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神界編 第2章 アトランティスの王子ヨシュア
第4話 異世界からきた学者ユダ ①
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「びっくりしただろう。君がいた世界では、あのようなことはたぶん無かっただろうから・・・」
教官ジャドは、さっきから無言で考え込んでいるユダにそう言った。
「さっき喧嘩していた二人は、どういう関係なのですか?」
「親が決めた許婚(いいなずけ)どうしなのだが、ふたりとも相手が嫌いでね、
毎日喧嘩している」
緑の森の奥深くに、誰も近寄ることのない石造り廃墟があった。それは忘れ去られた文明の遺跡で、ヨシュアだけが知る秘密の場所だった。
古代遺跡の遺構にもたれ、ヨシュアは傷ついた体を休めていた。
この古代の遺跡の中にいると、傷ついた身体も心も、自然に癒されるような気がしていた。 しかし・・・
その誰も知らないはずの秘密の場所に、近づいてくる人影があったのだ。
ヨシュアは月明かりに照らしだされた人影に驚き、脅えながらも、影の主の方に目を向けた。
月の光を背に受けてたたずむ突然の訪問者は、少し首をかしげながら、暗闇のなかでヨシュアの方をずっと見ていた。ヨシュアは少なからぬ恐怖を感じていた。だから逃げようとしたのだが、その日、ネロによってもたらされた傷はいつもよりも深く、身体にダメージとなって残っていた。
(動けない!)
それなのに、影の主はおびえるヨシュアにどんどん近づいてくる。
そして・・・
「そんなに脅えなくても、いいだろう。危害を加えたりはしない」
近づいてきた人影に月の光が差し込み、その姿を映し出した。
「見せてごらん、その傷。このままほっておくにはあまりに深すぎる傷だ。
早く治療したほうが良い。強情にもほどがある」
と言うと、シルエットの主はヨシュアの傷にその手を当てようとした。
教官ジャドは、さっきから無言で考え込んでいるユダにそう言った。
「さっき喧嘩していた二人は、どういう関係なのですか?」
「親が決めた許婚(いいなずけ)どうしなのだが、ふたりとも相手が嫌いでね、
毎日喧嘩している」
緑の森の奥深くに、誰も近寄ることのない石造り廃墟があった。それは忘れ去られた文明の遺跡で、ヨシュアだけが知る秘密の場所だった。
古代遺跡の遺構にもたれ、ヨシュアは傷ついた体を休めていた。
この古代の遺跡の中にいると、傷ついた身体も心も、自然に癒されるような気がしていた。 しかし・・・
その誰も知らないはずの秘密の場所に、近づいてくる人影があったのだ。
ヨシュアは月明かりに照らしだされた人影に驚き、脅えながらも、影の主の方に目を向けた。
月の光を背に受けてたたずむ突然の訪問者は、少し首をかしげながら、暗闇のなかでヨシュアの方をずっと見ていた。ヨシュアは少なからぬ恐怖を感じていた。だから逃げようとしたのだが、その日、ネロによってもたらされた傷はいつもよりも深く、身体にダメージとなって残っていた。
(動けない!)
それなのに、影の主はおびえるヨシュアにどんどん近づいてくる。
そして・・・
「そんなに脅えなくても、いいだろう。危害を加えたりはしない」
近づいてきた人影に月の光が差し込み、その姿を映し出した。
「見せてごらん、その傷。このままほっておくにはあまりに深すぎる傷だ。
早く治療したほうが良い。強情にもほどがある」
と言うと、シルエットの主はヨシュアの傷にその手を当てようとした。
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