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第2章 no chance of surviving
第50話 ブラスティング
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レックスは人差し指の中指、薬指と小指をそれぞれまとめて3本の指へと形を変える。
「『王者神指し』!」
3本指になった両手を空へ振る。
「スノウ! ガードするんだ!」
フラムは私に叫ぶ。
その直後、フラムの腕や足から血しぶきが吹く。彼は何かを避けたり弾いたりするような動きを見せているが、私には何が起きているか分からなかった。とにかく、ガンブレードを前に構えてガードの姿勢を行う。
ガギイィィン――!
強い衝撃がガンブレードへと伝わり、私は攻撃の重さに思わず仰け反りそうになった。
「へばるなよフラム! 『王者神尾振り』!」
レックスはフラムへと近づき脚を振り下ろす。フラムは腕をクロスさせ、上から振り下ろされるレックスの脚を受け止めようとする。
バチイィ――!
まるで肉同士がぶつかったかのような音が響いた。
「っ――! フラム!」
フラムは確かにレックスの脚を受け止めていた。しかし、何故か背中の服が破けていて、背の傷の上から逆三角形の赤い痕が付いていた。
最初に手斧で見せた歯型の攻撃、恐竜の指を模した手から出た見えない攻撃、脚が当たっていない場所からの攻撃。レックスの技はまるで、見えない恐竜が攻撃しているかのような物が多い。
この世界には魔法がある。ひょっとすればレックスの魔法は、自分の攻撃に風圧で恐竜のパワーを乗せるものなのかもしれない。
「フラム! ヤツの魔法で攻撃の風圧が強力になってる!」
フラムは片膝を付きながらもレックスへ反撃し、彼らは一時距離を開けた。
「女ァ! てめぇうるせぇぞ。こいつとでも遊んでろ、『空神』」
レックスは歯をガチガチと鳴らし、距離のある私に向けてラリアットを行った。
私はガンブレードを構えレックスからの攻撃に備えた。
「クウ!」
ラリアットの風圧が人型へと変わっていき、私の眼前でラリアットをぶちかましてきた。
人型のソレはレックスのような風貌で、しっかりと攻撃の衝撃が武器へ伝わってきた。
フラムは私の方を振り返ったが、私の顔を見たあと頷いてレックスの方を再び見る。
その時の私は、任せろと言わんばかりの顔をしていたのだと思う。
当然、命の危険があって怖かった。本当なら、逃げ出したいと思った。しかし、ここでスノウは逃げ出さない。
スノウならここで、きっとこう言うだろう。
「フラムはそっちに集中しろ、私ならもう平気だ」
ガキィィン――ッ!
ギリギリギリ―――
手に汗とガンブレードを握りしめ、レックスの分身の重い攻撃を受けきり、鍔迫り合いへと持ち込む。
(スノウの使ってた技って私にも出来るのかな……。アレはきっと、下界で熟練されたスノウだから出来たもののはず。中身が私でも、気持ちで何とかなるかもしれない――!!)
私はレックスの分身の腕を振り払い、グリッに付いているトリガーに指をかけて叫んだ。
「『ブラスティングダウン』!」
「『王者神指し』!」
3本指になった両手を空へ振る。
「スノウ! ガードするんだ!」
フラムは私に叫ぶ。
その直後、フラムの腕や足から血しぶきが吹く。彼は何かを避けたり弾いたりするような動きを見せているが、私には何が起きているか分からなかった。とにかく、ガンブレードを前に構えてガードの姿勢を行う。
ガギイィィン――!
強い衝撃がガンブレードへと伝わり、私は攻撃の重さに思わず仰け反りそうになった。
「へばるなよフラム! 『王者神尾振り』!」
レックスはフラムへと近づき脚を振り下ろす。フラムは腕をクロスさせ、上から振り下ろされるレックスの脚を受け止めようとする。
バチイィ――!
まるで肉同士がぶつかったかのような音が響いた。
「っ――! フラム!」
フラムは確かにレックスの脚を受け止めていた。しかし、何故か背中の服が破けていて、背の傷の上から逆三角形の赤い痕が付いていた。
最初に手斧で見せた歯型の攻撃、恐竜の指を模した手から出た見えない攻撃、脚が当たっていない場所からの攻撃。レックスの技はまるで、見えない恐竜が攻撃しているかのような物が多い。
この世界には魔法がある。ひょっとすればレックスの魔法は、自分の攻撃に風圧で恐竜のパワーを乗せるものなのかもしれない。
「フラム! ヤツの魔法で攻撃の風圧が強力になってる!」
フラムは片膝を付きながらもレックスへ反撃し、彼らは一時距離を開けた。
「女ァ! てめぇうるせぇぞ。こいつとでも遊んでろ、『空神』」
レックスは歯をガチガチと鳴らし、距離のある私に向けてラリアットを行った。
私はガンブレードを構えレックスからの攻撃に備えた。
「クウ!」
ラリアットの風圧が人型へと変わっていき、私の眼前でラリアットをぶちかましてきた。
人型のソレはレックスのような風貌で、しっかりと攻撃の衝撃が武器へ伝わってきた。
フラムは私の方を振り返ったが、私の顔を見たあと頷いてレックスの方を再び見る。
その時の私は、任せろと言わんばかりの顔をしていたのだと思う。
当然、命の危険があって怖かった。本当なら、逃げ出したいと思った。しかし、ここでスノウは逃げ出さない。
スノウならここで、きっとこう言うだろう。
「フラムはそっちに集中しろ、私ならもう平気だ」
ガキィィン――ッ!
ギリギリギリ―――
手に汗とガンブレードを握りしめ、レックスの分身の重い攻撃を受けきり、鍔迫り合いへと持ち込む。
(スノウの使ってた技って私にも出来るのかな……。アレはきっと、下界で熟練されたスノウだから出来たもののはず。中身が私でも、気持ちで何とかなるかもしれない――!!)
私はレックスの分身の腕を振り払い、グリッに付いているトリガーに指をかけて叫んだ。
「『ブラスティングダウン』!」
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