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第2章 神々の戦い~ヨシュアとユダ 永遠の想い

統治神<シ>の回顧

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 暗い夜空を背景に、ひときわ眩しい光を放つアトランティスの光の宮殿。

 その宮殿の主(あるじ)である偉大なる統治神<シ>は、永遠に失ってしまった弟(妹でもあるもの)を思い、ひとり心の闇と対峙し、悲しみと戦っていた。

 この宇宙をすべからく統治する、絶対無二の存在であらねばならぬ統治神<シ>は、どんな時も決して弱さを見せてはならないのだ。 
 しかし・・・

『ヨシュアの不幸の原因は、何だったのだろうか・・・。
 アトランティスの王子として生まれながら、あまりに女性的要素が強すぎたのだろうか?』

 ヨシュアは子供のころから、少女のようなところがあった。
 少女のように可愛らしかったこともあり、王女を望んでいた王妃は、ヨシュアを王子ではなく、王女であるかのように育てた。

 次の統治神となる王子は、第一王子であるパリスがすでにいた。
 パリスは優秀で美丈夫だったが、将軍家の助け無くして、この広い宇宙を束ねるのは、やはり不可能なことのように思われた。
 パリスの統治を盤石なものにするためには、ヨシュアが女神へと成長し、生まれながらの婚約者である将軍家の跡取り息子ネロと結婚し、王家と将軍家の絆をより強固なものにする必要があった。
 しかしヨシュアは、いつまで経っても未分化のままだった。
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