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地球編 第1章 光の泉
第5話 シャンバラ出身の医官ジャドは、あることに気がついた。
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遺伝子分析をすると、ハンネスという医官が言ったように、連れの青年は現アトランティス王朝の血筋であることが判明した。
ミカエルはことの重大さに驚きはしたが、しばらくは様子をみることにした。そして施設内の医務室に青年を運び、教団内の医官に治療を頼むことにした。
呼ばれた医官は、ジャドという年配のシャンバラ出身の医官だった。
ハンネスはフォースの使い手だったため、結局は特殊な加工をした電磁波の檻へ収監されたのだが、そこへ応急処置を終えたジャド医官が息を切らしながら走って来た。
ジャド医官は患者を治療していて、あることに気づき驚いた。
患者は明らかにエナジー・フォースの治療を受けていた。そしてその治療が出来る者は、この広い宇宙でも限られていた。シャンバラの医官だけが出来る特別な治療法だったのだ。
シャンバラは異世界が絡んだ先の宇宙戦争になぜか巻き込まれ、その結果、宇宙の塵となり消えた惑星だった。
ジャド師は惑星が崩壊したとき、たまたま任務で別の宇宙に出張していたため、生き残った。
そのため最後のシャンバラ医術の継承者と思われていた。しかし目の前の患者は、シャンバラ出身の医官がジャド師以外に生き残っていたことをはっきりと示していた。誰なのか、気になった。この秘法中の秘法とも言える医術を使えるのは、シャンバラでも数人しかいなかった。もしや・・・、と思いジャド師は息を切らして、その者がいる場所へと急いだ。
青年の顔を見るなり、ジャド師は
「ハンネス!」
と、驚きと喜びと哀しみが入り交じった声で叫んだ。
ジャド医官とハンネスは旧知の仲だった。それも特別な縁で結ばれた、特別な師弟関係にあった。
ジャド医官はハンネスの父親の親友で、親友亡きあと、ハンネスを赤子の頃から、自分の子どものように育てた、育ての親だったのだ。しかしあの惑星崩壊の時、任務で長らくシャンバラを留守にしていたジャド師は、ハンネスがどこにいたのかを知らなかった。ハンネスも惑星と共に、その運命を閉じたものとずっと思っていたのだ。
ジャド師はハンネスの姿を見て涙が止まらなかった。
すぐにジャド医官はミカエルのもとへ飛んで行き、
「あのものは、血はつながっていないが私の息子なのです。
どうか檻から早く出してください。何かあった場合は、私があの子に代わって責任をとります」
と言った。
ミカエルはことの重大さに驚きはしたが、しばらくは様子をみることにした。そして施設内の医務室に青年を運び、教団内の医官に治療を頼むことにした。
呼ばれた医官は、ジャドという年配のシャンバラ出身の医官だった。
ハンネスはフォースの使い手だったため、結局は特殊な加工をした電磁波の檻へ収監されたのだが、そこへ応急処置を終えたジャド医官が息を切らしながら走って来た。
ジャド医官は患者を治療していて、あることに気づき驚いた。
患者は明らかにエナジー・フォースの治療を受けていた。そしてその治療が出来る者は、この広い宇宙でも限られていた。シャンバラの医官だけが出来る特別な治療法だったのだ。
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ジャド師は惑星が崩壊したとき、たまたま任務で別の宇宙に出張していたため、生き残った。
そのため最後のシャンバラ医術の継承者と思われていた。しかし目の前の患者は、シャンバラ出身の医官がジャド師以外に生き残っていたことをはっきりと示していた。誰なのか、気になった。この秘法中の秘法とも言える医術を使えるのは、シャンバラでも数人しかいなかった。もしや・・・、と思いジャド師は息を切らして、その者がいる場所へと急いだ。
青年の顔を見るなり、ジャド師は
「ハンネス!」
と、驚きと喜びと哀しみが入り交じった声で叫んだ。
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ジャド医官はハンネスの父親の親友で、親友亡きあと、ハンネスを赤子の頃から、自分の子どものように育てた、育ての親だったのだ。しかしあの惑星崩壊の時、任務で長らくシャンバラを留守にしていたジャド師は、ハンネスがどこにいたのかを知らなかった。ハンネスも惑星と共に、その運命を閉じたものとずっと思っていたのだ。
ジャド師はハンネスの姿を見て涙が止まらなかった。
すぐにジャド医官はミカエルのもとへ飛んで行き、
「あのものは、血はつながっていないが私の息子なのです。
どうか檻から早く出してください。何かあった場合は、私があの子に代わって責任をとります」
と言った。
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