6 / 11
☆全年齢版☆
第四話『菖と金色猫』
しおりを挟む
「本当に大丈夫か? 菖」
「大丈夫だよ。ここまで鞄持ってくれてありがとう嘉田。三馬」
「おう。気を付けて帰れよ、風上」
「じゃあ、また明日な。お大事に」
「うん、じゃあな」
菖は放課後まで保健室で寝ていた。
帰りの時間になると、嘉田が一緒に帰るクラスメイトの三馬と共に、菖の鞄を持って、菖を迎えに来てくれた。
まだ具合の悪そうな菖を気遣って、鞄を持って菖に合わせて途中まで帰ってくれたのだ。
菖は嘉田から鞄を受け取り二人に感謝と挨拶を伝えると、自宅に向かって足を向けた。
たくさん寝て休んだおかげか、体調も気分もいい感じだ。
(そうだ。花南にゲロで汚しちゃったハンカチ弁償しないとな……。明日、遊びに行くの誘ってみるか………)
保健室で花南に何か言われたような気がするが、きっと、自分のことを心配して言葉をかけてくれたのだろう。
(花南にも明日、お礼を言わないとな………)
そう思いながら、道を歩いていると、ふっと辺りが暗くなったような気がした。
まだ日が沈むには早すぎる。
雲が太陽を遮ったのかと思って空を見上げたが、それらしい雲はなかった。
視界に映る景色の色もよく見れば真昼と変わらない。
それなのに、辺りは布をかけられたように暗く感じた。
「どうなってんだ?」
「やっと見つけた」
「!?」
足元からした声に、下へ視線を向けると、そこには、金色の毛並みを持った猫がいた。
「こんにちは、はじめまして。僕の名前は、百合長 咲耶、君の名前は?」
金色の猫は流暢な日本語で挨拶と自己紹介をしてきた。
「金色の猫!?ってか喋ってる!?」
見たまま起きたままのことが口から出る。
一瞬、夢を見ているのかと思った菖だったが、自分の声と言葉で、目の前の喋って会話できる猫が本物で、現実であると受け入れることができた。
「猫がしゃべるのがそんなに不思議?」
「そりゃ不思議だよ!?」
猫の問いかけに突っ込みの要領で菖蒲が答えると、猫は瞼を細める。
まるで人間が呆れた相手を見るような表情だった。
「会話できるんだったら、挨拶もできるでしょ? 君のお名前は?」
「か、風上 菖です」
思わず敬語になる菖。
そんな菖の態度に気をよくしたのか、猫は喉を鳴らして語りだした。
「そ、菖くんね。君、今この町で、怪奇現象が起こりまくってるの知ってる?」
「そういう、噂があるのは知っています」
「君に、その怪奇現象を解決してもらいたいんだ」
「ええ!?」
そんなアニメみたいな。と、菖は思った。
でも、こういうかわいい動物にお願いされて、悪と戦う展開って、女児アニメの展開だなとも思った。
「どう? 僕と………」
「ちょっと待て――――!!!」
咲耶の言葉を遮って、低いがよく響く声が菖たちに向かって駆け寄ってきた。
「大丈夫だよ。ここまで鞄持ってくれてありがとう嘉田。三馬」
「おう。気を付けて帰れよ、風上」
「じゃあ、また明日な。お大事に」
「うん、じゃあな」
菖は放課後まで保健室で寝ていた。
帰りの時間になると、嘉田が一緒に帰るクラスメイトの三馬と共に、菖の鞄を持って、菖を迎えに来てくれた。
まだ具合の悪そうな菖を気遣って、鞄を持って菖に合わせて途中まで帰ってくれたのだ。
菖は嘉田から鞄を受け取り二人に感謝と挨拶を伝えると、自宅に向かって足を向けた。
たくさん寝て休んだおかげか、体調も気分もいい感じだ。
(そうだ。花南にゲロで汚しちゃったハンカチ弁償しないとな……。明日、遊びに行くの誘ってみるか………)
保健室で花南に何か言われたような気がするが、きっと、自分のことを心配して言葉をかけてくれたのだろう。
(花南にも明日、お礼を言わないとな………)
そう思いながら、道を歩いていると、ふっと辺りが暗くなったような気がした。
まだ日が沈むには早すぎる。
雲が太陽を遮ったのかと思って空を見上げたが、それらしい雲はなかった。
視界に映る景色の色もよく見れば真昼と変わらない。
それなのに、辺りは布をかけられたように暗く感じた。
「どうなってんだ?」
「やっと見つけた」
「!?」
足元からした声に、下へ視線を向けると、そこには、金色の毛並みを持った猫がいた。
「こんにちは、はじめまして。僕の名前は、百合長 咲耶、君の名前は?」
金色の猫は流暢な日本語で挨拶と自己紹介をしてきた。
「金色の猫!?ってか喋ってる!?」
見たまま起きたままのことが口から出る。
一瞬、夢を見ているのかと思った菖だったが、自分の声と言葉で、目の前の喋って会話できる猫が本物で、現実であると受け入れることができた。
「猫がしゃべるのがそんなに不思議?」
「そりゃ不思議だよ!?」
猫の問いかけに突っ込みの要領で菖蒲が答えると、猫は瞼を細める。
まるで人間が呆れた相手を見るような表情だった。
「会話できるんだったら、挨拶もできるでしょ? 君のお名前は?」
「か、風上 菖です」
思わず敬語になる菖。
そんな菖の態度に気をよくしたのか、猫は喉を鳴らして語りだした。
「そ、菖くんね。君、今この町で、怪奇現象が起こりまくってるの知ってる?」
「そういう、噂があるのは知っています」
「君に、その怪奇現象を解決してもらいたいんだ」
「ええ!?」
そんなアニメみたいな。と、菖は思った。
でも、こういうかわいい動物にお願いされて、悪と戦う展開って、女児アニメの展開だなとも思った。
「どう? 僕と………」
「ちょっと待て――――!!!」
咲耶の言葉を遮って、低いがよく響く声が菖たちに向かって駆け寄ってきた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
年上の恋人は優しい上司
木野葉ゆる
BL
小さな賃貸専門の不動産屋さんに勤める俺の恋人は、年上で優しい上司。
仕事のこととか、日常のこととか、デートのこととか、日記代わりに綴るSS連作。
基本は受け視点(一人称)です。
一日一花BL企画 参加作品も含まれています。
表紙は松下リサ様(@risa_m1012)に描いて頂きました!!ありがとうございます!!!!
完結済みにいたしました。
6月13日、同人誌を発売しました。
【完結】あなたに撫でられたい~イケメンDomと初めてのPLAY~
金色葵
BL
創作BL
Dom/Subユニバース
自分がSubなことを受けれられない受け入れたくない受けが、イケメンDomに出会い甘やかされてメロメロになる話
短編
約13,000字予定
人物設定が「好きになったイケメンは、とてつもなくハイスペックでとんでもなくドジっ子でした」と同じですが、全く違う時間軸なのでこちらだけで読めます。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる