160 / 234
マルデク&地球編 第1章 想い遙かに
第7話 明けの明星とよばれし頃
しおりを挟む
「帝国軍総統ユリウスは、美し男しか愛せない」と人々に言われていたが、それは真実ではない。
ユリウスは生涯でふたりの美しい姫君を愛した。
一人は腹違いの妹アンジェリーナ、そしてもう一人は親が決めた許嫁エリザベートだった。若き日のユリウスは、美しい容貌と共にその聡明さでも人々を魅了した。文武両道で、彼にかなう者は久しくいなかった。
しかしあるとき、辺境の星からひとりの青年がマルデクへやってきて、ユリウスの前に現れた。その青年は、ユリウスにも負けない聡明さと武術の腕前を持ち、不思議な美しさに満ちていた。
最初に声をかけたのは、ユリウスの方だった。
「君の武術は今まで見たことがないのだが、我々とは違う星系の出身なのか?」
青年はシャンバラから派遣された武官だったのだが、潜伏捜査のためにマルデクへ来ていた。
「出身はアトランティスです。この星の先端医術を学ぶためにやってきました」
と青年は答えた。
「アトランティスというと、あの両性具有の種族がいるという、あの星か?」
「そうです」
「では、君も両性具有なのか?」
「見ての通り、私は違います。両性具有ではありません。
ただ、そういう民もおります」
と青年は答えた。
そのようなふたりを遠くから、遠巻きに見ている者がいた。
神智学の教授ウィルヘルムだった。
ウィルヘルムはマルデクの士官大学校で古の学問である魔術を教えていた。
大学校で生徒たちに教えていたのは白魔術だったが、ウィルヘルム自身は黒魔術を信奉していた。知られていないことだったが、彼は黒魔術の秘密結社を率いていて、マスターと呼ばれる影の実力者だった。
彼がこの星へやって来たのには、特別な理由があった。
それは当時、明けの明星と人々から呼ばれていた若きユリウスを黒魔術の信奉者にするためだった。
ユリウスは生涯でふたりの美しい姫君を愛した。
一人は腹違いの妹アンジェリーナ、そしてもう一人は親が決めた許嫁エリザベートだった。若き日のユリウスは、美しい容貌と共にその聡明さでも人々を魅了した。文武両道で、彼にかなう者は久しくいなかった。
しかしあるとき、辺境の星からひとりの青年がマルデクへやってきて、ユリウスの前に現れた。その青年は、ユリウスにも負けない聡明さと武術の腕前を持ち、不思議な美しさに満ちていた。
最初に声をかけたのは、ユリウスの方だった。
「君の武術は今まで見たことがないのだが、我々とは違う星系の出身なのか?」
青年はシャンバラから派遣された武官だったのだが、潜伏捜査のためにマルデクへ来ていた。
「出身はアトランティスです。この星の先端医術を学ぶためにやってきました」
と青年は答えた。
「アトランティスというと、あの両性具有の種族がいるという、あの星か?」
「そうです」
「では、君も両性具有なのか?」
「見ての通り、私は違います。両性具有ではありません。
ただ、そういう民もおります」
と青年は答えた。
そのようなふたりを遠くから、遠巻きに見ている者がいた。
神智学の教授ウィルヘルムだった。
ウィルヘルムはマルデクの士官大学校で古の学問である魔術を教えていた。
大学校で生徒たちに教えていたのは白魔術だったが、ウィルヘルム自身は黒魔術を信奉していた。知られていないことだったが、彼は黒魔術の秘密結社を率いていて、マスターと呼ばれる影の実力者だった。
彼がこの星へやって来たのには、特別な理由があった。
それは当時、明けの明星と人々から呼ばれていた若きユリウスを黒魔術の信奉者にするためだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

国立ユイナーダ学園高等部③〜どうやら僕は名探偵らしいですね【連載版】
砂月ちゃん
ミステリー
僕っ娘タークちゃんの探偵物語。
国立ユイナーダ学園に通う巷で噂の名探偵タークちゃんの探偵物語です。
家族や友達と協力しながら学園と町内で起こった事件を錬金術という名のファンタジーな化学で解決していきます。
意外と人気があるようなので、不定期更新で連載する事にしました。
殆ど書いて出しです。
1話目は短編とほぼ同じです。
新作【白犬物語】を投稿しました。
ラックに繋がるお話しです。
さんざめく左手 ― よろず屋・月翔 散冴 ―
流々(るる)
ミステリー
【この男の冷たい左手が胸騒ぎを呼び寄せる。アウトローなヒーロー、登場】
どんな依頼でもお受けします。それがあなたにとっての正義なら
企業が表向きには処理できない事案を引き受けるという「よろず屋」月翔 散冴(つきかけ さんざ)。ある依頼をきっかけに大きな渦へと巻き込まれていく。彼にとっての正義とは。
サスペンスあり、ハードボイルドあり、ミステリーありの痛快エンターテイメント!
※さんざめく:さざめく=胸騒ぎがする(精選版 日本国語大辞典より)、の音変化。
※この作品はフィクションです。実在の人物・団体とは関係ありません。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜
櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。
パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。
車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。
ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!!
相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム!
けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!!
パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!
【なろう430万pv!】船が沈没して大海原に取り残されたオッサンと女子高生の漂流サバイバル&スローライフ
海凪ととかる
SF
離島に向かうフェリーでたまたま一緒になった一人旅のオッサン、岳人《がくと》と帰省途中の女子高生、美岬《みさき》。 二人は船を降りればそれっきりになるはずだった。しかし、運命はそれを許さなかった。
衝突事故により沈没するフェリー。乗員乗客が救命ボートで船から逃げ出す中、衝突の衝撃で海に転落した美岬と、そんな美岬を助けようと海に飛び込んでいた岳人は救命ボートに気づいてもらえず、サメの徘徊する大海原に取り残されてしまう。
絶体絶命のピンチ! しかし岳人はアウトドア業界ではサバイバルマスターの通り名で有名なサバイバルの専門家だった。
ありあわせの材料で筏を作り、漂流物で筏を補強し、雨水を集め、太陽熱で真水を蒸留し、プランクトンでビタミンを補給し、捕まえた魚を保存食に加工し……なんとか生き延びようと創意工夫する岳人と美岬。
大海原の筏というある意味密室空間で共に過ごし、語り合い、力を合わせて極限状態に立ち向かううちに二人の間に特別な感情が芽生え始め……。
はたして二人は絶体絶命のピンチを生き延びて社会復帰することができるのか?
小説家になろうSF(パニック)部門にて400万pv達成、日間/週間/月間1位、四半期2位、年間/累計3位の実績あり。
カクヨムのSF部門においても高評価いただき80万pv達成、最高週間2位、月間3位の実績あり。
ローズマリーは今日も優雅に紅茶を嗜む(声劇台本用)
ソウル
ミステリー
ローズマリー家は王家の依頼や命令を遂行する名門家
ローズマリー家には奇妙で不気味な事件が舞い降りる
これは、ローズマリー家が華麗に事件を解決する物語

地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる