「光の天使」 光と影のシンフォニー

夢織人

文字の大きさ
上 下
1 / 234
地上編 第1章 ジュンスの恋~めぐり逢う魂

ジュンスの恋 第1話 宮殿の空

しおりを挟む
「ジュンス」と誰かに呼ばれたような気がした。

「ジュンス」と再び呼ぶ声にジュンスは後ろを振り返った。

 しかしそこには誰もいなかった。
 頬をなぶるような微かな風がジュンスを包み、次の瞬間、窓のガラスが砕け散った。

 強い風と共に、砕け散ったガラスの破片と一緒に小鳥が飛び込んできた。
 折れた翼で、必死に飛ぼうとする。しかし強い風の中バランスを失った小鳥はそのまま壁に激突し、息絶えた。


 K王国の王子ジュンスは、宮殿での暮らしが大嫌いだった。
 しかし学校は長い夏休みに入っており、新学期が始まるまでは、ここで我慢しなければならなかった。

 王位継承権は第2位。現国王にとってジュンスはふたり目の息子だったが、第一王妃は精神を患った後、治療に出かけた異国で死んだことから、第2王妃であるジュンスの母が、現在は国母となっていた。
 しかし母である第2王妃が踊り子出身で、卑しい身分の生まれであったことから、ジュンスは王室では疎まれた。
 祖父である前国王は、第一王妃の息子である兄を溺愛しジュンスにはいつも冷たく当たった。

「ジュンス様、王妃さまがお呼びです」

 母の顔も本当は、見たくなかった。しかしその日のジュンスは、心に少しゆとりがあった。明日、ここを離れ学校へもどれるのだ。

『サーシャにまた会える!』

 それはジュンスにとって大きな喜びだった。
 天使のように美しいサーシャに、また会える。
 早く学校に、戻りたい。ジュンスの心は弾んでいた。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】

ちっき
ファンタジー
【書籍化決定しました!】 異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く異世界での日常を全力で楽しむ女子高生の物語。 暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

荒れ地に花を

グタネコ
ミステリー
東京で人が、突然、ミイラになる事件が起きる。刑事が事件を追うが、真相にたどりつけない。 一方、女性科学者が地球の砂漠化を防ぐために、遺伝子操作で乾燥に強い植物を作り出すのだが……。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

ミノタウロスの森とアリアドネの嘘

鬼霧宗作
ミステリー
過去の記録、過去の記憶、過去の事実。  新聞社で働く彼女の元に、ある時8ミリのビデオテープが届いた。再生してみると、それは地元で有名なミノタウロスの森と呼ばれる場所で撮影されたものらしく――それは次第に、スプラッター映画顔負けの惨殺映像へと変貌を遂げる。  現在と過去をつなぐのは8ミリのビデオテープのみ。  過去の謎を、現代でなぞりながらたどり着く答えとは――。  ――アリアドネは嘘をつく。 (過去に別サイトにて掲載していた【拝啓、15年前より】という作品を、時代背景や登場人物などを一新してフルリメイクしました)

【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~

tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。 番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。 ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。 そして安定のヤンデレさん☆ ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。 別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。

子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。

さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。 忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。 「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」 気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、 「信じられない!離縁よ!離縁!」 深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。 結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?

初恋の相手と結ばれて幸せですか?

豆狸
恋愛
その日、学園に現れた転校生は私の婚約者の幼馴染で──初恋の相手でした。

処理中です...