御伽噺に導かれ異世界へ

ペンギン一号

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閑話 2

閑話 スケスケ下着事件簿

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これは遠い昔の話…



ようやく訪れた、暖かい日差しに心地よさすら感じ、外を走り出しそうなそんな季節。
木には鮮やかな桜が舞い散り、趣のある風景を演出している。
現在春真っ盛り。人々は皆、新生活に活気よく動き回っている中、ある屋敷に住む、一人の老婆と、少年はいつもと変わらない喧騒の日々を過ごしていた。

「紡、あんたまた凍夜と公園で落とし穴作ったね!あれだけ止めろと言ったのに。あたしゃ恥ずかしいよ」

「誰か引っかかったの?」

「はぁ…近所の高校生が犠牲になったさね」

溜息を吐きながらも老婆は答える。

「よし、成功だ!」

目的成功!完璧だね。

「喜ぶんじゃないよ!」

「えー…でもあれは二人で頑張って偽装した渾身の作品だったんだもん」

穴掘りに2時間、偽装に3時間。計5時間の力作だよ。

「その努力を他の方向に向けられないものかねぇ…」

「諦めたまえ。僕は変わらないのだよ」


両手を腰に当て、威張りながらそう語る紡は、生意気なドヤ顔をしていた。

「なんさね、その言い方は!ばあちゃんはそんな子に育てた覚えはないよ!!」

「い、痛い!痛いよばあちゃん!!」

紡の頭を掴むように捕らえられた手により、キリキリと締め上げられ、頭部へと縛るような痛みが頭を揺さぶる。
いわゆるアイアンクローである。
ピクピクと震える紡をぽいっと横に投げ捨て、老婆は再度溜息を吐く。

「はぁ…なんでこんな風に育ってしまったのか」

地面に前のめりに倒れ臥す紡に、老婆は呆れた視線を向ける。

「もういいさね。ああ、そう言えば、明日は小夜が来る予定だから私はあまり相手はできないよ」

「小夜姉来るの!!」

倒れ動かなかったはずの紡は、その言葉にガバッと起き上がり、満面の笑みを浮かべる。

「ああ、来るさね」

「やったー!凍夜に伝えて来る!!」

かなり嬉しかったのか、その場で高く飛び上がり、返事も聞かずに外へと走り抜けていく。
おもちゃを手に入れた少年のようなその姿は、幼い風貌に似合った、可愛らしいものであった。

「もう…あの子は本当に元気さね」

そう呟きながら去りゆく背中を眺める老婆はとても嬉しそうであった。

(ここに来たばかりの時は、数日間何も喋らない日もあったさね…)

『神祇官家』から叩き出されたこの二人は、この屋敷で暮らし始めた。だが、ただの子供が親に捨てられたのだ。そう簡単に済むような話ではなかった。
来たばかりの紡は食事も喉を通らず、何も喋らない。毎回寝るたびに魘されて、それによりいつも深い隈が出来ていた。
精神的にかなり来ていたのであろう。そんな毎日を、気力のない顔で毎日過ごしている紡は、まさに死んでいるようであった。

「それがあんなにも…ダメさね、歳をとると涙脆くて…」

心からの笑顔を見せるまでに回復した紡の姿に、老婆の目尻にキラリと光るものが浮かんでいた。







次の日…


紡の屋敷に、一人の少年が訪れる。

「小夜姉来てる?」

「あ、凍夜!今は奥でばあちゃんとなんか話ししてるみたいだよ」

久しぶりに会う小夜と遊ぶべく、当然のように凍夜は屋敷に来ていた。

「そっか。ならちょっと二人で覗きに行こうか」

「賛成、スニーキングミッションだね」

少年ながらに二人は黒い笑みを浮かべる。

「ここから先は、バレるかもだから静かにね」

「分かった。紡が先僕が後で行くよ」

奥の客間にて、話し合いを続けているであろう二人の元へ、小さなスパイ二人が忍び寄って行く。

「ここだね」

「中覗いてみよう!」

窓の障子をバレないようにゆっくりと開ける。
慣れた手つきでスムーズに行う二人。それは何時もこのような事を行なっていると物語っていた。

二人が覗くそこでは、苛立つ小夜と、それを軽く受け流す老婆が喧々としている。


『はっ…嫌さね』

『なんで戻らないんだよ!』

『私はもう戻る気はさらさら無いさね。
戻って欲しかったらあいつらがあの子に誠意を見せないと話にもならないよ』

『彼奴らが素直に謝るような玉かと思ってんのか!
ただでさえ、あんたが出て行ってから、止める人もおらず、暴走してるんだ…』

『それはそっちの問題さね。私はもうただの御伽 守子。あの子のおばあちゃんさね。
問題はそっちで解決しな小娘』

『このクソババアっ…私がどれだけ苦労してるか理解しているくせに…』



そんな話し合いを覗く二つの視線。

「やっぱ小夜姉凄いよなー。ばあちゃんにあそこまで言う人見た事ないよ」

「だよなー。やっぱ小夜姉かっこいいな」

話がよくわからない二人は、小夜がすごいという話で盛り上がっていた。

『誰さね!!』

そんな二人の元へと喝が入る。

「やばい。紡、逃げるよ!」

「緊急離脱ー!」

客間の壁から走り去っていく二人。逃げる事に精一杯だった為、客間にはぺちぺちという、ふたり分の可愛い足音が聞こえていた。

『はぁ…全くあの子達は…』

『ふっ…元気なのも困りものだな…』




ダッシュで居間まで戻り、息切れした二人は、

「危なかった…」

「ギリギリだったね」

未だにバレてないと信じている二人は生還した喜びを分かち合っていた。

「でも、あれはまだ続きそうだったし、暇になっちゃったね」

「そうだねー、なんか面白い事でもあればいいんだけど」

小夜と遊ぶという目標を失った二人は、次の目標を探しながら居間でゴロゴロとして過ごしていた。



「やる事ないなぁ」

「暇だよねー」

待てども待てども、一向に終わらない話し合い。当然、小夜も貼り付けでこちらに来る気配など一切ない。
逆に、話し合いは更なる白熱を繰り広げており、まだまだ先が長いと如実に告げていた。

「んー…ん?あっ、なあ紡。あれって」

「あれは小夜姉の荷物だね」

二人がまっすぐに見つめる先、其処には宿泊の為の小夜の荷物が置かれている場所。

「…」

「…」

二人とも、遊びが浮かんだのであろう。無言でそれを見続ける。
そして…凍夜が提案してしまう。

「トレジャーする?」

「うん!」

当然紡は即答する。いい笑顔で笑う二人は、悪どい笑みが浮かんでいた。



―――ガサガサ…ガサ…

「なんか見つかったー?」

「まだー」

手分けして、スーツケースの中身をぽいぽいと外に投げ出しながら、結果報告を行う。
スーツケースは現在半分ほどが外に投げ出されており、無残に床へと広がっている。

「あ、何これ」

「どうしたの紡?」

紡の持ち上げる手の先。其処に持ち上げられているそれは、一枚のシール。
紡はそれを凍夜と眺めながら面を向ける。

「あははっ!何これ!」

「小夜姉可愛い…あははっ!」

二人はそれを見た途端爆笑する。
そのシールに写っていたそれは…


メイド服のコスプレを着た、小夜のプリクラ写真。二人が見たことも無い女性と小夜の二人で撮られているそれは、中央で二人、手を合わせてハートマークを作っている。
プリクラの小夜は羞恥からか顔が赤面しており、隣の女性は、満面の笑みを浮かべていた。

「さ、小夜姉似合わないよっ…あははっ」

「凄いお宝発見したね!これは僕達の宝物に封印決定だよ」

未だ一向に止まることがない笑いが二人に襲いかかり、居間で転がりまわっていた。





『なんかイライラするな…』

『もう更年期さね』

『黙れクソババア』

『なんさね小娘』

客間はまだまだ先は長そうである。




「これはまだまだお宝の予感がするね」

「発掘するぞー!」

「おー!!」

二人は更なる秘宝を求め、スーツケースの奥地へと手を進めていく。
一度あんな秘宝が見つかったのだ、止まることを知らない二人は、先程よりも探す勢いが上がっていた。
そして…またお宝が見つかる。

「布切れ??」

「わー!それ凄い綺麗だね!」

二人が発掘したそれは二枚の布切れ。綺麗にレースの付いた物と、若干透けている物の二つであり、輝かしい赤色と、全てを吸い込むほどの黒の二色。
今まで見たことの無い程、綺麗な模様をしたそれは、二人の目に輝いて映っていた。

「お宝だねー」

「うん!でも、これなんだろ??」

二人は一枚ずつそれを持ち上げながら、眺めて悩んでいた。

「あ、そうだ!」

「凍夜どうしたの?」

いきなり紡の隣でガサゴソと何かをしている凍夜。仕切りに頭を触りながら、作業を続ける。
そして、漸く終わった凍夜が振り返りながら…



「ブラック仮面参上!!」


頭に布切れを被って、ポージングを決める。

「うぉぉぉおお!!かっこいい!!」

それは紡の心に残念ながらクリーンヒットした。
目の前でそんな光景が繰り広げたのだ。紡も迷うことなく赤い布切れを…


「レッド仮面推参!!」


頭に装着する。

「紡もかっこいいよ!」

この二人はバカなんだろうか。
頭にパンツを被りながらも喜び合う二人は非常に残念である。
さらに、ここから小夜にとって不幸な事が起こる。
バカの片割れが、これまたバカな事を提案する。

