金色猫と三珠沙華(きんいろねことさんじゅしゃげ)

さくらさく

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☆全年齢版☆

第六話「菖と守護者(しゅごしゃ)と沙華(はな)の話」

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「ごめんなさい。ちょっと情報が過多すぎてついていけないから、最初から説明してもらえます?」
 
 出来れば分かりやすく、と菖は手を合わせて言った。

「最初からかぁ。そうだな、それじゃあ、灯明様たちのことも交えて話そうか」

 咲耶は菖に向かって頷くと、語りだす。


 昔々、ここの土地が三珠町という町になるより昔。
 この辺りの土地は、大蛇の化け物が大暴れして、人々を殺しまわっていました。
 その大蛇の話を聞いた神様は、虐げられる人々を憐れみ、お供の、狼、猿、鳥と共に、この土地にやってきて、大蛇と戦いました。
 しかし、大蛇強く、神様たちでも大蛇を殺しきることは出来ず、大蛇を封印するしかありませんでした。
 大蛇を封印した後、大蛇の封印が解けないよう、土地を悪しきものから守るために神様はお供の狼、猿、烏に大蛇の封印とこの土地を守護するように命じました。


「と、これがこの三珠町にある三珠神社の成り立ち」
「ああ、なんか幼稚園のときに聞いたような気がします」

 地面に正座して座り、菖は記憶を振り出すようにして頭を揺らしながら答えた。

「けっこう昔は何かあるたびに、この伝承の劇とかやっていたんだけど、戦争の後くらいからやらなくなってしまったからね」

 菖の正面に座った咲耶はふぅっと、息を吐いた。
 咲耶の隣に座った灯明は眉間にしわを寄せて目をふせている。

「で、このお話の中に出てくる神様のお供の狼が灯明様、というわけです」
 
 咲耶は鼻先で灯明を指した。

「え、じゃあ、ピカ……灯明様まは、数百年くらい生きてるってこと!?」
「そうだ。もう、数えるのも面倒になってしまったが何百年かは存在している………」

 ピカリ、もとい灯明がかなり長生きだったことに菖は驚いた。
 何故なら、

「え!?で、でも、俺が拾ったときは、子犬みたいな姿していたのに!?」
「そ、それは、………弱っていたのだ」

 数年前、まだ菖が小学一年生のときに拾った子犬がピカリ、灯明だったのだ。

「どういうこと!?」
「さっき、曼殊様は、皆に忘れられてお隠れなったって言ったでしょ? そういうこと」

 灯明は咲耶の言葉に弱弱しく続けた。

「我は、三珠の民から忘れられた。だから、力が弱り、存在も弱弱しいものになってしまったのだ」
「皆が、三珠神社の伝説を忘れてしまったから、灯明様がピカリになってしまったってこと?」
「まあ、そんな感じ」

 菖の認識の確認に咲耶は軽く頷いた。

「灯明様たちは、この土地に加護を授けて、妖怪とか幽霊と呼ばれる存在を遠ざけてくれていたんだ。その加護でも遠ざけられなかった力の強い奴らを、霊力を持った守護者とつながりをった人間、”沙華(はな)”が倒していた」

 でも守護者が忘れられてしまうから、沙華になる人間もいなくなってしまったのだと、咲耶は話した。

「それで、俺にその沙華になって欲しいと?」
「そう、一緒に妖怪や幽霊を倒して欲しいんだ」

 お願い。と、咲耶は二本足で立つと、前足に肉球を合わせて菖を上目遣いにしようとした。

「うん。いいよ」

 しかし、咲耶が動く前に、菖は咲耶のお願いを聞き入れてしまったのだった。


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