好き好んでユリウスは、親友テセウスをその手で処刑したかったわけではなかったのだ。
「そなたをシャンバラへ招待するか否かを決める、重大な使命をもってあのとき赴任していた。だから公正な判断を下すためにも、身分を明かすわけにはいかなかった」
と、ジャドはユリウスに言ったのだ。そしてあることを告げた。
「あの惨劇が起きなければ、そなたはシャンバラへ招待されるはずだった。
すでにシャンバラにはその判断を伝え、そなたの招待は決まっていたのだ」
とジャドは言ったのだ。
そしてあの時の一部始終をユリウスに伝えた。
「しかしあの惨劇が起り、我々はそなたをシャンバラへ招待するわけには行かなくなった。だから我々はそなたの代わりに、一人の赤子をシャンバラへ迎え入れることにした。
そなたの妹アンジェリーナと使徒テセウスの息子ハンネスを、そなたの代わりにシャンバラへ我々は迎え入れたのだ」
その言葉に驚きながらも、
「それでは、私の甥は生きているのですね?」
と総統ユリウスは、その目に涙をためながら、師ジャドに言った。
ジャドは静かにうなずいた。
「会えますか?」
「私と共に警備兵に捕まった若者がいたはずだ。
あの若者が、そなたの甥ハンネスなのだ。
だから早く、釈放してやってくれ」
とジャドは総統ユリウスに言った。
「ところでハンネスは、今、どこにいるのだ?」
そう言われて初めてユリウスは、アメリアの部下が城に侵入した若者をなぜだか連れ去ったことを思い出したのだった。
今さら何を言っても始まらないことだったが、総統ユリウスは言わずにはいられなかった。好き好んでユリウスは、親友テセウスをその手で処刑したかったわけではなかったのだ。
「そなたをシャンバラへ招待するか否かを決める、重大な使命をもってあのとき赴任していた。だから公正な判断を下すためにも、身分を明かすわけにはいかなかった」
と、ジャドはユリウスに言ったのだ。そしてあることを告げた。
「あの惨劇が起きなければ、そなたはシャンバラへ招待されるはずだった。
すでにシャンバラにはその判断を伝え、そなたの招待は決まっていたのだ」
とジャドは言ったのだ。
そしてあの時の一部始終をユリウスに伝えた。
「しかしあの惨劇が起り、我々はそなたをシャンバラへ招待するわけには行かなくなった。だから我々はそなたの代わりに、一人の赤子をシャンバラへ迎え入れることにした。
そなたの妹アンジェリーナと使徒テセウスの息子ハンネスを、そなたの代わりにシャンバラへ我々は迎え入れたのだ」
その言葉に驚きながらも、
「それでは、私の甥は生きているのですね?」
と総統ユリウスは、その目に涙をためながら、師ジャドに言った。
ジャドは静かにうなずいた。
「会えますか?」
「私と共に警備兵に捕まった若者がいたはずだ。
あの若者が、そなたの甥ハンネスなのだ。
だから早く、釈放してやってくれ」
とジャドは総統ユリウスに言った。
「ところでハンネスは、今、どこにいるのだ?」
そう言われて初めてユリウスは、アメリアの部下が城に侵入した若者をなぜだか連れ去ったことを思い出したのだった。
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