150 / 234
地球編 第3章 新興宗教「光の泉」と光の戦士たち
第30話 アメリアは初めからハンネスとエルフィンが、どこにいるか知っていた。
しおりを挟む
アメリアはハンネスをマルデクへ連れ帰るための作戦を、オスカーにも内緒で初めから立てていた。アメリアは自分に忠誠を誓うマルデク王家の武官を、秘かに地球に潜伏させていたのだ。
その武官がエルフィンとハンネスの地球での潜伏先を調べ上げた上での、オスカーへの計画持ちかけだった。
オスカーの人脈をも利用して、作戦の成功を盤石なものにしようとしたのだ。
アメリアは初めからハンネスとエルフィンが、どこにいるか知っていたが、オリオンには黙っていた。それゆへ、いつまで経ってもふたりの居場所を、突き止めようとしないオリオンの態度に、苛立ちもしたのだ。
オリオンはオスカーの腹心ではあったが、アメリアの腹心では無い。
ただアメリアが怪しまれずにハンネスに近づくには、オリオンが必要だった。
しかしせっかく会えても、ハンネスはエルフィンのことでいつも頭がいっぱいで、アメリアがその心に入り込むことは、オスカーが言ったようにまったく不可能だった。
アメリアは計画を変更せざるを得なかったのだが、そのような時に偶然、エルフィンの変性の兆候を知ったのだった。
オリオンはマルデクでも五本の指に入るような優秀な武官で、エルフィンとも旧知の仲だった。ハンネスはエルフィンが変性期にあり、フォースが使えなくなっていることをオリオンには打ち明けた。
そして秘かにエルフィンの護衛を頼んだ。
オリオンはアメリアの本当の狙いを知っていたので、エルフィンの変性をとうぜん隠していたが、オリオンやハンネス、ジャド師、そしてミカエルのいつもと違う様子を見て、勘の良いアメリアは何か異変が起ったことに気づいた。
そしてじきにエルフィンが変性期にあり、フォースを使えなくなっていることを知ったのだった。
「どう思う? 今のエルフィンならば、私でも勝てそうか?」
「姫さまでは、やはり無理かと・・・。エルフィンは見かけはか細く、あまり強いように見えませんが、あれで歴戦錬磨の武官です。ただ、姫さまの話が本当で、フォースが使えないのならば、私ならば簡単に勝てるはずです。
エルフィンの側に張り付いて離れない、あの武官オリオンを遠ざけてくだされば、私がエルフィンを拉致し、ここから連れ去ることも可能でしょう」
「宇宙船は手配してあるのだろうな?」
「もちろんです。ヨハネ司令官の時代に潜入させた部下が、今、補給船のキャプテンをしております。その補給船でエルフィンをマルデクまで運べます。
エルフィンは賞金付きで総統が指名手配している逃亡犯ですから、宇宙防衛軍の補給船であろうとエルフィンの姿を見せれば、マルデクへの着陸を許可するはずです」
「総統は喜ぶであろうな。エルフィンを表向きは、かつてのお気に入りと同じでペット扱いしていたが、明らかに総統はエルフィンにぞっこんだった。
あの事件のあと、殺さなかったことからもそのことが良くわかる」
この計画が成功すれば、アメリアは総統に貸しを作れ、その上、ハンネスをマルデクへおびき寄せることも可能になるのだった。
その武官がエルフィンとハンネスの地球での潜伏先を調べ上げた上での、オスカーへの計画持ちかけだった。
オスカーの人脈をも利用して、作戦の成功を盤石なものにしようとしたのだ。
アメリアは初めからハンネスとエルフィンが、どこにいるか知っていたが、オリオンには黙っていた。それゆへ、いつまで経ってもふたりの居場所を、突き止めようとしないオリオンの態度に、苛立ちもしたのだ。
オリオンはオスカーの腹心ではあったが、アメリアの腹心では無い。
ただアメリアが怪しまれずにハンネスに近づくには、オリオンが必要だった。
しかしせっかく会えても、ハンネスはエルフィンのことでいつも頭がいっぱいで、アメリアがその心に入り込むことは、オスカーが言ったようにまったく不可能だった。
アメリアは計画を変更せざるを得なかったのだが、そのような時に偶然、エルフィンの変性の兆候を知ったのだった。
オリオンはマルデクでも五本の指に入るような優秀な武官で、エルフィンとも旧知の仲だった。ハンネスはエルフィンが変性期にあり、フォースが使えなくなっていることをオリオンには打ち明けた。
そして秘かにエルフィンの護衛を頼んだ。
オリオンはアメリアの本当の狙いを知っていたので、エルフィンの変性をとうぜん隠していたが、オリオンやハンネス、ジャド師、そしてミカエルのいつもと違う様子を見て、勘の良いアメリアは何か異変が起ったことに気づいた。
そしてじきにエルフィンが変性期にあり、フォースを使えなくなっていることを知ったのだった。
「どう思う? 今のエルフィンならば、私でも勝てそうか?」
「姫さまでは、やはり無理かと・・・。エルフィンは見かけはか細く、あまり強いように見えませんが、あれで歴戦錬磨の武官です。ただ、姫さまの話が本当で、フォースが使えないのならば、私ならば簡単に勝てるはずです。
エルフィンの側に張り付いて離れない、あの武官オリオンを遠ざけてくだされば、私がエルフィンを拉致し、ここから連れ去ることも可能でしょう」
「宇宙船は手配してあるのだろうな?」
「もちろんです。ヨハネ司令官の時代に潜入させた部下が、今、補給船のキャプテンをしております。その補給船でエルフィンをマルデクまで運べます。
エルフィンは賞金付きで総統が指名手配している逃亡犯ですから、宇宙防衛軍の補給船であろうとエルフィンの姿を見せれば、マルデクへの着陸を許可するはずです」
「総統は喜ぶであろうな。エルフィンを表向きは、かつてのお気に入りと同じでペット扱いしていたが、明らかに総統はエルフィンにぞっこんだった。
あの事件のあと、殺さなかったことからもそのことが良くわかる」
この計画が成功すれば、アメリアは総統に貸しを作れ、その上、ハンネスをマルデクへおびき寄せることも可能になるのだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。

