「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

文字の大きさ
上 下
42 / 234
神界編 第1章 アトランティス宇宙士官大学校の美形士官候補生たち

第7話 学園祭⑦ アシュラの願い

しおりを挟む
 アシュラの思いに反して、女性への変性が始まった時から今日までずっと、必死で隠しつづけてきた秘密が、統治神<シ>に悟られたであろうことをアシュラは覚悟した。

 アシュラの願いはいつの日も、子供のころからの夢であった光の戦士になることだった。だからアトランティスの多くの女性がそうであるように、結婚して、ある意味自分の夢をあきらめて生きるのは、ずっとイヤだと思っていた。

「統治神さま、私の夢は子供のころからずっと、光の戦士になり、この宇宙を護る光となることでした。だから夢をあきらめきれず、今日まで、女性への変性が始まったことを隠してきました。
 それがこの世界の掟に背くことであり、罪であることも知っていました。しかし、あきらめきれなかったのです」

「統治神さま、女性で今までフォースを操れるものはいませんでした。しかしアシュラはフォースを私たちと同じように操れるのです。
 あと半年で卒業なのに、このまま大学校を辞めさせないでください。
 アシュラが女性になったとしても、そのような理由で光の戦士になる道をふさぐのは、可哀そうです」
と、ヨハネは統治神<シ>に自分の命も顧みず訴えた。

「お前たちの気持ちは良く分かった。だから大学校は、辞めなくて良い。
 光の戦士になりたいという夢を叶えてあげよう。
 そなたは、女性で初めての光の戦士となるであろう」
 
 統治神<シ>はヨハネとアシュラにそう言ってくれた。

「しかし女性への変成の過程はお前たちが思っているよりも、ずっとデリケートで注意が必要なものなのだ。
 光の戦士になる夢を叶える代わりに、神殿の医院できちんと検査を受けるように命ずる。
 必ずそうするように。良いな!」

「はい、もちろんです。統治神さま、
 ありがとうございます」
 アシュラはそう言いながら、統治神の前で泣いた。
 
 泣くアシュラの姿もまた愛おしく、統治神<シ>はまたアシュラをやさしく抱きしめた。
 ヨハネとアシュラは初めて会った統治神<シ>の偉大さと優しさに完全に圧倒された。

 この時、アシュラとヨハネはまだ、アシュラが予言の光の女神であり、統治神<シ>がアシュラの許婚であることを知らなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

なか
恋愛
「君の妹を正妻にしたい。ナターリアは側室になり、僕を支えてくれ」  信じられない要求を口にした夫のヴィクターは、私の妹を抱きしめる。  私の両親も同様に、妹のために受け入れろと口を揃えた。 「お願いお姉様、私だってヴィクター様を愛したいの」 「ナターリア。姉として受け入れてあげなさい」 「そうよ、貴方はお姉ちゃんなのよ」  妹と両親が、好き勝手に私を責める。  昔からこうだった……妹を庇護する両親により、私の人生は全て妹のために捧げていた。  まるで、妹の召使のような半生だった。  ようやくヴィクターと結婚して、解放されたと思っていたのに。  彼を愛して、支え続けてきたのに…… 「ナターリア。これからは妹と一緒に幸せになろう」  夫である貴方が私を裏切っておきながら、そんな言葉を吐くのなら。  もう、いいです。 「それなら、私が出て行きます」  …… 「「「……え?」」」  予想をしていなかったのか、皆が固まっている。  でも、もう私の考えは変わらない。  撤回はしない、決意は固めた。  私はここから逃げ出して、自由を得てみせる。  だから皆さん、もう関わらないでくださいね。    ◇◇◇◇◇◇  設定はゆるめです。  読んでくださると嬉しいです。

大絶滅 2億年後 -原付でエルフの村にやって来た勇者たち-

半道海豚
SF
200万年後の姉妹編です。2億年後への移住は、誰もが思いもよらない結果になってしまいました。推定2億人の移住者は、1年2カ月の間に2億年後へと旅立ちました。移住者2億人は11万6666年という長い期間にばらまかれてしまいます。結果、移住者個々が独自に生き残りを目指さなくてはならなくなります。本稿は、移住最終期に2億年後へと旅だった5人の少年少女の奮闘を描きます。彼らはなんと、2億年後の移動手段に原付を選びます。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

問題の時間

紫 李鳥
ミステリー
オリジナルのクイズ・パズル・なぞなぞ、とんちなどで頭の体操♪ミステリアスなクイズもあります。 ※正解は、次回の末尾にあります。

シニカル ショート ストーリーズ

直木俊
ミステリー
一話完結、3分で読める、日常のなかの異世界、ハッピーエンドではないけど笑える、意外でざまぁでコメディギャグホラーミステリーで切ない結末の短編集。恋愛物語やファンタジーや美少女や転生やラブコメはないけど、いつでもスキマ時間で楽しむことができるコンパクト設計。今、一部限定地区で評判の腹の出たオッサンが綴る、愛と感動と涙と別れと小じわ、噂の超大作ここに誕生、とSEO対策しまくった紹介文で乙

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

処理中です...