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第1章
王女ルナの恋 ⑪ 家出少年部隊との交渉
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少年は仲間内では、ルーク・スカイウォーカーを名乗っていた。
もちろん本当の名前ではない。「スターウォーズ」の大ファンで、スカイウォーカーにあこがれ、そう名のっていた。
彼は一緒に家出してきた少年と、いつも一緒にいた。
その少年は、仲間からはレイア姫と呼ばれていた。
男なのだが、女性のように美しい少年で、女と間違われることも多かった。
少年はルークよりも年下で、本来なら学年が違うはずだったのだが、知能指数が高かったことから、飛び級でルークのクラスに編入され、ふたりは出会った。
ルークは少年の美しさと聡明さに心を奪われ、少年は彼を上級生の暴力から護ってくれる、ルークの強さと優しさに惹かれた。しかしふたりの恋を、こころよく思わない者たちも多かった。
結局ふたりは、着の身着のままで家出し、最終的にこのクラブに辿り着いたのだった。
少年たちとの交渉は、意外にも難航した。
少年たちのなかに、明らかに今回の任務には不向きと思われる少年がひとりいたのだが、エース格の少年がその少年ぬきには。仕事は引き受けないと言ったのだ。
しかたが無くソヨンは、見るからに華奢で女のように見える、傭兵稼業にはは完全に不向きなその少年の情報分析能力を試してみることにした。
ソヨンはリールイが送ってきた、写真と資料の一部を、少年に見せた。
この資料から、このプロジェクトの全容をどのように解釈するかを試したのだった。
少年は渡されたスマホを、しばらくいじっていたが、それほどソヨンを待たせることなく、結論を導きだした。
意外にも、少年が下した判断は、驚くべきものだった。
「この資料は、僕たちがターゲットとする人物とその人物がいる建物の衛生写真ですね?」
その問いかけに対して、ソヨンは何も答えなかったのだが、少年はなおも続けた。
「だとしたら、この仕事は引き受けられません。
ニーナが提示した報酬は、あまりに安すぎます」
少年はなおも、沈着冷静な口調で付け加えた。
「国家を敵にまわすのに、この額では、あまりに安すぎる。
あなたたちは僕らを盾にしようとしているのだから、提示額の倍はもらわなくては・・・」
「それでは、そのターゲットの人物は、誰だと思うの?」
と、ソヨンは、少年たちからレイア姫と呼ばれている少年に聞いた。
少年は事も無げに、
「行方不明の、パンチェン・ラマ11世でしょ・・・?」と答えた。
そして驚くソヨンに、
「彼を救出するつもりなら、止めた方が良い。彼は無理です。
でも彼と一緒にいるひとを救いたいのなら、手伝ってもいい」
とレイアは言った。
「レイア、ステージの時間だ」
と、別の少年が迎えに来て、少年はあっという間にどこかへ消えてしまった。
そしてしばらくして、クラブのステージに、さっきの少年たちが現れた。
「あの子は何者なの?
ただの家出少年とはとても思えないわ」
と驚くソヨンにニーナの答えは、あまりにそっけなかった。
「少年たちの過去は、詮索しないことにしている。
帰る家がある子は、いずれ帰るだろうし、そうでない子は、一人でやってゆけるように、手助けしてるだけ」
もちろん本当の名前ではない。「スターウォーズ」の大ファンで、スカイウォーカーにあこがれ、そう名のっていた。
彼は一緒に家出してきた少年と、いつも一緒にいた。
その少年は、仲間からはレイア姫と呼ばれていた。
男なのだが、女性のように美しい少年で、女と間違われることも多かった。
少年はルークよりも年下で、本来なら学年が違うはずだったのだが、知能指数が高かったことから、飛び級でルークのクラスに編入され、ふたりは出会った。
ルークは少年の美しさと聡明さに心を奪われ、少年は彼を上級生の暴力から護ってくれる、ルークの強さと優しさに惹かれた。しかしふたりの恋を、こころよく思わない者たちも多かった。
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ソヨンはリールイが送ってきた、写真と資料の一部を、少年に見せた。
この資料から、このプロジェクトの全容をどのように解釈するかを試したのだった。
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意外にも、少年が下した判断は、驚くべきものだった。
「この資料は、僕たちがターゲットとする人物とその人物がいる建物の衛生写真ですね?」
その問いかけに対して、ソヨンは何も答えなかったのだが、少年はなおも続けた。
「だとしたら、この仕事は引き受けられません。
ニーナが提示した報酬は、あまりに安すぎます」
少年はなおも、沈着冷静な口調で付け加えた。
「国家を敵にまわすのに、この額では、あまりに安すぎる。
あなたたちは僕らを盾にしようとしているのだから、提示額の倍はもらわなくては・・・」
「それでは、そのターゲットの人物は、誰だと思うの?」
と、ソヨンは、少年たちからレイア姫と呼ばれている少年に聞いた。
少年は事も無げに、
「行方不明の、パンチェン・ラマ11世でしょ・・・?」と答えた。
そして驚くソヨンに、
「彼を救出するつもりなら、止めた方が良い。彼は無理です。
でも彼と一緒にいるひとを救いたいのなら、手伝ってもいい」
とレイアは言った。
「レイア、ステージの時間だ」
と、別の少年が迎えに来て、少年はあっという間にどこかへ消えてしまった。
そしてしばらくして、クラブのステージに、さっきの少年たちが現れた。
「あの子は何者なの?
ただの家出少年とはとても思えないわ」
と驚くソヨンにニーナの答えは、あまりにそっけなかった。
「少年たちの過去は、詮索しないことにしている。
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