「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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神界編 第4章 二人の天使~エルフィンとルカ

第8話 エルフィンが会おうとした相手は・・・

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「ところで、何か知らないか? 今回の騒動の原因について・・・」
と、ハンネスは親友オスカーに聞いた。
「情報省長官のお前なら、みんなが知らないことでも知ってるはずだ」

 答えようとしないオスカーに少し苛立ちながらも、ハンネスは再び尋ねた。
「会っていた女性は、いったい誰なんだ?」

「そうだな、お前にだけは伝えておいたほうが、良いのかもしれないが・・・」
 
 オスカーはまだ、決心がつかず、悩んでいるようだった。
 しかしついに、重い口を開いた。

「たぶん、エルフィンの母親だ。確かめたいことがあったらしい。しかし結局、聞けなかったようだ」

「エルフィンは本当の素性を、実は隠している。
 そしてそれには深い事情があるんだ。
 エルフィンはとても高貴な血を引いていて、本来ならば総統にペット扱いされるようなことは、絶対ありえない存在なのだが、事情があってそれを隠している」
と、オスカーは親友ハンネスに言った。

「絶対にそれを総統に、知られるわけにはいかないから、拷問で体がボロボロになろうとも、口を割らなかった」
 静かに眠るエルフィンを愛おしそうに見つめながら、オスカーはそう言った。

「素性が総統に知れたら、強制的にあらゆるものを使って、総統はエルフィンを女性に変成させるはずだ。そして妻にめとり、この宇宙を制覇しようとするだろう」
とオスカーは、眠るエルフィンを見つめながら言った。

「エルフィンは不幸なことに、現アトランティス王朝と前アトランティス国王であった、将軍家の血を引いている。それも現統治神<シ>が誕生したとき、処刑されたことになっている王子なんだ」
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