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第2章 神々の戦い~ヨシュアとユダ 永遠の想い

光の王国 アトランティス

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 その光の王国には、ふたりの王子がいた。
 兄の名はパリス、弟の名はヨシュアと云った。
 兄のパリスは小さなころからその才能を発揮し人々の注目を集たが、弟ヨシュアは内気で見立たない存在だった。
 
 統治神<シ>という名は、アトランティスでは代々その時代ごとの最高神(王)に与えられる名称で、現在の統治神<シ>は13代目の王だった。

 アトランティスにはその時代、ふたつの拮抗した勢力があった。
 ひとつは現在の統治神<シ>に代表される王家、そしてもうひとつの勢力はアフロディーテとネロの父親である大将軍が率いる軍部だった。

 二つの勢力の覇権争いを避けるために取られた策が、両家の子供たちの婚姻による同盟だった。
 のちにアトランティスの王となり13代統治神<シ>となるパリスの生まれながらの許婚はアフロディーテであり、アフロディーテの兄ネロの許婚は(女性に変成した場合のみであるが)パリスの弟であり妹であるヨシュアだった。

 ヨシュアは幼いころから、他の子供とは少し違っていた。
 ヨシュアは人の運命が、読める子供だった。
 そして美の化身とも謳われたアフロディーテにも負けない美しい容姿を持って生まれたことも、ヨシュアを不幸にした。
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