133 / 234
地球編 第3章 新興宗教「光の泉」と光の戦士たち
第13話 希望と破滅の両方を持ち合わせた、いわゆる”最後の誘惑”的な存在
しおりを挟む
ある日、ミカエルは教団の建物の屋上へ、エルフィンを呼び出した。
そして二人きりになったとき、ある重大なことをエルフィンに打ち明けた。
「今、我々の宇宙は、存亡の危機に直面している。
どうも“滅びの子”と言われる者が、生まれたらしいのだ。
このものが生まれると、星がひとつ滅ぶと云われている。
どうもそれが私の生れ故郷アトランティスで生まれたらしいのだ。
それで統治神<シ>さまは、そのものを探している。
そしてたまたま統治神『<シ>の新しい花嫁に選ばれながら、拒否した娘がいた。
その娘には恋人がいたらしく、突然、姿を消した。
娘はどうも、異次元から来た悪魔、夢魔に取り憑かれてしまったようなのだ。
そして夢魔の手先と成り果てた娘は、この宇宙を壊しかねない存在となり、今はこの地球に生を受け、様々な事件を引き起こしているらしいのだ。
それで統治神<シ>はその娘の処刑を戦士ヨハネに命じたのだが、その任務は遂行されることが無かった。
それで統治神<シ>は、私にその娘の処刑を新たに命じたのだ」
とミカエルはエルフィンに言った。
「ヨハネは大学校以来の親友なのだが、その娘はヨハネの幼なじみで、私にとっても大学校時代の後輩なのだ。
ヨハネは口には出さないが、娘のことが子供のころから好きだった。
しかし娘が恋した相手は、ヨハネでも、もちろん私でもなく、異世界の王子だった。それも統治神<シ>の義理の弟だった。
その義理の弟といのが、また、特別な存在で、異世界では「マイトレーイ」と呼ばれる救世主の次期有力候補だった。そして事件が起こり、娘は行方不となった。
ヨハネは愛する娘を助けようとして、銀河中を探して、やっとこの星で娘の痕跡を見つけた。
そして救出しようとしたのだが、娘に取り憑いた夢魔は、決して娘を離そうとはしなかったのだ」
「それで僕に、何をしてほしいんだ?」
とエルフィンはミカエルに言った。
「ただ側にいて、助けてほしいだけさ」
とミカエルは言った。
「君は帝国軍で、その若さで将軍にまでなった戦士だ。
その美貌で、色々な噂があるのも知っている。
だが人々は帝国軍総統ユリウスの怖さばかりに目が行き、その本当の実力をあまりに過小評価している。
我々、宇宙連合軍が決して帝国軍に勝てない理由は、ユリウスが帝国軍の総統だからだ」
「この数週間、君と行動を共にしてみて、総統ユリウスが君を将軍に抜擢し、側に置きたかった理由が良く判った」
「君と一緒にいると、なぜか心が安まるんだ。
そしてなぜか普通は不可能に思えることでも、可能なことのように思えてくる」
とミカエルはエルフィンに言った。
「私は幼い頃の君を良く知っているし、子供の頃からずっとルカが好きだったから、君に対して欲望は感じないが、総統ユリウスが君に感じたであろう欲望も解るような気がする」
と、ミカエルはエルフィンに言った。
「君はどうも希望と破滅の両方を持ち合わせた、いわゆる”最後の誘惑”的な存在なのだろうと思う」
エルフィンはその言葉に、今までの辛すぎた過去が、走馬灯にように心に蘇り、消えてゆくのを感じた。
そのとき初めて、その過去と運命を越えられるような気がした。
そしてミカエルはエルフィンに言った。
「君は子供のころから、とても大人で、いつも冷静だった。
だから私が判断を誤りそうになったときは、間違っていると言ってほしいんだ。
正しい判断ができるかどうか、実は自信がなくてね」
そして二人きりになったとき、ある重大なことをエルフィンに打ち明けた。
「今、我々の宇宙は、存亡の危機に直面している。
どうも“滅びの子”と言われる者が、生まれたらしいのだ。
このものが生まれると、星がひとつ滅ぶと云われている。
どうもそれが私の生れ故郷アトランティスで生まれたらしいのだ。
それで統治神<シ>さまは、そのものを探している。
そしてたまたま統治神『<シ>の新しい花嫁に選ばれながら、拒否した娘がいた。
その娘には恋人がいたらしく、突然、姿を消した。
娘はどうも、異次元から来た悪魔、夢魔に取り憑かれてしまったようなのだ。
そして夢魔の手先と成り果てた娘は、この宇宙を壊しかねない存在となり、今はこの地球に生を受け、様々な事件を引き起こしているらしいのだ。
それで統治神<シ>はその娘の処刑を戦士ヨハネに命じたのだが、その任務は遂行されることが無かった。
それで統治神<シ>は、私にその娘の処刑を新たに命じたのだ」
とミカエルはエルフィンに言った。
「ヨハネは大学校以来の親友なのだが、その娘はヨハネの幼なじみで、私にとっても大学校時代の後輩なのだ。
ヨハネは口には出さないが、娘のことが子供のころから好きだった。
しかし娘が恋した相手は、ヨハネでも、もちろん私でもなく、異世界の王子だった。それも統治神<シ>の義理の弟だった。
その義理の弟といのが、また、特別な存在で、異世界では「マイトレーイ」と呼ばれる救世主の次期有力候補だった。そして事件が起こり、娘は行方不となった。
ヨハネは愛する娘を助けようとして、銀河中を探して、やっとこの星で娘の痕跡を見つけた。
そして救出しようとしたのだが、娘に取り憑いた夢魔は、決して娘を離そうとはしなかったのだ」
「それで僕に、何をしてほしいんだ?」
とエルフィンはミカエルに言った。
「ただ側にいて、助けてほしいだけさ」
とミカエルは言った。
「君は帝国軍で、その若さで将軍にまでなった戦士だ。
その美貌で、色々な噂があるのも知っている。
だが人々は帝国軍総統ユリウスの怖さばかりに目が行き、その本当の実力をあまりに過小評価している。
我々、宇宙連合軍が決して帝国軍に勝てない理由は、ユリウスが帝国軍の総統だからだ」
「この数週間、君と行動を共にしてみて、総統ユリウスが君を将軍に抜擢し、側に置きたかった理由が良く判った」
「君と一緒にいると、なぜか心が安まるんだ。
そしてなぜか普通は不可能に思えることでも、可能なことのように思えてくる」
とミカエルはエルフィンに言った。
「私は幼い頃の君を良く知っているし、子供の頃からずっとルカが好きだったから、君に対して欲望は感じないが、総統ユリウスが君に感じたであろう欲望も解るような気がする」
と、ミカエルはエルフィンに言った。
「君はどうも希望と破滅の両方を持ち合わせた、いわゆる”最後の誘惑”的な存在なのだろうと思う」
エルフィンはその言葉に、今までの辛すぎた過去が、走馬灯にように心に蘇り、消えてゆくのを感じた。
そのとき初めて、その過去と運命を越えられるような気がした。
そしてミカエルはエルフィンに言った。
「君は子供のころから、とても大人で、いつも冷静だった。
だから私が判断を誤りそうになったときは、間違っていると言ってほしいんだ。
正しい判断ができるかどうか、実は自信がなくてね」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ヘリオポリスー九柱の神々ー
soltydog369
ミステリー
古代エジプト
名君オシリスが治めるその国は長らく平和な日々が続いていた——。
しかし「ある事件」によってその均衡は突如崩れた。
突如奪われた王の命。
取り残された兄弟は父の無念を晴らすべく熾烈な争いに身を投じていく。
それぞれの思いが交錯する中、2人が選ぶ未来とは——。
バトル×ミステリー
新感覚叙事詩、2人の復讐劇が幕を開ける。
壁にキスはしないでください!~偽りの番は甘い香り、ほんろうされて今日もキスをする~
星名 泉花
キャラ文芸
四ツ井 葉緩は主と姫をくっつけようと試行錯誤するくノ一。
壁に擬態して二人を見守るのが務めであり、趣味だ。
任務を全うしたいのに、クラスメイトの望月 葵斗に振り回され、任務に集中できない日々。
「隠れ身の術」をしてるのにキスされ、ぎゅっとされ、パニック状態!
なぜ葵斗の気配を探れないのか。
ふてくされていると、ついに葵斗が壁を破って「葉緩が番」だと言い出して――。
気配も香りもわからない。思いがけない番の登場に葉緩の運命が変わっていく。
「イケメンな番(手が早い)にふりまわされる優秀なくノ一(仮)の運命の歯車にほんろうされる切なさありのラブストーリー」と「主と姫を応援する忍びの推し活物語」
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

