23 / 53
第1章 until you die
第23話 ライトニング
しおりを挟む
ポツポツポツ―――
私の心の内を表すかのように、急に雨が降り始めた。先程まで見えていた月は分厚い雲に隠され、いよいよ希望が閉ざされたような暗い気持ちになる。
出会ってまもないフラムを2度も殺し、当初の予定だった政府の避難所へ行くという事も出来ない。大事な時に、私はいつも失敗する。あの時も、家族や町の人、妹を救えなかった。
もう諦めるしかないと、私は目を瞑り、タイガの拳を待った。
ピャシャン―――ッッ!
ゴロゴロゴロ――
空気が震え、目を瞑っていても分かるほどに周りが明るくなり、その直後近くで雷が落ちる音が聞こえる。
「我ながら凄いなあたし! あたし最強じゃん」
この場にいる誰でもない女の声が聞こえた。異常な状況が気になり、私は目を開ける。
70センチメートル程の赤い片刃の直剣と、細めのカイトシールドを携えた赤いボブの女がそこにいた。女は僅かに赤い稲妻を纏っていて、片刃の直剣が私の胸ぐらを掴んでいたタイガの腕をぶった斬っていた。
「くっ…! テメェ!」
タイガは私を殴ろうとしていた拳をその女に振る。
女はその拳を軽く避け、更にカイトシールドでタイガの顔を殴る。
タイガは顔を抑え、それでも反撃しようと回し蹴りを放った。
「あたしが凄すぎてごめんな?」
しかし、その反撃は女にとって隙でしか無かった。
女はタイガの支柱になっている足に直剣を突き刺し、回し蹴りをしてきた足をガシッと掴む。
「『通電』!」
女の指先から赤い稲妻が走る。掴まれたタイガの足にその赤い稲妻が回り、やがて彼女の体全身を焼きながら痙攣を誘う。
「タイガ!」
おかっぱ眼鏡の男が薄緑色のガラス板のようなものをこちらに飛ばしてくる。それを見て危険を察知した女は、タイガから直剣を引き抜いて距離をとる。
「スノウ・トウティとフラム・カグツチよね? 今は逃げるよ!」
女は倒れた血まみれのフラムを救おうと、イヌとウェポンとマインが立っている方を見る。
「なんだお前? 地獄が見たいのか?」
イヌはナイフをクルクルと回し挑発する。それに続き、ウェポンやマインも拳を構えて、フラムを取らせないよう位置取りを行う。
「うーん、困ったね……」
女は手を叩いて再び武器を構えた。
すると、後方にいたおかっぱ眼鏡の頭上から鉄の塊のようなものが降ってきた。
ズウゥゥン―――
鉄の塊の正体は、生気の無いロボットのようなものだった。女はそのロボットに手を伸ばし指を鳴らす。すると、ギリギリと歯車が回転するような音が響き、暗かったロボットの瞳が光り輝き始めた。
「あたしの為に時間稼いで、『ドレッドノート』!」
大きく肥大化した腕部、それを支える堅牢な肩、頭から鋭く伸びた鋭利な一角、並の攻撃を防ぎ切れそうな頑丈で大きな胴体、太ももから足にかけて武装された大量の銃火器。
「分かりました、『ブリッツ』様」
私の心の内を表すかのように、急に雨が降り始めた。先程まで見えていた月は分厚い雲に隠され、いよいよ希望が閉ざされたような暗い気持ちになる。
出会ってまもないフラムを2度も殺し、当初の予定だった政府の避難所へ行くという事も出来ない。大事な時に、私はいつも失敗する。あの時も、家族や町の人、妹を救えなかった。
もう諦めるしかないと、私は目を瞑り、タイガの拳を待った。
ピャシャン―――ッッ!
ゴロゴロゴロ――
空気が震え、目を瞑っていても分かるほどに周りが明るくなり、その直後近くで雷が落ちる音が聞こえる。
「我ながら凄いなあたし! あたし最強じゃん」
この場にいる誰でもない女の声が聞こえた。異常な状況が気になり、私は目を開ける。
70センチメートル程の赤い片刃の直剣と、細めのカイトシールドを携えた赤いボブの女がそこにいた。女は僅かに赤い稲妻を纏っていて、片刃の直剣が私の胸ぐらを掴んでいたタイガの腕をぶった斬っていた。
「くっ…! テメェ!」
タイガは私を殴ろうとしていた拳をその女に振る。
女はその拳を軽く避け、更にカイトシールドでタイガの顔を殴る。
タイガは顔を抑え、それでも反撃しようと回し蹴りを放った。
「あたしが凄すぎてごめんな?」
しかし、その反撃は女にとって隙でしか無かった。
女はタイガの支柱になっている足に直剣を突き刺し、回し蹴りをしてきた足をガシッと掴む。
「『通電』!」
女の指先から赤い稲妻が走る。掴まれたタイガの足にその赤い稲妻が回り、やがて彼女の体全身を焼きながら痙攣を誘う。
「タイガ!」
おかっぱ眼鏡の男が薄緑色のガラス板のようなものをこちらに飛ばしてくる。それを見て危険を察知した女は、タイガから直剣を引き抜いて距離をとる。
「スノウ・トウティとフラム・カグツチよね? 今は逃げるよ!」
女は倒れた血まみれのフラムを救おうと、イヌとウェポンとマインが立っている方を見る。
「なんだお前? 地獄が見たいのか?」
イヌはナイフをクルクルと回し挑発する。それに続き、ウェポンやマインも拳を構えて、フラムを取らせないよう位置取りを行う。
「うーん、困ったね……」
女は手を叩いて再び武器を構えた。
すると、後方にいたおかっぱ眼鏡の頭上から鉄の塊のようなものが降ってきた。
ズウゥゥン―――
鉄の塊の正体は、生気の無いロボットのようなものだった。女はそのロボットに手を伸ばし指を鳴らす。すると、ギリギリと歯車が回転するような音が響き、暗かったロボットの瞳が光り輝き始めた。
「あたしの為に時間稼いで、『ドレッドノート』!」
大きく肥大化した腕部、それを支える堅牢な肩、頭から鋭く伸びた鋭利な一角、並の攻撃を防ぎ切れそうな頑丈で大きな胴体、太ももから足にかけて武装された大量の銃火器。
「分かりました、『ブリッツ』様」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる