「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

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地上編 第2章 プリンス・チャーミングとジュンス

第11話 やっと会えたプリンス・チャーミングは・・・

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 秋も深まったある日、ジュンスは街中でプリンス・チャーミングの姿を遠くに見かけ、彼を追いかけた。
 しかしすぐにプリンス・チャーミングの姿を見失ってしまった。
 ジュンスはプリンス・チャーミングがこの街へ帰って来たことを確信した。

 それからジュンスはクラブ・パラダイスへ毎日のように通い、プリンス・チャーミングを指名し続けた。
 そんなジュンスに根負けし、オーナーは一度だけ、プリンス・チャーミングと会う機会を与えてくれた。

「チャールズとのことは、噂で聞いていた。でも仕事がらみの、何か特別な理由があったのだろうと思っていた。
 それでも君のことがやはり心配だった。だからずっと探していたんだ。
 元気そうでよかった」
 ジュンスはチャールズへの嫉妬を隠し、プリンス・チャーミングの前では、チャールズのことはまるで気にしていないかのようにふるまった。

 プリンス・チャーミングはチャールズを愛していたとは言い難かったが、自分が原因で失脚したことを知っていたので、やはりつらかった。

 憂いに沈むプリンス・チャーミングを見て、ジュンスはサーシャの時と同じように、自分が『恋人ラブリー』を世間の悪意から守らなければ・・・、と思った。

 ジュンスは躊躇すること無く、
「僕は君を、必ず護ってみせる!」
と宣言し、目の前の愛する少年を強く抱きしめた。

 しかし少年はそのジュンスの言葉と抱擁に、少し怒ったような表情をした。

「僕を憐れんで、そんなことを言うんですか?
 僕はそんなことを、望んでいるわけじゃない!」
と冷たく言い放った。

「どんなことがあろうとも、どんなことをされたとしても、僕の心は自由だったから、決してつらくはなかった。
 自分が決めたことだったから、自分で納得できた。

 だけど僕が原因でチャールズが失脚したことは、納得なんて出来るわけがない。
 だって彼は、馬鹿みたいに彼の父親の前で、僕を愛してるなんて言うんだもの。
 ただの遊びだって言えば、それで問題にならなかったし、失脚することも無かったんだ。

 同じような思いは、もうしたくありません。
 だから僕にはもう近づかないでください」
とプリンス・チャーミングはジュンスに冷たく言った。

「僕と一緒にいれば、あなたもチャールズと同じようにゲイだと噂されますよ。
 あなたの国では同性愛は禁止されていて、ご法度だと聞いています。
 あなたはその地位を失うことになる。
 それも僕のせいで・・・

 そうなったら、世界中が僕らの敵になります。 
   あなたの国民は言うでしょう。
『あの者が、我々の誇りであり希望であった皇子を堕落させ、我々を不幸にした。
 あの者を許すな!』とね。

 僕はあなたが失脚するのを見たくありません」
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