「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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マルデク&地球編 第1章 想い遙かに

第19話 イベント会場へ行くかどうかで悩むプリンス・チャーミング

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 入り口付近が急に騒がしくなった。
 誰かセレブ会員が到着したらしい。

 ゴシップ記者らしい者たちが、いっせいに移動を始め、その騒ぎの輪の中に、一人の青年がいた。背が高く、細身で、まるでモデルか映画俳優のような美青年だった。
 ミカエルと談笑していたクラブ「パラダイス」のオーナーの妹ジュリアがその青年を見て、
「ここよ、ジュンス」と言って、その手を振った。

 すると青年はジュリアに気づいたらしく、ミカエルたちのもとへやって来た。
 そして人目を気にしながら、
「チャールズとラブリーは今、どこに?」
と、ジュリアに聞いた。

「まだ、会場に姿を見せていないけど、二人とも、もう来てるわ。
 ただ、ムハンマド王子のこともあり、お兄さまも困っているみたい」

「なぜ?」
 
「契約があるらしいのよね。ムハンマド王子とラブリーがこの夏、一緒に過ごす約束で、兄はムハンマド王子とある特別な契約を結んだらしいの。
 それなのにラブリーは、あの子にしては珍しく、ムハンマド王子を嫌がってチャールズと逃げちゃったのよね。兄は契約不履行で、ムハンマド王子から訴えると、脅されているの」
 
 プリンス・チャーミングは迷っていた。
 彼は今やクラブ・パラダイスの看板ドールだったので、嫌がることはオーナーでも彼に無理強いはしなかった。

 今日は、久しぶりに恋人チャールズの親友ということでジュンスに会うことができ、しばらく一緒にいることが出来るはずだったのだ。

 ラブリーはジュンスに会いたかった。
 愛しいジュンスの顔を一目、見たかった。
 ジュンスの声を聞きたかった。
 ジュンスの笑顔を見たかった。
 
 結局、ラブリーは会場に姿を見せることを選んだ。
 ジュンスに挨拶する時間ぐらいは、あのムハンマドも許してくれるだろう。

「チャールズ、君はたぶん嫌な思いをするだろうけれど・・・」

「いいよ。かまわない。だけど、君こそ大丈夫か?
 ムハンマドは今までのこともあるから、きっと君を懲らしめようとするはずだ。
 君の嫌がることばかり、強いるはずだ。

 それでも君はいいのか?
 僕は君の心が壊れてしまわないか、とても心配だ」
と言った。










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