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地球編 第2章 武官オリオンとアメリア
第9話 輪廻転生について教えていただきたいのです。
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「ジャド師さま、私の知り合いで、師にお会いして、教えを請いたいと申しているものがおります。
そのものに会って、少し相談にのってやってはいただけませんでしょうか?」
と、エルフィンは研究室のジャド師に聞いた。
振り返ったジャド師の目に、ひとりの精悍な青年の姿が飛び込んできた。
初めて見る顔だった。
「マルデクで私の同僚だった、武官オリオンです」
とエルフィンはジャド師に、オリオンを紹介した。
青年は真摯なまなざしで、ジャド師に言った。
「ジャド師さまは、あのシャンバラ出身だと、聞いております。
生と死の狭間でみなの命を救ってきた、宇宙一の医官と評判のジャド師さまならば、答えを知っておられうのではないかと思い、エルフィンに無理を承知で頼みました。
実は地球へ来る旅の途中から、ずっと心を痛めてきたことがあるのです」
「役に立てるかどうかはわからぬが、どのような悩みかな?」
とジャド師は、にこやかな笑みを浮かべて青年に言った。
「時の輪と輪廻転生について教えていただきたいのです」
と、思い詰めた表情で青年はなおも続けた。
「実はこの星には3人でくる予定だったのです。
しかし旅の途中で、ひとりの者を見失ってしまいました。ワープトンネルを抜ける途中で、その者は時の輪の渦に飲み込まれてしまったのです。初めての経験で、私はうろたえ、どうすることも出来ませんでした。助けられなかったのです。
もはや永遠にあの者を漆黒の闇から助け出すことは、不可能なことなのでしょうか?」
「その時の状況にもよりますが、運が良ければ、その魂は輪廻転生を繰り返すはずです。あなたに、どのような理由があるのか分かりませんが、その魂に再び出会うことは、かなり難しいことは事実です。でも、不可能なことではありません。
この世はすべて波動で出来ているので。強い思いは波動となり、この宇宙に変化をもたらします。
あなたがあきらめず思いつづけるならば、時間はどのくらいかかるかわかりませんが、運命を変えることは可能で、その方を救うことも可能なはずです」
とジャド師はオリオンに言った。
その答えは、オリオンの心に小さな希望の光をもたらした。
「ありがとうございます、ジャド師さま。これで少し、希望がもてます。
ありがとうございます」
とオリオンは少し涙声でジャド師に礼を言い、深々と頭を下げた。
オリオンはその時まで、自分でも気づいていなかったのだが、一緒に旅をするうちに、ルカの素直さとその美しさに魅せられ、知らないうちに恋をしていたのだった。
失敗した任務を挽回したいからではなく、自分が見失った恋をまた取り戻りたいのだといことに、オリオンはそのとき、初めて気づいた。
そのものに会って、少し相談にのってやってはいただけませんでしょうか?」
と、エルフィンは研究室のジャド師に聞いた。
振り返ったジャド師の目に、ひとりの精悍な青年の姿が飛び込んできた。
初めて見る顔だった。
「マルデクで私の同僚だった、武官オリオンです」
とエルフィンはジャド師に、オリオンを紹介した。
青年は真摯なまなざしで、ジャド師に言った。
「ジャド師さまは、あのシャンバラ出身だと、聞いております。
生と死の狭間でみなの命を救ってきた、宇宙一の医官と評判のジャド師さまならば、答えを知っておられうのではないかと思い、エルフィンに無理を承知で頼みました。
実は地球へ来る旅の途中から、ずっと心を痛めてきたことがあるのです」
「役に立てるかどうかはわからぬが、どのような悩みかな?」
とジャド師は、にこやかな笑みを浮かべて青年に言った。
「時の輪と輪廻転生について教えていただきたいのです」
と、思い詰めた表情で青年はなおも続けた。
「実はこの星には3人でくる予定だったのです。
しかし旅の途中で、ひとりの者を見失ってしまいました。ワープトンネルを抜ける途中で、その者は時の輪の渦に飲み込まれてしまったのです。初めての経験で、私はうろたえ、どうすることも出来ませんでした。助けられなかったのです。
もはや永遠にあの者を漆黒の闇から助け出すことは、不可能なことなのでしょうか?」
「その時の状況にもよりますが、運が良ければ、その魂は輪廻転生を繰り返すはずです。あなたに、どのような理由があるのか分かりませんが、その魂に再び出会うことは、かなり難しいことは事実です。でも、不可能なことではありません。
この世はすべて波動で出来ているので。強い思いは波動となり、この宇宙に変化をもたらします。
あなたがあきらめず思いつづけるならば、時間はどのくらいかかるかわかりませんが、運命を変えることは可能で、その方を救うことも可能なはずです」
とジャド師はオリオンに言った。
その答えは、オリオンの心に小さな希望の光をもたらした。
「ありがとうございます、ジャド師さま。これで少し、希望がもてます。
ありがとうございます」
とオリオンは少し涙声でジャド師に礼を言い、深々と頭を下げた。
オリオンはその時まで、自分でも気づいていなかったのだが、一緒に旅をするうちに、ルカの素直さとその美しさに魅せられ、知らないうちに恋をしていたのだった。
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