119 / 234
地球編 第2章 武官オリオンとアメリア
第9話 輪廻転生について教えていただきたいのです。
しおりを挟む
「ジャド師さま、私の知り合いで、師にお会いして、教えを請いたいと申しているものがおります。
そのものに会って、少し相談にのってやってはいただけませんでしょうか?」
と、エルフィンは研究室のジャド師に聞いた。
振り返ったジャド師の目に、ひとりの精悍な青年の姿が飛び込んできた。
初めて見る顔だった。
「マルデクで私の同僚だった、武官オリオンです」
とエルフィンはジャド師に、オリオンを紹介した。
青年は真摯なまなざしで、ジャド師に言った。
「ジャド師さまは、あのシャンバラ出身だと、聞いております。
生と死の狭間でみなの命を救ってきた、宇宙一の医官と評判のジャド師さまならば、答えを知っておられうのではないかと思い、エルフィンに無理を承知で頼みました。
実は地球へ来る旅の途中から、ずっと心を痛めてきたことがあるのです」
「役に立てるかどうかはわからぬが、どのような悩みかな?」
とジャド師は、にこやかな笑みを浮かべて青年に言った。
「時の輪と輪廻転生について教えていただきたいのです」
と、思い詰めた表情で青年はなおも続けた。
「実はこの星には3人でくる予定だったのです。
しかし旅の途中で、ひとりの者を見失ってしまいました。ワープトンネルを抜ける途中で、その者は時の輪の渦に飲み込まれてしまったのです。初めての経験で、私はうろたえ、どうすることも出来ませんでした。助けられなかったのです。
もはや永遠にあの者を漆黒の闇から助け出すことは、不可能なことなのでしょうか?」
「その時の状況にもよりますが、運が良ければ、その魂は輪廻転生を繰り返すはずです。あなたに、どのような理由があるのか分かりませんが、その魂に再び出会うことは、かなり難しいことは事実です。でも、不可能なことではありません。
この世はすべて波動で出来ているので。強い思いは波動となり、この宇宙に変化をもたらします。
あなたがあきらめず思いつづけるならば、時間はどのくらいかかるかわかりませんが、運命を変えることは可能で、その方を救うことも可能なはずです」
とジャド師はオリオンに言った。
その答えは、オリオンの心に小さな希望の光をもたらした。
「ありがとうございます、ジャド師さま。これで少し、希望がもてます。
ありがとうございます」
とオリオンは少し涙声でジャド師に礼を言い、深々と頭を下げた。
オリオンはその時まで、自分でも気づいていなかったのだが、一緒に旅をするうちに、ルカの素直さとその美しさに魅せられ、知らないうちに恋をしていたのだった。
失敗した任務を挽回したいからではなく、自分が見失った恋をまた取り戻りたいのだといことに、オリオンはそのとき、初めて気づいた。
そのものに会って、少し相談にのってやってはいただけませんでしょうか?」
と、エルフィンは研究室のジャド師に聞いた。
振り返ったジャド師の目に、ひとりの精悍な青年の姿が飛び込んできた。
初めて見る顔だった。
「マルデクで私の同僚だった、武官オリオンです」
とエルフィンはジャド師に、オリオンを紹介した。
青年は真摯なまなざしで、ジャド師に言った。
「ジャド師さまは、あのシャンバラ出身だと、聞いております。
生と死の狭間でみなの命を救ってきた、宇宙一の医官と評判のジャド師さまならば、答えを知っておられうのではないかと思い、エルフィンに無理を承知で頼みました。
実は地球へ来る旅の途中から、ずっと心を痛めてきたことがあるのです」
「役に立てるかどうかはわからぬが、どのような悩みかな?」
とジャド師は、にこやかな笑みを浮かべて青年に言った。
「時の輪と輪廻転生について教えていただきたいのです」
と、思い詰めた表情で青年はなおも続けた。
「実はこの星には3人でくる予定だったのです。
しかし旅の途中で、ひとりの者を見失ってしまいました。ワープトンネルを抜ける途中で、その者は時の輪の渦に飲み込まれてしまったのです。初めての経験で、私はうろたえ、どうすることも出来ませんでした。助けられなかったのです。
もはや永遠にあの者を漆黒の闇から助け出すことは、不可能なことなのでしょうか?」
「その時の状況にもよりますが、運が良ければ、その魂は輪廻転生を繰り返すはずです。あなたに、どのような理由があるのか分かりませんが、その魂に再び出会うことは、かなり難しいことは事実です。でも、不可能なことではありません。
この世はすべて波動で出来ているので。強い思いは波動となり、この宇宙に変化をもたらします。
あなたがあきらめず思いつづけるならば、時間はどのくらいかかるかわかりませんが、運命を変えることは可能で、その方を救うことも可能なはずです」
とジャド師はオリオンに言った。
その答えは、オリオンの心に小さな希望の光をもたらした。
「ありがとうございます、ジャド師さま。これで少し、希望がもてます。
ありがとうございます」
とオリオンは少し涙声でジャド師に礼を言い、深々と頭を下げた。
オリオンはその時まで、自分でも気づいていなかったのだが、一緒に旅をするうちに、ルカの素直さとその美しさに魅せられ、知らないうちに恋をしていたのだった。
失敗した任務を挽回したいからではなく、自分が見失った恋をまた取り戻りたいのだといことに、オリオンはそのとき、初めて気づいた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
世界の不思議な扉
naomikoryo
ミステリー
『世界の不思議な扉』へようこそ
目の前の現実とは異なる、少しだけ不思議で謎めいた世界を旅してみませんか?
このオムニバスでは、地球上に実在するミステリアスなスポット、歴史が隠した奇妙な出来事、そして科学で説明しきれない現象を集め、お届けします。
荒涼とした砂漠に潜む「サハラ砂漠の目」、
静寂の中に響く音楽が漂う「歌う道路」、
氷の大地で赤く染まる「南極の血の滝」、
宇宙からでも見える奇跡の地形や、伝説と科学が交差する神秘的な現象。
などなど
ただし、これらは全てAI(ChatGPT)にて提示された物であり、信憑性についてはあなた自身で解明する必要があるかもしれません!!(^^)
便利でありながら、時には滑稽な回答を導き出すAIと共に、冒険に出てみませんか?
※勿論、ネットで(^^)
これらの不思議な話を一つ一つ紐解いていく中で、あなたはきっと、「この世界にはまだ知らないことがたくさんある」と感じることでしょう。
この本があなたの「謎への好奇心」を刺激し、世界をもう一度見直すきっかけとなりますように。
—— あなたの知らない世界が、ここにあります。
パンアメリカン航空-914便
天の川銀河
ミステリー
ご搭乗有難うございます。こちらは機長です。
ニューヨーク発、マイアミ行。
所要時間は・・・
37年を予定しております。
世界を震撼させた、衝撃の実話。

戦いに行ったはずの騎士様は、女騎士を連れて帰ってきました。
新野乃花(大舟)
恋愛
健気にカサルの帰りを待ち続けていた、彼の婚約者のルミア。しかし帰還の日にカサルの隣にいたのは、同じ騎士であるミーナだった。親し気な様子をアピールしてくるミーナに加え、カサルもまた満更でもないような様子を見せ、ついにカサルはルミアに婚約破棄を告げてしまう。これで騎士としての真実の愛を手にすることができたと豪語するカサルであったものの、彼はその後すぐにあるきっかけから今夜破棄を大きく後悔することとなり…。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
公主の嫁入り
マチバリ
キャラ文芸
宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。
17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。
中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。

竜王の花嫁は番じゃない。
豆狸
恋愛
「……だから申し上げましたのに。私は貴方の番(つがい)などではないと。私はなんの衝動も感じていないと。私には……愛する婚約者がいるのだと……」
シンシアの瞳に涙はない。もう涸れ果ててしまっているのだ。
──番じゃないと叫んでも聞いてもらえなかった花嫁の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる