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第1章
王女ルナの恋 ㉗ 運命のメロディー <エピローグ>
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暗闇の向こうから、ふいに口笛が聞こえてきた。
ニマには聞き覚えのあるメロディーだった。
「ニマ、私だ」
と、その声は云った。
ドアを叩き、ドアの向こうから聞こえるその声は・・・
ニマには、聞き覚えのある声だった。
『あの人だ!』
と、ニマは思った。
『会いたかったけれど、ずっと会えなかった人。
あの人だ!』
両親と引き離され、たった一人でここへ送られてきたとき、ニマはとて悲しかったし、心ぼそかった。
見るものすべてがとても恐くて、ニマは今にも泣き出しそうになっていた。
しかしそんなニマに、たったひとりだけ、優しく接してくれた青年がいたのだ。
それは若き日の大尉だった。
一時期、大尉は6才のニマにとって、肉親のように思えるとても優しいお兄さんだった。しかしニマが成長するにつれて、その青年とニマはなぜだか、だんだん会えなくなっていった。
実際は、ニマと大尉は毎日ではないが会っていた。
しかしそれは、ニマが別の人間の記憶を埋め込まれ、別の人間になっているときだった。だからニマには、青年との記憶が、ある時期から、全く無いのだった。
ニマにとって、若き日の大尉は、誰よりも大切な人だったのだ。
だからその声をドアの向こうに聞いたとき、躊躇なく、ニマは走って行ってドアを開けた。
ニマは子供の頃のように、大尉に抱きつき、そして子供のように泣いて大尉に言った。
「どうして会いにきてくれなかったのですか?
とても寂しかった。
いつも泣きながら、あなたが来てくれるのを、待っていたのに・・・」
ニマは大粒の涙を流しながら大尉にそう言った。
少年は成長しても、とても愛らしかった。
そして哀しくなるほど、美しかった。
大尉は長い間、ずっと心を殺し、少年を避けてきた。
しかし少年の放つ輝きは、成長とともに輝きを増し、もはや魔力のように、見る者の心をとらえて離さない。
少年はそのことにまったく気づいていないが、彼は知らないうちに、その瞳で、その唇で、見る者の心を誘惑するのだった。
「この子は、本当に毒だ」
そう思いながらも、心は我慢の限界を超え、もはやその誘惑に抗うことは不可能だった。
大尉はその甘美な毒をついに飲み干す決断をした。
大尉は躊躇なく、ニマを引き寄せ、片手でニマを抱きしめながら、隠しもっていた注射の針を後ろから、ニマに刺した。
ニマには聞き覚えのあるメロディーだった。
「ニマ、私だ」
と、その声は云った。
ドアを叩き、ドアの向こうから聞こえるその声は・・・
ニマには、聞き覚えのある声だった。
『あの人だ!』
と、ニマは思った。
『会いたかったけれど、ずっと会えなかった人。
あの人だ!』
両親と引き離され、たった一人でここへ送られてきたとき、ニマはとて悲しかったし、心ぼそかった。
見るものすべてがとても恐くて、ニマは今にも泣き出しそうになっていた。
しかしそんなニマに、たったひとりだけ、優しく接してくれた青年がいたのだ。
それは若き日の大尉だった。
一時期、大尉は6才のニマにとって、肉親のように思えるとても優しいお兄さんだった。しかしニマが成長するにつれて、その青年とニマはなぜだか、だんだん会えなくなっていった。
実際は、ニマと大尉は毎日ではないが会っていた。
しかしそれは、ニマが別の人間の記憶を埋め込まれ、別の人間になっているときだった。だからニマには、青年との記憶が、ある時期から、全く無いのだった。
ニマにとって、若き日の大尉は、誰よりも大切な人だったのだ。
だからその声をドアの向こうに聞いたとき、躊躇なく、ニマは走って行ってドアを開けた。
ニマは子供の頃のように、大尉に抱きつき、そして子供のように泣いて大尉に言った。
「どうして会いにきてくれなかったのですか?
とても寂しかった。
いつも泣きながら、あなたが来てくれるのを、待っていたのに・・・」
ニマは大粒の涙を流しながら大尉にそう言った。
少年は成長しても、とても愛らしかった。
そして哀しくなるほど、美しかった。
大尉は長い間、ずっと心を殺し、少年を避けてきた。
しかし少年の放つ輝きは、成長とともに輝きを増し、もはや魔力のように、見る者の心をとらえて離さない。
少年はそのことにまったく気づいていないが、彼は知らないうちに、その瞳で、その唇で、見る者の心を誘惑するのだった。
「この子は、本当に毒だ」
そう思いながらも、心は我慢の限界を超え、もはやその誘惑に抗うことは不可能だった。
大尉はその甘美な毒をついに飲み干す決断をした。
大尉は躊躇なく、ニマを引き寄せ、片手でニマを抱きしめながら、隠しもっていた注射の針を後ろから、ニマに刺した。
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