「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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マルデク&地球編 第1章 想い遙かに

第5話 総統ユリウスはかつて、ジャド師の教え子だった。

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「宇宙連合軍と帝国軍が交戦中である以上、後方支援はできても、もと帝国軍の将軍だったエルフィン救出のために、私が直接マルデクに乗り込むわけには行きません」
と、ミカエルは言った。

「分かっています。あなたがマルデクに行くと、戦争がより複雑になってしまう。
 それは私も望みません」
と、ジャド師は答えた。

「オリオンを釈放してください。オリオンがいれば、私たちにとっては、百万の兵を得たのと同じことです」

「お体は、大丈夫ですか?」
 ミカエルはシャンバラ最後の導師、ジャド師の健康状態を心配した。

「心配はご無用。これが最後の旅になろうとも、自分がまいた種は、自分で刈り取らねばなりません。もとはと言えば、私がユリウスをウィルヘルム卿の黒魔術から護れなかったことが、原因なのですから」

 総統ユリウスはかつて、ジャド師の教え子だった。
 総統ユリウスの聡明さは当時、シャンバラにも伝わっていて、招待者のリストに入っていたのだ。
 ユリウスをシャンバラへ招待するべきか否かの最後の調査と試験が、秘かに行われていた。
 ジャド師はその試験官であり、ジャド師の護衛としてシャンバラから派遣された武官が、実はハンネスの父、玄武だったのだ。

 ジャド師はウィルヘルム卿が黒魔術の信奉者であることは、学生時代から知っていた。しかしウィルヘルム卿が、黒魔術の秘密組織を率いる影の実力者であることは、あの時、全く気づいていなかった。
 結局、そのことがユリウスというこの世を闇から救うはずだった、まばゆいばかりの希望の光を放つ光の戦士を失い、玄武まで失うというあの大惨事へとつながったとジャド師は今でも後悔していた。
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