「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

文字の大きさ
上 下
46 / 234
神界編 第2章 アトランティスの王子ヨシュア

第4話 異世界からきた学者ユダ ①

しおりを挟む
「びっくりしただろう。君がいた世界では、あのようなことはたぶん無かっただろうから・・・」

 教官ジャドは、さっきから無言で考え込んでいるユダにそう言った。

 「さっき喧嘩していた二人は、どういう関係なのですか?」

 「親が決めた許婚(いいなずけ)どうしなのだが、ふたりとも相手が嫌いでね、
 毎日喧嘩している」

 
 緑の森の奥深くに、誰も近寄ることのない石造り廃墟があった。それは忘れ去られた文明の遺跡で、ヨシュアだけが知る秘密の場所だった。

 古代遺跡の遺構にもたれ、ヨシュアは傷ついた体を休めていた。
 この古代の遺跡の中にいると、傷ついた身体も心も、自然に癒されるような気がしていた。 しかし・・・

 その誰も知らないはずの秘密の場所に、近づいてくる人影があったのだ。

 ヨシュアは月明かりに照らしだされた人影に驚き、脅えながらも、影の主の方に目を向けた。

 月の光を背に受けてたたずむ突然の訪問者は、少し首をかしげながら、暗闇のなかでヨシュアの方をずっと見ていた。ヨシュアは少なからぬ恐怖を感じていた。だから逃げようとしたのだが、その日、ネロによってもたらされた傷はいつもよりも深く、身体にダメージとなって残っていた。

 (動けない!)

 それなのに、影の主はおびえるヨシュアにどんどん近づいてくる。
 そして・・・
 

 「そんなに脅えなくても、いいだろう。危害を加えたりはしない」

 近づいてきた人影に月の光が差し込み、その姿を映し出した。

「見せてごらん、その傷。このままほっておくにはあまりに深すぎる傷だ。
 早く治療したほうが良い。強情にもほどがある」
と言うと、シルエットの主はヨシュアの傷にその手を当てようとした。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブレスレットが運んできたもの

mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。 そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。 血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。 これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。 俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。 そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

【完結】湖に沈む怪~それは戦国時代からの贈り物

握夢(グーム)
ミステリー
諏訪湖の中央に、巨大な石箱が沈んでいることが発見された。その石箱の蓋には武田家の紋章が。 ―――これは武田信玄の石櫃なのか? 石箱を引き上げたその夜に大惨劇が起きる。逃げ場のない得体のしれないものとの戦い。 頭脳派の時貞と、肉体派の源次と龍信が立ち向かう。 しかし、強靭な外皮をもつ不死身の悪魔の圧倒的な強さの前に、次々と倒されていく……。 それを目の当たりにして、ついに美人レポーターの碧がキレた!! ___________________________________________________ この物語は、以下の4部構成で、第1章の退屈なほどの『静』で始まり、第3章からは怒涛の『動』へと移ります。 映画やアニメが好きなので、情景や場面切り替えなどの映像を強く意識して創りました。 読んでいる方に、その場面の光景などが、多少でも頭の中に浮かんでもらえたら幸いです^^ ■第一章 出逢い   『第1話 激情の眠れぬ女騎士』~『第5話 どうやって石箱を湖に沈めた!?』 ■第二章 遭遇   『第6話 信長の鬼伝説と信玄死の謎』~『第8話 過去から来た未来刺客?』 ■第三章 長い戦い   『第9話 貴公子の初陣』~『第15話 遅れて来た道化師』 ■第四章 祭りの後に   『第16話 信玄の石棺だったのか!?』~『第19話 仲間たちの笑顔に』 ※ごゆっくりお楽しみください。

みんな愛してるから

葉咲透織
ミステリー
寄った勢いで、同僚の文也と一夜を過ごしてしまった夏織。彼は超がつく真面目な男で、「責任を取らせてほしい」と結婚前提の付き合いを申し込んでくる。 好みではないが、結婚相手には誠実でよかろうと文也の手を取る夏織だったが、彼に想いを寄せる先輩・百合子はふたりの関係を知り――……。 ※こちらは改稿版。note、エブリスタに同一のものがあります ※改稿前のものは個人ブログ、エブリスタ

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~

めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆ ―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。― モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。 だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。 そう、あの「秘密」が表に出るまでは。

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

処理中です...