「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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地球編 第3章 新興宗教「光の泉」と光の戦士たち

第3話 エルフィンの母親がヨシュアであることを知り、驚くジャド師

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「ハンネス、そなたが連れてきたあの友人とは、どこで知り合ったのだ?」
と、医官ジャドは親友の忘れ形見で、息子のように育てたハンネスに聞いた。

「帝国軍で知り合ったのか?
 お前の友人は、ここへ来る前は、帝国軍の将軍だったと、ミカエルさまから聞いている」

「帝国軍で医官をしているときに、エルフィンが戦闘で怪我をして、運ばれてきたのです。診察してみると、彼は両性具有で、まだ未分化であることがわかりました。

 とても驚きました。彼はシャンバラ滅亡後、初めて出会った同じ星系の出身者でしたから・・・。二人とも訳あって、故郷から遠く離れた星にいて、ひとり孤独だった。
 私たちはすぐに仲良くなりました。

 彼はシャンバラ出身ではなかったけれど、シャンバラと少なからず縁があり、ユダさまのことも知っていました。それにあの美しさだ。
 私は一目で、心を奪われました。
 彼が側にいるだけで、私は幸せでした」

「両性具有の民は、宇宙を探してもそれほど多くないが、何処の星の出身なのだ?」

「アトランティスの生まれでした」

 それを聞いたジャド師は、少し顔を曇らせた。
 嫌な予感がした。

「実は、最近になって知ったことなのですが、私とエルフィンは子供のころにすでに出会っていたのです。エルフィンは統治神<シ>の妹ヨシュアさまのお子だったのです」

 嬉しそうにハンネスは話を続けたが、ジャド師はその言葉に心が凍り付くほどの衝撃を受けた。

「ヨシュアさまというと、将軍家に嫁いだはずだが、あの者は、将軍家の血筋なのか?」

「表向きはそうなのですが、たぶん違うようです。
 エルフィンはシャンバラの特別な遺伝子を持っていました。
 だからいつまでたっても未分化のままなのです。
 エルフィンの本当の父親は、たぶん、ユダさまです」

「何だと? そんなことは、あってはならないことだ。
 ユダさまは、そのことを知っていたのか?」

「たぶん知らなかったはずです」

 ハンネスからもたらされた驚愕の真実に、ジャド師は驚いたが、エルフィンが将軍家の血を引いていないらしいことに、安堵した。
 しかし気がかりはあった。

「それであの者には、兄弟はいるのか?」
と、ジャド師は再びハンネスに聞いた。

「離れ離れになった弟がひとりいて、ずっと探していると言っていました」

 ジャド師は、ハンネスの祖父と両親の死について、まだ詳しくは、ハンネスに
話していなかった。しかし話す時が来たようだと、感じていた。
 しかし二人の気持ちを思うと、話すべきかどううかやはり迷った。

 統治神<シ>の妹、ヨシュアが嫁いだ前アトランティス王家は、ハンネスの祖父母を謀略によって殺害した大将軍が始祖のいわく付き王家だった。
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