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神界編 第3章 ヨシュアとユダ~終わりの始まり
第6話 ユダさまとお知り合いなのですか?
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食堂の主人が、ユダという名前を聞いた途端、態度が変わったことをパリスは感じ取っていた。
(これは危険な状況なのだろうか?)
パリスは自分に自問しながら、周囲を見渡した。
(ここにも将軍が送り込んだ刺客が身を隠しているのだろうか・・・?)
パリスはもう一度、注意深く周囲を見回した。
しかしそれらしき人物は見当たらなかった。
食堂の主人は娘とおぼしき若い娘に、
「急用が出来たので出かけるが、あちらの客人が退屈しないように、話し相手になっておくれ」
と言ったのち、あたふたと出かけて行った。
「お客さん、ユダさまと、お知り合いなのですか?」
父親と客人の会話を聞いていた娘は、好奇心に瞳を輝かせながら、パリスに聞いてきた。
「ユダという名前の者は知っているが、そなたが知っている人物と同じかどうかはわかりかねる」
と、パリスが困惑して答えると、娘は少しガッカリしたようだった。
しかしパリスが、
「私の知るユダは、クムランの予言者と聞いている」
と付け加えると、
「本当ですか!」
と、今度は飛び上がらんばかりの喜びようだった。
「何がそんなに嬉しいのかな?」
とパリスが娘に言うと、
「噂では、とてもりりしくて、美しい方だと聞いています。
ユダさまは次の大神官の有力な候補だから、ラサでその名前を知らない者はおりません」
娘は夢見る少女のような顔をして、嬉しそうにそう話した。
(これは危険な状況なのだろうか?)
パリスは自分に自問しながら、周囲を見渡した。
(ここにも将軍が送り込んだ刺客が身を隠しているのだろうか・・・?)
パリスはもう一度、注意深く周囲を見回した。
しかしそれらしき人物は見当たらなかった。
食堂の主人は娘とおぼしき若い娘に、
「急用が出来たので出かけるが、あちらの客人が退屈しないように、話し相手になっておくれ」
と言ったのち、あたふたと出かけて行った。
「お客さん、ユダさまと、お知り合いなのですか?」
父親と客人の会話を聞いていた娘は、好奇心に瞳を輝かせながら、パリスに聞いてきた。
「ユダという名前の者は知っているが、そなたが知っている人物と同じかどうかはわかりかねる」
と、パリスが困惑して答えると、娘は少しガッカリしたようだった。
しかしパリスが、
「私の知るユダは、クムランの予言者と聞いている」
と付け加えると、
「本当ですか!」
と、今度は飛び上がらんばかりの喜びようだった。
「何がそんなに嬉しいのかな?」
とパリスが娘に言うと、
「噂では、とてもりりしくて、美しい方だと聞いています。
ユダさまは次の大神官の有力な候補だから、ラサでその名前を知らない者はおりません」
娘は夢見る少女のような顔をして、嬉しそうにそう話した。
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