「紡ー!見回りに出かけよう」

「うん、この街の平和は僕達が守る!!」

最悪な格好をしながら、バカ二人は街へと駆け出していく。
その格好の残念さも知らずに。




街に駆け出した二人は、一向に問題も見つからずに、只々見回りだけを続けていた。

「何にも無いなぁ…」

「そうだねー。でもなんでだろ?みんな僕達の事を見てるよね」

「そんなのかっこいいからに決まってるよ」

「そっか!当然だね」

呑気にそんな事を語り合いながら、さらに徘徊を続けていく。

そんな二人の元に、一人の子供が現れる。

((か、可愛い…))

それは儚げな雰囲気をした、透き通るほど色白の少女。
幼いながらもかなり整ったその顔立ちに、二人は見惚れる。
それほどの美少女だった。
だからだろうか…残念にも、二人の標的にされる。

「紡!あそこの可愛い子のとこ行くよ!」

「僕達のかっこいいとこ見せてあげよう!」

美少女に自慢したい一心で、二人は向かって行く。

「こんなとこで何してるのー?」

「えっ、あ…お母さん待ってるの」

その少女は姿に見合った可愛らしい声で返す。

「そっか!見た事なかったから迷子かと思ったよ」

「大丈夫だよ。僕最近引っ越してきたから、見た事ないんだと思う」

はにかみながら語るその姿に二人は引き込まれる。

「どこの小学校?」

「神林小だよー」

「わー!僕達と一緒だね。だったら春休み終わったら会えるかもしれないね」

「そうなんだ。会えたらよろしくね」

目の前の少女にまた会えると、凍夜のテンションは上がっていた。


そんな中、

「…」

「どうしたの紡。さっきから黙ったままで」

先程から口を開かない紡。何かに引っかかるように、複雑な顔をしていた。

「ねぇ、ちょっといい」

「どうしたの?」

引っかかったそれを紡は少女に向かいそれを話していく。
それは…

「女の子が僕はダメだと思うよ」

しょうもない事だった。

「いや、僕はおと「そうだよなー!そんな可愛いんだもん。僕はやめたほうがいいね」」

「えっ、だから僕はおと「さすが凍夜!分かってくれるね」」

話を遮りながら続ける二人の怒涛の攻めに少女は…

「うん…私気をつける…」

敗退した。


「じゃあ、そろそろ僕達行くね!」

「まだパトロール中だから」

「うん!また私とお話ししようね」

((やっぱり可愛いなぁ…))

二人の心はシンクロしていた。


「紡!あれやるぞ!」

「任せて凍夜!」

そんな女の子へと、見栄を張るため動き出す二人。

女の子に背を向け、二人は語り出す。



「誰が呼んだか駆けつけて!」


「場をかき乱す迷惑人!」




「ブラック仮面!」

「レッド仮面!」





「「呼ばれていないが即参上!!」」



キリッとした表情でカッコつけながら、各々違うポージングをする二人。
背後に爆煙が上がっていそうなほどのその姿。
頭には二枚のパンティが輝く。
二人の息のあったその姿は、まさしくテレビの戦隊モノのようであった。
一部を除くが…

「わぁ!かっこいい!!」

こんな滑稽な姿でも少女は喜んでいた。

「「ではさらばっ!!」」

少女に褒められた事を喜びながら、二人は走り去って行く。
その背後を見つめる少女。

「またあの二人に会えたらいいなぁ」

二人の変態を気に入ってしまった少女はそう呟く。
これから先、その願いが叶うとも知らずに。

「あ、そういえば…なんであの二人パンツ被ってるんだろう」

ようやくその疑問へと行き着いた少女の呟きは、春の温かい風の中、静かに響いていた。





時は過ぎ、夕暮れ時。
色々とパトロールを済ませた二人は、疲れた体を動かしながら、屋敷へとたどり着く。

「あーつかれた」

「楽しかったねー」

そんな雑談をしながら歩く二人は、未だに被っている。

―――ガラガラ…


その状態で、居間の扉を開く二人。
その先には…


「待ってたよ。クソガキ共」


仁王像の片割れがいた。
小夜のどす黒いオーラが吹き出ているようなその姿。
それに紡と凍夜は背中に得体の知れない冷たいものを感じ取る。
二人が人生で初めて感じ取ったそれは…生命の危機であった。
だが、子供の二人は気づかない。自分達に迫り来る運命。目の前に広がる処刑場には…

「小夜姉?どうしたの」

「あ!話終わったんだね!僕達と遊ぼう!!」

「そうか、遊びたいんなら、相手をしてやろう」

「「やったー!!」」

ブラック仮面とレッド仮面は自分から死地へと向かっていった。


『え、小夜姉。僕の手はそっちには曲がらないよ!?』

『大丈夫だ。私が曲げてやる』

『ダメだよ小夜姉!足がもげる!痛い!』

『そうかそうか。それは良かったな』

暗くなってもなお、処刑場から屋敷へと響き渡る二人のヒーローの叫びと、女性の高笑い。
それは、止む事もなく延々と続いていく。
今日。まさにこの日、この時に、二人の下僕が生み出されたのであった。





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