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神界編 第4章 二人の天使~エルフィンとルカ
第12話 地球へ続くワープトンネルとエルフィンの壮絶な過去
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二人は地球へと続くワープトンネルの入口へ、やっとたどり着いた。
そのワープトンネルは、地獄の日々からエルフィンを解放してくれた、特別なワープトンネルだった。
エルフィンは母親やルカと離れ離れになった直後、前アトランティス王アレスの特別な私兵であった闇部隊の一団に捕まり、拉致された。そしてそこで地獄のような日々を過ごした過去があったのだ。
その組織はアレス将軍の闇の部分、拉致・暗殺などを主な任務とし遂行していた。
その組織はアレス王の死後、無能なアレス将軍の息子ネロではなく、遺言の後継者エルフィンを後継に選び、すぐに捕獲に乗り出し、成功した。
リーダーの男は卑しい身分の出身ながら、飛び抜けて優秀な男だった。
アレス王はその男を気に入り、とても信頼していたので、男は王宮へ呼ばれることも多かった。
謁見するとき、いつもアレス王は溺愛する孫と一緒だった。
アレス王は孫を抱きしめ、抱き寄せ、そしてその頬にキスをした。何度も何度もキスをした。
アレス王が死ぬ直前、男は宮殿へ呼ばれた。
その宮殿で、男は久しぶりに成長したアレス王の孫を見た。
まだ子供ながら、不思議な美しさに包まれた少年がアレス王の側らにいて、王は少年の手を握っていた。
アレス王は男に、「孫を頼む」と言ったのち、息を引き取ったのだが、アレス王はこの男に眠る残忍さを、残念ながらそのとき知らなかったのだ。
男はその夜、宮殿で将軍の死を悼むのではなく、別の場所で夜を過ごした。
「今夜はどのような娘がお望みですか?」
主人はいつものように満面の笑みを浮かべ男に聞いた。
「まだ未分化の状態で、女に負けないような美しい少年はいるか?」
と男は主人に聞いた。
「もちろんおりますとも。今日は王さまが亡くなられたせいで、店はこのように閑古鳥が鳴くありさまですが、お客さまは逆に運が良かった。普段はとても無理なご注文ですが、今日はお答えすることができます。特別に出血サービスで、とびっきり美しい売れっ子をご紹介致します」
と置屋の主人は言った。
男は少年を抱くのは初めてだった。
少年はそこそこ美しかったが、アレス王の孫とはやはり比べものにならなかった。しかし売れっ子だけあって、夜とぎは上手だった。今まで抱いたどの娘よりも男を満足させた。
それからも男は少年のもとを訪れたのだが、その心にはいつもアレス王の孫の面影がちらついていた。
アレス王の死後、アトランティスはひどい混乱の渦に巻き込まれた。
第11代王アキレウスの息子パリスにつくか、それとも第12代王アレスの息子ネロにつくかで、国中が割れていた。しかし部下がエルフィンを捕らえ、男の前に差し出したとき、男の心はすぐに決まった。
男はアレス王の孫を選び、アレス王の代わりにアレス王の孫を抱きしめ、愛でることにしたのだ。
男はアレス王の遺言を盾に、新しい傀儡政権樹立を目指した。
男は、エルフィンのすべてを支配し、自分が王になることを夢見たのだ。
それから男は無力なエルフィンを、置屋の少年と同じように扱った。
置屋の少年に出来たことが、エルフィンに出来ない訳はなく、男娼の少年のように男を満足させることをエルフィンに強いた。
そして決してエルフィンが逆らうことを許さなかった。
そのような生活が嫌で、エルフィンは何度も逃げようとしたのだが、そのたびに失敗して男達からひどいリンチを受けた。そのリンチは、人里離れた場所に住む男達にとって、一種の娯楽で、祭りのようなものだった。
逃亡に失敗したエルフィンは、公開裁判を受けるのだが、その罰は皆の前で裸にされ、償いとして寛大な皆の愛を受け入れ、許しを請うというものだった。全員の愛がエルフィンを貫き、全員を恍惚状態へと導いた。しかしエルフィンがいくら泣いて謝り、いくら許しを請うても、まだ償いが足りないとして、誰もエルフィンを許す者はいなかった。そして祭りは延々と続くのだった。
何回かそのような集団リンチを受けた後、エルフィンは逃げることをついにあきらめた。しかし、エルフィンがすべてをあきらめた頃、奇跡は起きた。
まだ未分化ではあったが、美しく成長して、すっかり従順になったエルフィンを見て、リーダーの男はエルフィンを監禁部屋から出し、正式に妻とすることを宣言したのだ。
男はいよいよ王となる野心をむき出しにするようになった。
平民の出身であった男は、前アレス王が後継者として選らんだ孫エルフィンが、唯一の武器だった。
だからこそ男は、形式にこだわった。
正式に結婚式を挙げ、正式に王への名乗りを上げる必要があったのだ。
男が用意した挙式の会場は広く、迷子になりそうなほど大きな建物の中にあった。
しかしである。美しく成長したエルフィンに恋をしていた青年が、その組織のなかにもう一人いたのだ。
青年は貴族の出身で、前アレス王を本当に尊敬していた。アレス王を尊敬していたからこそ、必要悪としてその闇の組織も認め、その闇組織に身を投じたのだが、アレス王亡き後、もはやこの組織を認めることは出来なくなっていた。
そしてエルフィンが卑しい男と正式に結婚させられるのを、黙って見過ごすことはとても出来なかった。
青年はエルフィンを逃がす計画を立て、それを実行した。
その日、男は誰にも気づかれないようにして、花嫁の控え室へ行った。
花嫁衣装を着たエルフィンは、部屋に飾られていた大輪の花よりも美しかった。
「少し遅くなったが、君へのプレゼントだ」
と、青年は言った。そして小さなメモを渡した。
「地球へ続く秘密のワープトンネルのポイントだ。
地球は宇宙連合の実験惑星で、今は渡航禁止の星だ。
このポイントから、ワープトンネルを通って、地球へ逃げるんだ」
エルフィンは花嫁衣装を着たまま、控え室から逃走した。
エルフィンは躊躇することなく、以前と同じように、またそのポイントへ身を投じた。しかし、今回は以前と違いうまくゆかなかった。エルフィンは逆にこちらへ弾き飛ばされ、地面に強く体を打ち付けられた。
「出口がふさがっている」
それだけ言いうのが、やっとだった。
「無理をするな、エルフィン。動くんじゃない」
そして折も悪く、総統の派遣したエルフィン捜索隊までもが、そこへ到着していた。
二人は追いつかれてしまったことに気づいた。
「総統からの、おことばです。
『すぐ戻って、こころからの謝罪をせよ。
さすれば反逆の罪を軽くし、償いの機会を与える』
とのことです」
それはエルフィンを殺しはしないが、永遠に宮殿の奥へ閉じ込め、償わせるという、意味でもあった。そのことをオスカーもハンネスも良く知っていた。
しかしそう伝えた伝令は、ハンネスにウィンクをし、指揮官に気づかれないようにして、あるチップをハンネスに手渡した。
「オスカーさまからの贈り物です。
新しいワープトンネルの入口の情報が入っています」
そして周囲を気にしながら、伝令は小さな声で言った。
「私どもは指揮官以外はみな、オスカーさまの部下です。
二人の逃亡を、助けるために派遣されました。
指揮官以外の者を、上手にフォースで飛ばして、軽く切ってください。
作戦に失敗しても名誉の傷で挽回できるように、お願い致します」
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その組織はアレス王の死後、無能なアレス将軍の息子ネロではなく、遺言の後継者エルフィンを後継に選び、すぐに捕獲に乗り出し、成功した。
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アレス王はその男を気に入り、とても信頼していたので、男は王宮へ呼ばれることも多かった。
謁見するとき、いつもアレス王は溺愛する孫と一緒だった。
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アレス王が死ぬ直前、男は宮殿へ呼ばれた。
その宮殿で、男は久しぶりに成長したアレス王の孫を見た。
まだ子供ながら、不思議な美しさに包まれた少年がアレス王の側らにいて、王は少年の手を握っていた。
アレス王は男に、「孫を頼む」と言ったのち、息を引き取ったのだが、アレス王はこの男に眠る残忍さを、残念ながらそのとき知らなかったのだ。
男はその夜、宮殿で将軍の死を悼むのではなく、別の場所で夜を過ごした。
「今夜はどのような娘がお望みですか?」
主人はいつものように満面の笑みを浮かべ男に聞いた。
「まだ未分化の状態で、女に負けないような美しい少年はいるか?」
と男は主人に聞いた。
「もちろんおりますとも。今日は王さまが亡くなられたせいで、店はこのように閑古鳥が鳴くありさまですが、お客さまは逆に運が良かった。普段はとても無理なご注文ですが、今日はお答えすることができます。特別に出血サービスで、とびっきり美しい売れっ子をご紹介致します」
と置屋の主人は言った。
男は少年を抱くのは初めてだった。
少年はそこそこ美しかったが、アレス王の孫とはやはり比べものにならなかった。しかし売れっ子だけあって、夜とぎは上手だった。今まで抱いたどの娘よりも男を満足させた。
それからも男は少年のもとを訪れたのだが、その心にはいつもアレス王の孫の面影がちらついていた。
アレス王の死後、アトランティスはひどい混乱の渦に巻き込まれた。
第11代王アキレウスの息子パリスにつくか、それとも第12代王アレスの息子ネロにつくかで、国中が割れていた。しかし部下がエルフィンを捕らえ、男の前に差し出したとき、男の心はすぐに決まった。
男はアレス王の孫を選び、アレス王の代わりにアレス王の孫を抱きしめ、愛でることにしたのだ。
男はアレス王の遺言を盾に、新しい傀儡政権樹立を目指した。
男は、エルフィンのすべてを支配し、自分が王になることを夢見たのだ。
それから男は無力なエルフィンを、置屋の少年と同じように扱った。
置屋の少年に出来たことが、エルフィンに出来ない訳はなく、男娼の少年のように男を満足させることをエルフィンに強いた。
そして決してエルフィンが逆らうことを許さなかった。
そのような生活が嫌で、エルフィンは何度も逃げようとしたのだが、そのたびに失敗して男達からひどいリンチを受けた。そのリンチは、人里離れた場所に住む男達にとって、一種の娯楽で、祭りのようなものだった。
逃亡に失敗したエルフィンは、公開裁判を受けるのだが、その罰は皆の前で裸にされ、償いとして寛大な皆の愛を受け入れ、許しを請うというものだった。全員の愛がエルフィンを貫き、全員を恍惚状態へと導いた。しかしエルフィンがいくら泣いて謝り、いくら許しを請うても、まだ償いが足りないとして、誰もエルフィンを許す者はいなかった。そして祭りは延々と続くのだった。
何回かそのような集団リンチを受けた後、エルフィンは逃げることをついにあきらめた。しかし、エルフィンがすべてをあきらめた頃、奇跡は起きた。
まだ未分化ではあったが、美しく成長して、すっかり従順になったエルフィンを見て、リーダーの男はエルフィンを監禁部屋から出し、正式に妻とすることを宣言したのだ。
男はいよいよ王となる野心をむき出しにするようになった。
平民の出身であった男は、前アレス王が後継者として選らんだ孫エルフィンが、唯一の武器だった。
だからこそ男は、形式にこだわった。
正式に結婚式を挙げ、正式に王への名乗りを上げる必要があったのだ。
男が用意した挙式の会場は広く、迷子になりそうなほど大きな建物の中にあった。
しかしである。美しく成長したエルフィンに恋をしていた青年が、その組織のなかにもう一人いたのだ。
青年は貴族の出身で、前アレス王を本当に尊敬していた。アレス王を尊敬していたからこそ、必要悪としてその闇の組織も認め、その闇組織に身を投じたのだが、アレス王亡き後、もはやこの組織を認めることは出来なくなっていた。
そしてエルフィンが卑しい男と正式に結婚させられるのを、黙って見過ごすことはとても出来なかった。
青年はエルフィンを逃がす計画を立て、それを実行した。
その日、男は誰にも気づかれないようにして、花嫁の控え室へ行った。
花嫁衣装を着たエルフィンは、部屋に飾られていた大輪の花よりも美しかった。
「少し遅くなったが、君へのプレゼントだ」
と、青年は言った。そして小さなメモを渡した。
「地球へ続く秘密のワープトンネルのポイントだ。
地球は宇宙連合の実験惑星で、今は渡航禁止の星だ。
このポイントから、ワープトンネルを通って、地球へ逃げるんだ」
エルフィンは花嫁衣装を着たまま、控え室から逃走した。
エルフィンは躊躇することなく、以前と同じように、またそのポイントへ身を投じた。しかし、今回は以前と違いうまくゆかなかった。エルフィンは逆にこちらへ弾き飛ばされ、地面に強く体を打ち付けられた。
「出口がふさがっている」
それだけ言いうのが、やっとだった。
「無理をするな、エルフィン。動くんじゃない」
そして折も悪く、総統の派遣したエルフィン捜索隊までもが、そこへ到着していた。
二人は追いつかれてしまったことに気づいた。
「総統からの、おことばです。
『すぐ戻って、こころからの謝罪をせよ。
さすれば反逆の罪を軽くし、償いの機会を与える』
とのことです」
それはエルフィンを殺しはしないが、永遠に宮殿の奥へ閉じ込め、償わせるという、意味でもあった。そのことをオスカーもハンネスも良く知っていた。
しかしそう伝えた伝令は、ハンネスにウィンクをし、指揮官に気づかれないようにして、あるチップをハンネスに手渡した。
「オスカーさまからの贈り物です。
新しいワープトンネルの入口の情報が入っています」
そして周囲を気にしながら、伝令は小さな声で言った。
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