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地上編 第2章 プリンス・チャーミングとジュンス
プリンス・チャーミング序奏~クラブ・パラダイス~
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その男の過去は謎につつまれていた。
武器商人として頭角を現した後、アラブの王族とも親しくなり、その紹介で欧米の上流社会と政界に深いコネクションを持つようになった。
その謎の実業家ダニエル・リーは、現在、ニューヨークを拠点に事業展開をする一大グループ企業の総裁にまでなっていた。
そして彼は、世界を牛耳る権力者たちだけが会員となれる秘密のクラブ「パラダイス」を所有していた。
このクラブの売りは、そのドール・コレクションであり、ドール・オークションだった。クラブ「パラダイス」では“ドール”と呼ばれるよりどりみどりの美しい少年少女たちが会員を待っていて、接待をする。彼らは女優志望だったり、歌手志望だったり、ダンサー志望だったりするのだか、成功への足がかりを求めてこのクラブのドールとなった野心家が多かった。
会員は、好きな時に、好きな場所で好きなドールを愛でることができた。
今日は新加入の会員にクラブ自慢のドールたちをお披露目する、大事な日だった。
そしてめったに姿を見ることができないレジェンド・ドール「プリンス・チャーミング」もオークションに出品されるということで、世界中から会員が集まっていた。
人気のドールとは入会時を除いたら、なかなか会うことができない。とりわけ「プリンス・チャーミング」はそうだった。しかし今日は、“クラブ自慢のドール”として彼もオークションにかけられる。
一年に一度の特別な日なのだ。彼をオークションで落とせなくても、とりあえず会えて、キスぐらいは許される。
オークションに参加するだけでも、かなりの額の会費をとられるのだが、オークションにかけられるドール以外であれば、どのドールであろうとアバンチュールは自由だったので、ほとんどの会員がこのパーティーに参加していた。
武器商人として頭角を現した後、アラブの王族とも親しくなり、その紹介で欧米の上流社会と政界に深いコネクションを持つようになった。
その謎の実業家ダニエル・リーは、現在、ニューヨークを拠点に事業展開をする一大グループ企業の総裁にまでなっていた。
そして彼は、世界を牛耳る権力者たちだけが会員となれる秘密のクラブ「パラダイス」を所有していた。
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一年に一度の特別な日なのだ。彼をオークションで落とせなくても、とりあえず会えて、キスぐらいは許される。
オークションに参加するだけでも、かなりの額の会費をとられるのだが、オークションにかけられるドール以外であれば、どのドールであろうとアバンチュールは自由だったので、ほとんどの会員がこのパーティーに参加していた。
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