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第一章

第16話 前世勇者だった男はとんでもないエロ勇者でした ※

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「この瞳が禍々しいだと? 誰がそのような戯れ言を……ああ、君を売った家族かな? この国では君のことをそのように言う者はいない。血は生命の象徴、どの生き物も血が通っている。それを否定するなどあり得ぬ」
「……!!」
「私は君の瞳の色が好きだ。四六時中その瞳に見詰められていたい」
「お、お戯れを……僕が何をしてきたのかご存知でしょう?」
「ああ、競売所にいた者たちを焼き殺したことか。君が怒りや憎しみに駆られ、魔力が暴走したのは事故のようなものだ。そもそも奴隷売買はこの国では死刑だ。刑期が早まっただけのこと」


 あの時は魔王の人格の方が強かったのかもしれない。記憶を思い出す前の僕だったら、例え強い魔力を持っていたとしてもむやみに人を殺すようなことはしない。虫も殺せぬ気弱な性格だったのだから。

 それにしても奴隷売買が死刑とは。ヴィングリード帝国は、かなり厳しいようだな。それほどまでの刑が課せられると分かっていながら、奴隷売買が行われていたのだから、相当根深い問題なのだろうな。
 
「君のことは調べている。ティムハルト家は名ばかりの貴族だ。領民から法外な税を巻き上げて散財し、無謀な事業に手を出しては失敗し借金を重ねる。自業自得だったのを今まではすべて君のせいにしていたが、君を失った今、あの者たちは誰の所為にするつもりなのだろうな?」
「……」

 僕はいわゆる借金の担保として売られた。
 僕を売ったことで借金は返せたのだろうが、あの人たちのことだからどうせまたすぐに、新たな借金を作るのだろう。
 
「あんな家のことは忘れてしまうがいい……それよりも私と共に新たな家族となることを考えて貰えないだろうか? 私は例え、全世界が敵に回ったとしても君を守り通すつもりだ」
「……ですが」
「嫌だったら拒んでくれてかまわない」

 ゼムベルトはそう言って唇を重ねてきた。
 拒否しなければいけない。
 ゼムベルトだって嫌なら拒めと言っている。
 それなのに動くことができない。
 柔らかい唇の感触が妙に心地が良くて。
 流されている……僕は完全に流されている。
 抵抗しろ、ジュノーム=ティムハルト!! 魔王としての僕のプライドはどうなる!?
 
 あ……駄目。
 舌を入れてきたら……

「うあ……んっっ……」

 
 何故、キスがこんなにも気持ちがいいんだ?
 舌が絡みつく度に、身体にどうしようもない疼きが生まれる。
 こ、これ以上は許したらいけない。
 う……いつの間にかシャツのボタンが外されている。
 むき出しになった僕の乳首をゼムベルトは愛しそうに口づけて、そっと口に含ませる。
 あ……、あ……、あ……吸われている。そ、そんな美味しそうに吸うな、馬鹿!!

「あ……う……そんなに吸ったら」
「気持ちがいい?」
「ちが……う……」
「違わないだろう? 此処は気持ちがいいと訴えている」
「……っっ!!」

 ゼムベルトは布越し、すっかり硬くなっている僕のアソコに触れてくる。
 しかもニヤッと笑みを浮かべ、僕の下半身を指差した。

「!」


 あ……ズボンと下着が消えた。
 一瞬にして下半身を剥かれた。 
 こ、こいつ、無詠唱で消去魔法イレストを使ったな!?
 ゼムベルトが僕の足を開いてきた。


「……あっっ……そんな恥ずかしい所、見るな」


 屹立した雄茎を見られただけでも恥ずかしいのに、足を開かれ後孔まで見られてしまった。恥ずかしすぎて心臓が爆発しそうになる。
 しっかり勃ちあがったものを、ゼムベルトの長い指が絡まる。しかも舌を這わせてから、口に咥えてきた。

 嘘だ……勇者が僕のものを。

 ゼムベルトの口の中は熱く、弾力のある舌が雄杭に触れては締めてくる。
 今まで味わったことがない感覚だ。
 何でこんなに気持ちがいいんだ!? 
 ゼムベルトの口が僕のあそこを味わうように扱き出す。
 そんな風にされたら……やめろっっ……やめてくれっっっ!!

 心は抵抗したい気持ちで一杯なのに、快感に委ねたい僕の身体は抵抗する力を失い、完全に腑抜け状態。
 ゼムベルトは僕の堅くなった雄茎に触れながら、満面の笑みを浮かべ囁いてくる。

「ジュノのここは、極上の味だ。ずっと、ずっと味わっていたい」
「…………こ……こんなことしたら……」
「ああ、こんなことしたら、もう結婚するしかないな」
「ち、ちが……う」
「重ね重ね言うが嫌なら払いのけても構わない。不敬には問わないから。だけど嫌ではないのなら、今は難しいことを考えずに気持ちが良いことをしよう」
「……っっ!」

 そう言って再び僕のものを咥え、さらに激しく扱いてきた。
 駄目だ、駄目だ。
 こんな……こんな……気持ち良くなったら。
 止めなきゃ、抵抗しなきゃいけないのに、与えられる快感に抗えず、僕は何も出来なくなる。
 ゼムベルトは言葉の通り、決して僕を押さえつけたりしていない。
 逃げようと思えば逃げられるし、抵抗しようと思えば出来るのに。
 
「あ……ん……やぁっ……」
「ジュノ、その声も可愛い」

 一度僕の雄茎から口を離し、ゼムベルトはうっとりとした声で言った。
 さっきから可愛い、可愛いって。
 僕は前世、お前と死闘を繰り広げたんだぞ!? 知らないということが、これほど恐ろしいこととは。

「僕は可愛くなんかない……!!」
「可愛いだけじゃない。どこもかしこも美しい」
「……っっっ!!」

 甘い言葉を囁いては、ゆっくり味わうように僕のものを咥える男の正体は、清廉潔白だと称えられていたあの勇者様だ。
 一体誰が最初にこいつを清廉潔白だと称えやがったんだ!?
 こいつはとんだエロ勇者だ!!
 
「……っっっ!!」

 結局僕は勇者の口の中に、ありったけの精を解放してしまった。
 何ということだ。
 前世の僕だったら有り得ない。僕にこんなことする奴はこの世から無かったことにしてやるのに。
 何で、一番の敵である勇者にそれが出来ない!? 

 


 僕は僕が分からない……っっ!!





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