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地上編 第3章 地球に集う光の戦士たち
第2話 救出作戦
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それは何度試みても、上手く行かなかった。
色々な時代、色々な出来ごとに分け入り、何度も試みてきたことだったのだが、結末はやはり同じだった。いつも救出に失敗した。
そして現代である。ヨハネはその家を、かなり前から観察していた。
理由は、サーシャと云う名前のその家に生まれた男の子だった。
アシュラの生まれ変わりのように思われたのだ。
もしそうならば、これが最後の救出チャンスかも知れないとヨハネは思った。
いつまで経っても刑を執行しないヨハネに、統治神<シ>は業を煮やし、ついに新しい執行官を任命したと聞いていた。
そして謎の爆発事故は起こった。異常事態だったが、その爆発によっと放出されたエネルギーは膨大なもので、ヨハネのようなフォースの達人はそのエネルギーを別のものに変換させることが可能だった。だからそれはめったにないチャンスでもあった。
夢魔が見せる甘い幻想につかまり、記憶の森で迷子になっているアシュラ。しかし救出できる絶好のチャンス到来に、ヨハネの心は踊った。この災害事故から少年を救出できれば、少年の中に埋め込まれた悪夢の種を取り出せるのだ。
ヨハネは全速力で少年に向かって進んでいた。
少年は危機的状態ではあったが、完全に死んではいない。
今ならまだ少年を生き返らせることができる光のエナジーを、ヨハネは十分持っていた。
もう少しで救出できる、そう思いながら少年に手を伸ばしたヨハネ。
しかしその時だった。すぐ近くで、小さな女の子の泣き声がしたのだ。
見ると、母親が少女に覆いかぶさり、命を助けた小さな女の子がいた。
母親の死体の下で、女の子は泣いていた。
こうなっては少女を助けないわけには行かない。
それが命の法則だ。従わねばならない。
ヨハネは少女を抱きかかえ紅蓮の空を飛び上がった。
そして少女を安全な場所に移動させてから、再び少年を助けるべく爆発現場に戻った。
しかしそこには、母親の死体があるだけで、少年の姿は影も形も無く、完全に消えていた。
それは最悪の事態を意味していた。
夢魔にまた、連れ去られてしまったのだ。
色々な時代、色々な出来ごとに分け入り、何度も試みてきたことだったのだが、結末はやはり同じだった。いつも救出に失敗した。
そして現代である。ヨハネはその家を、かなり前から観察していた。
理由は、サーシャと云う名前のその家に生まれた男の子だった。
アシュラの生まれ変わりのように思われたのだ。
もしそうならば、これが最後の救出チャンスかも知れないとヨハネは思った。
いつまで経っても刑を執行しないヨハネに、統治神<シ>は業を煮やし、ついに新しい執行官を任命したと聞いていた。
そして謎の爆発事故は起こった。異常事態だったが、その爆発によっと放出されたエネルギーは膨大なもので、ヨハネのようなフォースの達人はそのエネルギーを別のものに変換させることが可能だった。だからそれはめったにないチャンスでもあった。
夢魔が見せる甘い幻想につかまり、記憶の森で迷子になっているアシュラ。しかし救出できる絶好のチャンス到来に、ヨハネの心は踊った。この災害事故から少年を救出できれば、少年の中に埋め込まれた悪夢の種を取り出せるのだ。
ヨハネは全速力で少年に向かって進んでいた。
少年は危機的状態ではあったが、完全に死んではいない。
今ならまだ少年を生き返らせることができる光のエナジーを、ヨハネは十分持っていた。
もう少しで救出できる、そう思いながら少年に手を伸ばしたヨハネ。
しかしその時だった。すぐ近くで、小さな女の子の泣き声がしたのだ。
見ると、母親が少女に覆いかぶさり、命を助けた小さな女の子がいた。
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こうなっては少女を助けないわけには行かない。
それが命の法則だ。従わねばならない。
ヨハネは少女を抱きかかえ紅蓮の空を飛び上がった。
そして少女を安全な場所に移動させてから、再び少年を助けるべく爆発現場に戻った。
しかしそこには、母親の死体があるだけで、少年の姿は影も形も無く、完全に消えていた。
それは最悪の事態を意味していた。
夢魔にまた、連れ去られてしまったのだ。
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