59 / 234
神界編 第3章 ヨシュアとユダ~終わりの始まり
第9話 夜半過ぎ、食堂の主人と共に現れた人物にパリスは・・・
しおりを挟む
夜半過ぎ、簡易食堂の主人と共に現れた人物を見て、パリスは心からほっとした。
5年前、父アキレウスの死を伝えに来た宇宙連合の使者にして、動乱が勃発する前夜のアトランティスから、弟ヨシュアを安全な場所へ連れてゆくと約束してくれた青年が、そこに立っていたからだ。
「お久しぶりです、パリスさま」
青年はパリスににこやかにほほ笑むと、後ろを振り向き、簡易食堂の主人と連れの者に、
「大事な話があるので、しばし二人きりにしてほしい」
と言った。
「パリスさま、またお会いできて嬉しいです。
ずいぶん心配していました。
そしてずいぶん、たくましくなられた」
ユダはパリスに親しみを込めてそう言った。
将軍の放った刺客がパリスを捕え、彼を殺そうとしていることは、みな知っていた。
その監視の目をくぐり抜け、ここまでたどり着いたパリスはすでに王者の風格を身に付け始めていた。
「ヨシュアのことが、やはり心配で参りました。
あの子は人見知りが激しく、なかなか人になじめないところがあった。
新しい環境になじめず、孤立してつらい日々を送っているのではないかと、ずっと心配していました」
「明日、ヨシュアさまのところへ、パリスさまをお連れ致します」
ユダは、心配するパリスにそう言った。
「明日の朝、扉が開くころ、プレアデスの宮殿へお越しください。
中庭でお待ちしています」
それだけい言うと、ユダは風のように去っていった。
5年前、父アキレウスの死を伝えに来た宇宙連合の使者にして、動乱が勃発する前夜のアトランティスから、弟ヨシュアを安全な場所へ連れてゆくと約束してくれた青年が、そこに立っていたからだ。
「お久しぶりです、パリスさま」
青年はパリスににこやかにほほ笑むと、後ろを振り向き、簡易食堂の主人と連れの者に、
「大事な話があるので、しばし二人きりにしてほしい」
と言った。
「パリスさま、またお会いできて嬉しいです。
ずいぶん心配していました。
そしてずいぶん、たくましくなられた」
ユダはパリスに親しみを込めてそう言った。
将軍の放った刺客がパリスを捕え、彼を殺そうとしていることは、みな知っていた。
その監視の目をくぐり抜け、ここまでたどり着いたパリスはすでに王者の風格を身に付け始めていた。
「ヨシュアのことが、やはり心配で参りました。
あの子は人見知りが激しく、なかなか人になじめないところがあった。
新しい環境になじめず、孤立してつらい日々を送っているのではないかと、ずっと心配していました」
「明日、ヨシュアさまのところへ、パリスさまをお連れ致します」
ユダは、心配するパリスにそう言った。
「明日の朝、扉が開くころ、プレアデスの宮殿へお越しください。
中庭でお待ちしています」
それだけい言うと、ユダは風のように去っていった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【完結】限界離婚
仲 奈華 (nakanaka)
大衆娯楽
もう限界だ。
「離婚してください」
丸田広一は妻にそう告げた。妻は激怒し、言い争いになる。広一は頭に鈍器で殴られたような衝撃を受け床に倒れ伏せた。振り返るとそこには妻がいた。広一はそのまま意識を失った。
丸田広一の息子の嫁、鈴奈はもう耐える事ができなかった。体調を崩し病院へ行く。医師に告げられた言葉にショックを受け、夫に連絡しようとするが、SNSが既読にならず、電話も繋がらない。もう諦め離婚届だけを置いて実家に帰った。
丸田広一の妻、京香は手足の違和感を感じていた。自分が家族から嫌われている事は知っている。高齢な姑、離婚を仄めかす夫、可愛くない嫁、誰かが私を害そうとしている気がする。渡されていた離婚届に署名をして役所に提出した。もう私は自由の身だ。あの人の所へ向かった。
広一の母、文は途方にくれた。大事な物が無くなっていく。今日は通帳が無くなった。いくら探しても見つからない。まさかとは思うが最近様子が可笑しいあの女が盗んだのかもしれない。衰えた体を動かして、家の中を探し回った。
出張からかえってきた広一の息子、良は家につき愕然とした。信じていた安心できる場所がガラガラと崩れ落ちる。後始末に追われ、いなくなった妻の元へ向かう。妻に頭を下げて別れたくないと懇願した。
平和だった丸田家に襲い掛かる不幸。どんどん倒れる家族。
信じていた家族の形が崩れていく。
倒されたのは誰のせい?
倒れた達磨は再び起き上がる。
丸田家の危機と、それを克服するまでの物語。
丸田 広一…65歳。定年退職したばかり。
丸田 京香…66歳。半年前に退職した。
丸田 良…38歳。営業職。出張が多い。
丸田 鈴奈…33歳。
丸田 勇太…3歳。
丸田 文…82歳。専業主婦。
麗奈…広一が定期的に会っている女。
※7月13日初回完結
※7月14日深夜 忘れたはずの思い~エピローグまでを加筆修正して投稿しました。話数も増やしています。
※7月15日【裏】登場人物紹介追記しました。
※7月22日第2章完結。
※カクヨムにも投稿しています。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

それでもミステリと言うナガレ
崎田毅駿
ミステリー
流連也《ながれれんや》は子供の頃に憧れた名探偵を目指し、開業する。だが、たいした実績も知名度もなく、警察に伝がある訳でもない彼の所に依頼はゼロ。二ヶ月ほどしてようやく届いた依頼は家出人捜し。実際には徘徊老人を見付けることだった。憧れ、脳裏に描いた名探偵像とはだいぶ違うけれども、流は真摯に当たり、依頼を解決。それと同時に、あることを知って、ますます名探偵への憧憬を強くする。
他人からすればミステリではないこともあるかもしれない。けれども、“僕”流にとってはそれでもミステリなんだ――本作は、そんなお話の集まり。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
この欠け落ちた匣庭の中で 終章―Dream of miniature garden―
至堂文斗
ミステリー
ーーこれが、匣の中だったんだ。
二〇一八年の夏。廃墟となった満生台を訪れたのは二人の若者。
彼らもまた、かつてGHOSTの研究によって運命を弄ばれた者たちだった。
信号領域の研究が展開され、そして壊れたニュータウン。終焉を迎えた現実と、終焉を拒絶する仮想。
歪なる領域に足を踏み入れる二人は、果たして何か一つでも、その世界に救いを与えることが出来るだろうか。
幻想、幻影、エンケージ。
魂魄、領域、人類の進化。
802部隊、九命会、レッドアイ・オペレーション……。
さあ、あの光の先へと進んでいこう。たとえもう二度と時計の針が巻き戻らないとしても。
私たちの駆け抜けたあの日々は確かに満ち足りていたと、懐かしめるようになるはずだから。


広くて狭いQの上で
白川ちさと
ミステリー
ーーあなたに私の学園の全てを遺贈します。
私立慈従学園 坂東和泉
若狭透は大家族の長男で、毎日のように家事に追われている。
そんな中、向井巧という強面の青年が訪れて来た。彼は坂東理事長の遺言を透に届けに来たのだ。手紙には学園長と縁もゆかりもない透に学園を相続させると書かれていた――。
四人の学生が理事長の遺した謎を解いていく、謎解き青春ミステリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる