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釣り大会本番に参加する
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剣魚以外の成果がなかったダン。
今日こそ釣りを楽しんでみようと、やや鼻息荒く昨日も来た会場へとメンバーと共にやってきた。
「ん? 何やら物々しい雰囲気ですね」
昨日の釣りを楽しんでいた人達と違い、今日は皆が防具などを身に着けた者が多くいた。
「警備……、にしては多すぎる?」
「お? 昨日の剣魚の兄ちゃんじゃないか」
戸惑っているダンに、昨日の冒険者がダンの姿に気づいて声を掛けてきた。
「おはようございます。何か昨日よりも警備の人が多くありませんか?」
そうダンに問いかけられた冒険者が苦笑しつつ答えてくれた。
「あ~、こいつらの大半が大会参加者だぜ? 聞いてないか、2日目の大会内容?」
「え? 釣り大会では?」
「おう、素手の釣り大会だぜ?」
なにやら素手の所に力が入っているように感じられる。
そういえば宿屋の従業員も、祭りの説明に何やら力が入っていたなと思い出していた。
「この後、向こう側に見えている川との間の防御網を解放して大物を入れるんだ」
「ふむふむ?」
「そんで自分達の身体を餌にして、大物を釣り上げるんだ」
「なるほど」
「「「いやいや、自分達が餌ってどういう意味ですか!?」」」
ダンの後ろのメンバーがツッコミを入れる。よく見ればタマモもダンの頭の上で手をツッコミの形に突き出していた。
「これは最初に街を作った英雄達の逸話から来ててな。食料を確保するために自分の腕を餌に見立てて、大物の魚を食いつかせて見事に釣り上げた。ってのが街の昔話にあってな? それにあやかって2日目はただ身一つで魚を釣るってのが祭りの醍醐味なんだぜ!」
「なるほど、過去の偉業を伝えるのが祭りの意味なんですね」
「というか腕を食わせるって」
「ん? よっぽどの相手じゃなけりゃ噛み千切られることはないぜ? それでも年に数人は結構な怪我をするけどよ」
「それのどこが釣りなのよ! 『取ったど~!』じゃないのよ!? 素潜り漁とかの方がまだしっくり来るわ!」
良く分からない憤慨をするキョーコ。
「と言いますか、『りょう』ってなんですか? 狩猟?」
「え? あ~、大掛かりな釣りと言うかなんというか?」
ダンの素朴な疑問に答えるキョーコ。漁を説明しようとして、結局『釣り』という単語が出てくる。
結果、ダンは「なるほど釣りの一種なんですね」と納得してしまった。
「ドンマイですよキョーコ。あなたは頑張りました」
「前提知識がない相手に説明するのが、こんなに大変だとは思わなかったわ」
キョーコは自身の不甲斐なさから体育座りをして、イリアはそんなキョーコを慰めていた。
しばらくすると太鼓の音が聞こえてくると、防御網とやらが解除されたようだ。
川にポツンと浮かぶ島から伸びる綱が街の方へと引き込まれていく。
「あの島は?」
「ん? ありゃ水神様の祠がある小島だな。防御網の起点でもあるから大事にされてるんだぜ? ま、島に上がろうとしても魔物がウヨウヨしてる川を泳いでいかにゃ、たどり着けんがな」
ダンの質問に答えた冒険者は「よっし、仕事の時間だぜ」と川へと近づいていく。他にも何人かの冒険者が川へと近づいていくのが見える。
これから何が起こるのか。ダンは興味を引かれた。
『それでは、これより『引き付け』を行います! 皆さま準備はよろしいですか~!? それでは大会2日目、開始しま~す!』
風の魔法で声を拡大しているのだろう。大会受付からそんな声が聞こえてくるとともに、川に近づいていた冒険者達から闘気が立ち上るのが見える。
「あの闘気の使い方は――」
ダンは闘気の動きから一つのアーツを思い出していた。
「「「アーツ、『タウント』!」」」
挑発系アーツ。ダンが苦手なアーツだった。
川沿いに並んだ冒険者が一斉にアーツを放つ。
しかしそのアーツによって放たれた闘気は個々にその動きが違っていた。挑発することが目的のアーツだが、挑発と言ってもその方法は様々だ。
闘気を細かい波の様に放って相手を刺激するものや、逆に弱弱しい闘気を伸ばして自信を獲物に見せかけるもの。特殊なもので言えば魔物が好む匂いと誤認させるなど、『タウント』という技に一括りにされているが、それぞれが得意な方法で魔物の注意を引いている。
そうこうしていると川の奥から街に向かって水しぶきが近づいてくるのが見えた。
「今回の釣りはまた規模が大きくなりましたなぁ」
「年々大きくなりますねぇ」
「釣りってソッチ!?」
後ろで祭りを見ていた観客が話すことにキョーコがツッコミを入れていた。
その頃には防具を付けたまま川に入っていく人がチラホラと見受けられた。
ダンも体を解してから川へと侵入しようとする。
「ちょ!? 兄ちゃんその恰好で川に入るつもりか?」
先程の冒険者にそう呼び止められて、ダンは改めて自分の格好を見直した。
シャツ。ズボン。ブーツ。腰には念のための武器ポーチをつけたベルト。
「いつもこの格好ですが?」
「いつも?……実は経験者だったのか兄ちゃん?」
ダンの「いつも」を「(大会では)いつも」と受け取った冒険者は、あまりにも堂々としたダンの態度に誤解をしていた。
「あ、参加する皆さんは防具付けてきた方がいいかもしれませんね」
そう言われたメンバーも昨日の釣り大会の延長と思っていたため普段着の格好であった。昨日の件があったために最低限武器だけは下げているが、防具までは身に着けてはいなかったのだ。
周りの参加者に触発されたダンはやる気満々といった様子であるのでそのまま参加するようだ。
自分達はどうしようかと迷っているとタマモが声を掛ける。
『一応ダンの様子はワシが見ておくから、宿で防具を身に着けてきた方がよいであろう?』
その言葉にメンバーは頷くと、走って宿へと引き換えしていった。
「さて、川に入るとしますか」
『お主は本当にブレない男だのぉ』
頭にタマモを乗せたダンが川へと入っていく。
水の中という事でヒンヤリと涼しい。
「さて?」と周りを見渡してみる。周りの人達の行動を確認するためだ。
ちょうど一人の男性が魚であろう相手と釣りを開始するのが目に留まった。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅん!」
気合の掛け声と共に両腕を水中に突っ込んで、どうやら相手を抑え込んでいるようだ。時折体が揺れているのは相手が抵抗しているからか?
そのまましばらく力比べをして、しばらくするとその男性が上体を起こし始めた。
「おりゃあぁぁぁぁぁ!」
そして水面から抜き出した腕の片方は魚の口に突っ込まれ、もう片方は胴体を掴んでいた。だがダンの予想に反して魚はそれほど大きくなかった。
そして男性は掴んだ魚を素早く近くの桟橋の上に居た大会職員に渡していた。そして小さな紙にを引き換えに受け取っている。
どうやらここまでが一通りの流れのようだ。
「ふむ? 水の中では相手の方が強いのかな? ま、とりあえずやってみましょうか」
そう言ったダンの足元には既に何匹かの魚が居た。ちょっと形状が特殊なのもいるが、とりあえず掴めるだけ掴んでみるかと手を伸ばす。
『ぬお!? 突然屈むでないダン! 危うく水に落ちるところではないか』
そういえば頭の上にタマモが居たことを忘れていた。
今日こそ釣りを楽しんでみようと、やや鼻息荒く昨日も来た会場へとメンバーと共にやってきた。
「ん? 何やら物々しい雰囲気ですね」
昨日の釣りを楽しんでいた人達と違い、今日は皆が防具などを身に着けた者が多くいた。
「警備……、にしては多すぎる?」
「お? 昨日の剣魚の兄ちゃんじゃないか」
戸惑っているダンに、昨日の冒険者がダンの姿に気づいて声を掛けてきた。
「おはようございます。何か昨日よりも警備の人が多くありませんか?」
そうダンに問いかけられた冒険者が苦笑しつつ答えてくれた。
「あ~、こいつらの大半が大会参加者だぜ? 聞いてないか、2日目の大会内容?」
「え? 釣り大会では?」
「おう、素手の釣り大会だぜ?」
なにやら素手の所に力が入っているように感じられる。
そういえば宿屋の従業員も、祭りの説明に何やら力が入っていたなと思い出していた。
「この後、向こう側に見えている川との間の防御網を解放して大物を入れるんだ」
「ふむふむ?」
「そんで自分達の身体を餌にして、大物を釣り上げるんだ」
「なるほど」
「「「いやいや、自分達が餌ってどういう意味ですか!?」」」
ダンの後ろのメンバーがツッコミを入れる。よく見ればタマモもダンの頭の上で手をツッコミの形に突き出していた。
「これは最初に街を作った英雄達の逸話から来ててな。食料を確保するために自分の腕を餌に見立てて、大物の魚を食いつかせて見事に釣り上げた。ってのが街の昔話にあってな? それにあやかって2日目はただ身一つで魚を釣るってのが祭りの醍醐味なんだぜ!」
「なるほど、過去の偉業を伝えるのが祭りの意味なんですね」
「というか腕を食わせるって」
「ん? よっぽどの相手じゃなけりゃ噛み千切られることはないぜ? それでも年に数人は結構な怪我をするけどよ」
「それのどこが釣りなのよ! 『取ったど~!』じゃないのよ!? 素潜り漁とかの方がまだしっくり来るわ!」
良く分からない憤慨をするキョーコ。
「と言いますか、『りょう』ってなんですか? 狩猟?」
「え? あ~、大掛かりな釣りと言うかなんというか?」
ダンの素朴な疑問に答えるキョーコ。漁を説明しようとして、結局『釣り』という単語が出てくる。
結果、ダンは「なるほど釣りの一種なんですね」と納得してしまった。
「ドンマイですよキョーコ。あなたは頑張りました」
「前提知識がない相手に説明するのが、こんなに大変だとは思わなかったわ」
キョーコは自身の不甲斐なさから体育座りをして、イリアはそんなキョーコを慰めていた。
しばらくすると太鼓の音が聞こえてくると、防御網とやらが解除されたようだ。
川にポツンと浮かぶ島から伸びる綱が街の方へと引き込まれていく。
「あの島は?」
「ん? ありゃ水神様の祠がある小島だな。防御網の起点でもあるから大事にされてるんだぜ? ま、島に上がろうとしても魔物がウヨウヨしてる川を泳いでいかにゃ、たどり着けんがな」
ダンの質問に答えた冒険者は「よっし、仕事の時間だぜ」と川へと近づいていく。他にも何人かの冒険者が川へと近づいていくのが見える。
これから何が起こるのか。ダンは興味を引かれた。
『それでは、これより『引き付け』を行います! 皆さま準備はよろしいですか~!? それでは大会2日目、開始しま~す!』
風の魔法で声を拡大しているのだろう。大会受付からそんな声が聞こえてくるとともに、川に近づいていた冒険者達から闘気が立ち上るのが見える。
「あの闘気の使い方は――」
ダンは闘気の動きから一つのアーツを思い出していた。
「「「アーツ、『タウント』!」」」
挑発系アーツ。ダンが苦手なアーツだった。
川沿いに並んだ冒険者が一斉にアーツを放つ。
しかしそのアーツによって放たれた闘気は個々にその動きが違っていた。挑発することが目的のアーツだが、挑発と言ってもその方法は様々だ。
闘気を細かい波の様に放って相手を刺激するものや、逆に弱弱しい闘気を伸ばして自信を獲物に見せかけるもの。特殊なもので言えば魔物が好む匂いと誤認させるなど、『タウント』という技に一括りにされているが、それぞれが得意な方法で魔物の注意を引いている。
そうこうしていると川の奥から街に向かって水しぶきが近づいてくるのが見えた。
「今回の釣りはまた規模が大きくなりましたなぁ」
「年々大きくなりますねぇ」
「釣りってソッチ!?」
後ろで祭りを見ていた観客が話すことにキョーコがツッコミを入れていた。
その頃には防具を付けたまま川に入っていく人がチラホラと見受けられた。
ダンも体を解してから川へと侵入しようとする。
「ちょ!? 兄ちゃんその恰好で川に入るつもりか?」
先程の冒険者にそう呼び止められて、ダンは改めて自分の格好を見直した。
シャツ。ズボン。ブーツ。腰には念のための武器ポーチをつけたベルト。
「いつもこの格好ですが?」
「いつも?……実は経験者だったのか兄ちゃん?」
ダンの「いつも」を「(大会では)いつも」と受け取った冒険者は、あまりにも堂々としたダンの態度に誤解をしていた。
「あ、参加する皆さんは防具付けてきた方がいいかもしれませんね」
そう言われたメンバーも昨日の釣り大会の延長と思っていたため普段着の格好であった。昨日の件があったために最低限武器だけは下げているが、防具までは身に着けてはいなかったのだ。
周りの参加者に触発されたダンはやる気満々といった様子であるのでそのまま参加するようだ。
自分達はどうしようかと迷っているとタマモが声を掛ける。
『一応ダンの様子はワシが見ておくから、宿で防具を身に着けてきた方がよいであろう?』
その言葉にメンバーは頷くと、走って宿へと引き換えしていった。
「さて、川に入るとしますか」
『お主は本当にブレない男だのぉ』
頭にタマモを乗せたダンが川へと入っていく。
水の中という事でヒンヤリと涼しい。
「さて?」と周りを見渡してみる。周りの人達の行動を確認するためだ。
ちょうど一人の男性が魚であろう相手と釣りを開始するのが目に留まった。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅん!」
気合の掛け声と共に両腕を水中に突っ込んで、どうやら相手を抑え込んでいるようだ。時折体が揺れているのは相手が抵抗しているからか?
そのまましばらく力比べをして、しばらくするとその男性が上体を起こし始めた。
「おりゃあぁぁぁぁぁ!」
そして水面から抜き出した腕の片方は魚の口に突っ込まれ、もう片方は胴体を掴んでいた。だがダンの予想に反して魚はそれほど大きくなかった。
そして男性は掴んだ魚を素早く近くの桟橋の上に居た大会職員に渡していた。そして小さな紙にを引き換えに受け取っている。
どうやらここまでが一通りの流れのようだ。
「ふむ? 水の中では相手の方が強いのかな? ま、とりあえずやってみましょうか」
そう言ったダンの足元には既に何匹かの魚が居た。ちょっと形状が特殊なのもいるが、とりあえず掴めるだけ掴んでみるかと手を伸ばす。
『ぬお!? 突然屈むでないダン! 危うく水に落ちるところではないか』
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