「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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マルデク編 第1章 オスカー・フォン・ブラウンの恋

第9話 フォースの玉投げ遊び

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 ある日の朝、オスカーは誰もいない早朝の広場で、ルカがひとりたたずみ、何か不思議なことをしているところに出くわした。

 両手を使って、何かを作っているようなしぐさをしていた。
 そしてそのあとボールを投げるようなしぐさをしたのだが、とつぜん遠くで小さな炎が舞い上がり静かに消えていった。

『何だろう?』
と思い、オスカーはルカに近づいて行って、何げなく聞いた。

「何をしているんだい?」

 驚いたことにルカは、
「フォース玉投げ」と無邪気に笑いながら答えた。

 驚いたことにルカは、フォースの球を作っては投げる、という遊びをしていたのだった。

「お祖父さまから昔、教えてもらった遊びなんです」
と素直に答えるルカに、オスカーは仰天した。

 ルカはまったく気づいていないようだったのだが、それはフォースを操るための最初の初歩的な訓練だった。

「小さい頃、兄がお祖父さまと一緒に、毎日、庭で武術の練習をしていたんです。
 僕も一緒に練習がしたくて、
『教えて・・・』とおねだりしたら、
『それでは、この遊びをマスターしたら、教えてあげよう』と言って、教えてくれた遊びなんです。
 でも小さい頃は、この遊びがうまく出来なくて、一緒には練習させてもらえませんでした」

 オスカーはなぜルカが、あの総統の執拗な攻めを受けながらも、あの奥の間から脱出できたのか、初めて理解した。ルカはフォースを使って、総統の攻めを耐え抜き、扉までたどり着いたのだ。
 そして自分でも知らないうちに、フォース爆弾を扉に放ち、扉を壊したのだった。

 ルカの持つフォースは、特別なものだった。
 帝国で主流のフォース技とは明らかに違っていた。

 そしてそのフォースを操るすべを、きちんと体得していなことは、とても危険なことだった。しかしそれを教えられる者は、帝国には、誰もいなかった。
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