ヤクザと捨て子
幕間ささめ
BL
執着溺愛ヤクザ幹部×箱入り義理息子
ヤクザの事務所前に捨てられた子どもを自分好みに育てるヤクザ幹部とそんな保護者に育てられてる箱入り男子のお話。
ヤクザは頭の切れる爽やかな風貌の腹黒紳士。息子は細身の美男子の空回り全力少年。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
一輪の廃墟好き 第一部
流川おるたな
ミステリー
僕の名前は荒木咲一輪(あらきざきいちりん)。
単に好きなのか因縁か、僕には廃墟探索という変わった趣味がある。
年齢25歳と社会的には完全な若造であるけれど、希少な探偵家業を生業としている歴とした個人事業者だ。
こんな風変わりな僕が廃墟を探索したり事件を追ったりするわけだが、何を隠そう犯人の特定率は今のところ百発百中100%なのである。
年齢からして担当した事件の数こそ少ないものの、特定率100%という素晴らしい実績を残せた秘密は僕の持つ特別な能力にあった...

幼なじみは謎が解けない
壱ノ瀬和実
ミステリー
謎を解きたい!でも解けない!そんな幼なじみ水都恋(みとれん)と、いつも付き合わされる綾里七瀬(あやさとななせ)。
謎が解けない幼なじみによって、七瀬は今日も日常の謎解きに巻き込まれる!

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる