「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

文字の大きさ
上 下
171 / 234
マルデク&地球編 第1章 想い遙かに

第18話 総統ユリウスの花嫁

しおりを挟む
「父上、総統が花嫁をめとったという情報が今日、私のもとに届きました。
 本当ですか?」

 マルデク情報省長官オスカー・フォン・ブラウンは、マルデク元老院の重鎮にして、総統ユリウスを幼き日から知り、ユリウスの親友でもある父に問うた。

「秘密にしていたのだが、ついに漏れたか・・・」
と父はオスカーに言った後、
「本当だ」と告げた。

「花嫁は、私の知るものですか?」
と張り詰めた表情で問う息子に、父は静かに告げた。
「そうだ」

 オスカーは再び、父に訊ねた。
「エルフィンですか?」

 一時期、息子がエルフィンに熱を上げていたことを父は知っていたが、迷わず、
「そうだ」と息子に告げた。

「エルフィンは未分化だったはずです。まさかエルフィンを捕まえて、総統は遺伝子操作をしたのですか?」 

「いや、違う。お前は誤解しているようだが、ユリウスは愛するものに対しては、そのような卑怯なことはしない。エルフィン将校は地球で自然に変性したらしい」

「お前との婚約を破棄しオリオンと地球へ駆け落ちをした、あのアメリア姫が、地球からエルフィンを連れ帰り、総統に献上したのだ」
と、父は苦々しげにそう言った。

「その時、エルフィンは傷だらけで、瀕死の重傷を負っていたらしい。
 そのエルフィンに対して、ユリウスは自分の血の半分を分け与え、エルフィンを救ったのだ」

「マルデク王家には、しきたりがある。マルデク王家の血統を守るために、血の婚礼儀式というものがあるのだ。血を分け与えるということは、すなわち結婚を意味するのだ」
と父はオスカーに告げた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

問題の時間

紫 李鳥
ミステリー
オリジナルのクイズ・パズル・なぞなぞ、とんちなどで頭の体操♪ミステリアスなクイズもあります。 ※正解は、次回の末尾にあります。

幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。

秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚 13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。 歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。 そしてエリーゼは大人へと成長していく。 ※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。 小説家になろう様にも掲載しています。

芙蓉は後宮で花開く

速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。 借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー カクヨムでも連載しております。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

放浪探偵の呪詛返し

紫音
ミステリー
※第7回ホラー・ミステリー小説大賞にて異能賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。 【あらすじ】  観光好きで放浪癖のある青年・永久天満は、なぜか行く先々で怪奇現象に悩まされている人々と出会う。しかしそれは三百年前から定められた必然だった。怪異の謎を解き明かし、呪いを返り討ちにするライトミステリー。 ※2024/11/7より第二部(第五章以降)の連載を始めました。  

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

3024年宇宙のスズキ

神谷モロ
SF
 俺の名はイチロー・スズキ。  もちろんベースボールとは無関係な一般人だ。  21世紀に生きていた普通の日本人。  ひょんな事故から冷凍睡眠されていたが1000年後の未来に蘇った現代の浦島太郎である。  今は福祉事業団体フリーボートの社員で、福祉船アマテラスの船長だ。 ※この作品はカクヨムでも掲載しています。

処理中です...