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神界編 第3章 ヨシュアとユダ~終わりの始まり
第23話 パリスとエカテリーナの出会い
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先の王である大将軍アレズが亡くなると同時に、アトランティスは大混乱の渦に飲み込まれていった。
王位を継いだアレス将軍の息子ネロはまるで人望がなく、人民からの人気も無かった。
将軍は自分の孫であるエルフィンを後継者とする遺言を残していた。
そのためにエルフィンは父親ネロからも、その命を狙われることとなった。
ネロは口には出さなかったが、生れて間もないエルフィンの顔を見たとき、なぜか違和感を感じた。その違和感は、エルフィンが成長するにつれて、ネロの心のなかでどんどんふくらんで行った。
そしてふたり目の子供ルカが生れて、ルカをその腕に抱いたとき、疑惑は確信に変わった。
(ルカは私の息子だが、エルフィンは私の息子ではない!)
先王である大将軍アレスの遺言は、王位継承者はエルフィンであったが、ネロはその遺言を認めるわけには行かなかった。ルカを王位につけたかったネロは、エルフィンへの刺客をとうぜん送った。
ヨシュアの兄であるパリスは、表向きは、敵の跡取り息子であるヨシュアの息子エルフィンに刺客を送ったことになっていたが、実際は、ヨシュアと子供たちを救出するために、刺客ではなく、部下を送っていた。
しかしその部下は、女性に変成してからのヨシュアの顔を知らなかった。
そしてエルフィンの顔もくわしくは知らなかった。
だからヨシュアにもうひとり子供がいることなど、知るよしもなかった。
パリスの部下は、おとりに出た簡易食堂の娘親子を、ヨシュアとその子供だと勘違いした。
エルフィンを殺すようにと、ネロから指令を受けていた刺客たちは、簡易食堂の娘親子に毒矢を放った。
その毒矢はおさない愛娘を救おうとして娘の上に覆い被さった簡易食堂の娘を貫いた。
一足遅れて、刺客たちに追いついたパリスの部下たちは、なんとか刺客たちをその場から退けたのだが、すでに母親の方は毒矢の毒により息絶えていた。
パリスの部下たちは、母親を手厚く葬り、母親の骸の下で泣いていた娘をパリスのもとへ送り届けた。
「ヨシュアの子供は、男の子だと風の便りで聞いていたのだが、娘であったか・・・」
母親を失い、泣きじゃくっている幼き子に、パリスは優しい声で
「お前の名前は、何と申すのだ? 私はお前の母の兄だ」
と言った。
少女は少し泣き止み、小さな声で、
「エカテリーナ」
と言った。
王位を継いだアレス将軍の息子ネロはまるで人望がなく、人民からの人気も無かった。
将軍は自分の孫であるエルフィンを後継者とする遺言を残していた。
そのためにエルフィンは父親ネロからも、その命を狙われることとなった。
ネロは口には出さなかったが、生れて間もないエルフィンの顔を見たとき、なぜか違和感を感じた。その違和感は、エルフィンが成長するにつれて、ネロの心のなかでどんどんふくらんで行った。
そしてふたり目の子供ルカが生れて、ルカをその腕に抱いたとき、疑惑は確信に変わった。
(ルカは私の息子だが、エルフィンは私の息子ではない!)
先王である大将軍アレスの遺言は、王位継承者はエルフィンであったが、ネロはその遺言を認めるわけには行かなかった。ルカを王位につけたかったネロは、エルフィンへの刺客をとうぜん送った。
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しかしその部下は、女性に変成してからのヨシュアの顔を知らなかった。
そしてエルフィンの顔もくわしくは知らなかった。
だからヨシュアにもうひとり子供がいることなど、知るよしもなかった。
パリスの部下は、おとりに出た簡易食堂の娘親子を、ヨシュアとその子供だと勘違いした。
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パリスの部下たちは、母親を手厚く葬り、母親の骸の下で泣いていた娘をパリスのもとへ送り届けた。
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母親を失い、泣きじゃくっている幼き子に、パリスは優しい声で
「お前の名前は、何と申すのだ? 私はお前の母の兄だ」
と言った。
少女は少し泣き止み、小さな声で、
「エカテリーナ」
と言った。
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