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地上編 第2章 プリンス・チャーミングとジュンス
第21話 オーナーの妹ジュリアの新しいボーイフレンド③
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ジュリアの父は華僑の豪商で、親しくしていたチベット人の友がいた。
ある日、その親しい友が中国共産主義政府に異を唱へ、家族もろとも殺されたと云う悲しい知らせが届いた。
その悲報を、彼は信じる事が出来なかった。だから危険もかえりみず、すぐに秘密のルートでチベットへ渡った。そして友人の家の隠れ部屋で、重傷を負い倒れていた友の息子を発見した。
友の息子は微かではあるが、まだ息をしていた。
彼は迷わず、友の息子を秘かに救出することを決断した。
華僑のネットワークをフル稼働させ、お金も糸目をつけずに投入した。
一番効果があったのは中国地方政府高官への賄賂攻勢であり、裏金工作だった。
とにかくそのようにして、ジュリアの父は友の息子を救出することに成功した。
そして病気で亡くした実の息子ダニエルの代わりに、友の息子を育てた。
幼いジュリアはすぐに新しい兄を受け入れ、慕うようになった。
幼い頃のジュリアは、新しい兄ダニエルが大好きで、いつもダニエルの後をついて歩こうとした。好奇心の塊とも言えたこの可愛らしい幼児は、兄のすることはなんでもまねしようとした。
だからダニエルが武術を習い始めた時、一緒に武術を習うと言って、きかなかった。そして最初は反対していた両親も、結局は根負けして、ジュリアに武術を習うことを許した。
やがてこの兄妹は華僑の誰もが知る有名な兄妹となった。
兄ダニエルは頭脳明晰な美青年へと成長し、ジュリアの父が率いる華僑財団でその才能を開花させ、誰もが認める財閥の後継者となった。一方、妹ジュリアはミスコンで優勝するような、誰もが振り返る美女に成長した。
その日、ジュリアはちょっとしたことで兄ダニエルと喧嘩した。
ダニエルはマッチョな美青年で独身だったので、女性からの誘惑も多く、噂も絶えなかった。
そのたびにジュリアは兄の恋を邪魔してきたとも言えるのだが、しかし今度の相手はなぜか、ダニエルの反応がいつもとは違っていた。それには深い理由があったのだが、ダニエルはその理由をジュリアには明かさなかった。
いつもと違う兄の態度に、ジュリアは深く傷ついた。
ジュリアは悲しくなり、誰も知る者がいないところへ行きたくなった。
それでひとり夜の街へ繰り出し、いつもは行かない酒場へ行った。
美女がひとり酔いつぶれているのを見て、寄ってくる二人組の男たちがいた。
とうぜんジュリアは無視し、しつこい男たちを怒りにまかせて投げ飛ばした。
面子をつぶされた男は、仲間を呼びよせ店の外でジュリアが出てくるのを待っていた。
そんなことを知らないジュリアは、かなり酔いつぶれた状態で店を出た。
そしてまた、先の二人組に絡まれたのだが、今度はさっきのようなわけには行かなかった。
今度はあまりに酒を飲見過ぎていて、酔いのせいで、体が自由に動かなかった。相手に蹴りを入れようとして、ジュリアは自分から転んでしまったのだ。もはやジュリアは絶体絶命の危機にあった。
しかしその様子を、近くで見ていた若い男がいた。
彼は見知らぬ女性の危機に、迷わず助けに入った。
それがマイケルだった。
若い男は、あっという間に10人はいたチンピラ達を投げ飛ばし、倒していた。
それは電光石火のような早業だった。
ある日、その親しい友が中国共産主義政府に異を唱へ、家族もろとも殺されたと云う悲しい知らせが届いた。
その悲報を、彼は信じる事が出来なかった。だから危険もかえりみず、すぐに秘密のルートでチベットへ渡った。そして友人の家の隠れ部屋で、重傷を負い倒れていた友の息子を発見した。
友の息子は微かではあるが、まだ息をしていた。
彼は迷わず、友の息子を秘かに救出することを決断した。
華僑のネットワークをフル稼働させ、お金も糸目をつけずに投入した。
一番効果があったのは中国地方政府高官への賄賂攻勢であり、裏金工作だった。
とにかくそのようにして、ジュリアの父は友の息子を救出することに成功した。
そして病気で亡くした実の息子ダニエルの代わりに、友の息子を育てた。
幼いジュリアはすぐに新しい兄を受け入れ、慕うようになった。
幼い頃のジュリアは、新しい兄ダニエルが大好きで、いつもダニエルの後をついて歩こうとした。好奇心の塊とも言えたこの可愛らしい幼児は、兄のすることはなんでもまねしようとした。
だからダニエルが武術を習い始めた時、一緒に武術を習うと言って、きかなかった。そして最初は反対していた両親も、結局は根負けして、ジュリアに武術を習うことを許した。
やがてこの兄妹は華僑の誰もが知る有名な兄妹となった。
兄ダニエルは頭脳明晰な美青年へと成長し、ジュリアの父が率いる華僑財団でその才能を開花させ、誰もが認める財閥の後継者となった。一方、妹ジュリアはミスコンで優勝するような、誰もが振り返る美女に成長した。
その日、ジュリアはちょっとしたことで兄ダニエルと喧嘩した。
ダニエルはマッチョな美青年で独身だったので、女性からの誘惑も多く、噂も絶えなかった。
そのたびにジュリアは兄の恋を邪魔してきたとも言えるのだが、しかし今度の相手はなぜか、ダニエルの反応がいつもとは違っていた。それには深い理由があったのだが、ダニエルはその理由をジュリアには明かさなかった。
いつもと違う兄の態度に、ジュリアは深く傷ついた。
ジュリアは悲しくなり、誰も知る者がいないところへ行きたくなった。
それでひとり夜の街へ繰り出し、いつもは行かない酒場へ行った。
美女がひとり酔いつぶれているのを見て、寄ってくる二人組の男たちがいた。
とうぜんジュリアは無視し、しつこい男たちを怒りにまかせて投げ飛ばした。
面子をつぶされた男は、仲間を呼びよせ店の外でジュリアが出てくるのを待っていた。
そんなことを知らないジュリアは、かなり酔いつぶれた状態で店を出た。
そしてまた、先の二人組に絡まれたのだが、今度はさっきのようなわけには行かなかった。
今度はあまりに酒を飲見過ぎていて、酔いのせいで、体が自由に動かなかった。相手に蹴りを入れようとして、ジュリアは自分から転んでしまったのだ。もはやジュリアは絶体絶命の危機にあった。
しかしその様子を、近くで見ていた若い男がいた。
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それは電光石火のような早業だった。
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