その人事には理由がある
凪子
ミステリー
門倉(かどくら)千春(ちはる)は、この春大学を卒業したばかりの社会人一年生。新卒で入社した会社はインテリアを専門に扱う商社で、研修を終えて配属されたのは人事課だった。
そこには社長の私生児、日野(ひの)多々良(たたら)が所属していた。
社長の息子という気楽な立場のせいか、仕事をさぼりがちな多々良のお守りにうんざりする千春。
そんなある日、人事課長の朝木静から特命が与えられる。
その任務とは、『先輩女性社員にセクハラを受けたという男性社員に関する事実調査』で……!?
しっかり女子×お気楽男子の織りなす、人事系ミステリー!

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
猫の探偵社
久住岳
ミステリー
北海道で育った野上尚樹は不思議な特性?がある事に気づく。それは動物の意思や想いを読み取る能力…彼は富良野の草原で動物達と意識を共有して育った。成長した尚樹は千葉の叔母と暮らす事になった。
大学卒業を控えやりたい仕事が見つからない尚樹、彼の選んだ道は『迷子猫の捜索だ』だった。尚樹は半径300メートル程度まで探す猫の意識とコンタクトできる。その事を知っている妹が猫の探偵になる事を進めた。
猫の捜索依頼から人が絡む事件や謎、神がかり的なサスペンスが尚樹を待っている。事件の中で出会う事になる探偵社の副所長、本条尚子…卒業度同時に探偵社の副所長になった空手の達人、そして優秀な探偵。彼女は猫の捜索ではなくミステリアスな案件を好む
そして…探偵社の所長・黒猫のノアール
漆黒の毛並みとつぶらな瞳の生後三カ月の子猫は、不思議な能力を持つ《進化した猫》だった。
二人と一匹のミステリーな旅が始まる。
【完結】限界離婚
仲 奈華 (nakanaka)
大衆娯楽
もう限界だ。
「離婚してください」
丸田広一は妻にそう告げた。妻は激怒し、言い争いになる。広一は頭に鈍器で殴られたような衝撃を受け床に倒れ伏せた。振り返るとそこには妻がいた。広一はそのまま意識を失った。
丸田広一の息子の嫁、鈴奈はもう耐える事ができなかった。体調を崩し病院へ行く。医師に告げられた言葉にショックを受け、夫に連絡しようとするが、SNSが既読にならず、電話も繋がらない。もう諦め離婚届だけを置いて実家に帰った。
丸田広一の妻、京香は手足の違和感を感じていた。自分が家族から嫌われている事は知っている。高齢な姑、離婚を仄めかす夫、可愛くない嫁、誰かが私を害そうとしている気がする。渡されていた離婚届に署名をして役所に提出した。もう私は自由の身だ。あの人の所へ向かった。
広一の母、文は途方にくれた。大事な物が無くなっていく。今日は通帳が無くなった。いくら探しても見つからない。まさかとは思うが最近様子が可笑しいあの女が盗んだのかもしれない。衰えた体を動かして、家の中を探し回った。
出張からかえってきた広一の息子、良は家につき愕然とした。信じていた安心できる場所がガラガラと崩れ落ちる。後始末に追われ、いなくなった妻の元へ向かう。妻に頭を下げて別れたくないと懇願した。
平和だった丸田家に襲い掛かる不幸。どんどん倒れる家族。
信じていた家族の形が崩れていく。
倒されたのは誰のせい?
倒れた達磨は再び起き上がる。
丸田家の危機と、それを克服するまでの物語。
丸田 広一…65歳。定年退職したばかり。
丸田 京香…66歳。半年前に退職した。
丸田 良…38歳。営業職。出張が多い。
丸田 鈴奈…33歳。
丸田 勇太…3歳。
丸田 文…82歳。専業主婦。
麗奈…広一が定期的に会っている女。
※7月13日初回完結
※7月14日深夜 忘れたはずの思い~エピローグまでを加筆修正して投稿しました。話数も増やしています。
※7月15日【裏】登場人物紹介追記しました。
※7月22日第2章完結。
※カクヨムにも投稿しています。

それは奇妙な町でした
ねこしゃけ日和
ミステリー
売れない作家である有馬四迷は新作を目新しさが足りないと言われ、ボツにされた。
バイト先のオーナーであるアメリカ人のルドリックさんにそのことを告げるとちょうどいい町があると教えられた。
猫神町は誰もがねこを敬う奇妙な町だった。
ヘリオポリスー九柱の神々ー
soltydog369
ミステリー
古代エジプト
名君オシリスが治めるその国は長らく平和な日々が続いていた——。
しかし「ある事件」によってその均衡は突如崩れた。
突如奪われた王の命。
取り残された兄弟は父の無念を晴らすべく熾烈な争いに身を投じていく。
それぞれの思いが交錯する中、2人が選ぶ未来とは——。
バトル×ミステリー
新感覚叙事詩、2人の復讐劇が幕を開ける。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる